Fantasy Novel

□辿り着いた場所ーposthumousWorldー
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人は死ぬとどうなるの?



昔そんな疑問をわかるはずもないのに考えた気がする



けれど誰でも一度は考えたことがあるのではないだろうか?



【死後の世界】の事を。





{辿り着いた場所ーposthumousWorldー}


・・・・。
『うわぁ、凄い事故。』
気が付くとそんな声が聞こえる
『誰か死んだのかな〜?』見下ろすと道路に人が集まっているのが見える。
どうやら事故があったようだ、耳を澄ますと
『子供を庇って引かれたんですって。』
『そうなの?まぁ優しい人だったのね。』
買い物帰りの主婦達や学校帰りの学生達の会話が聞こえる。
『それで引かれた人はどうなったの?』
『即死だそうよ、打ち所が悪かった見たいで、』
・・・・、
事故現場の中心を見ると前がへこんだ車の近くに子供が座り込んで泣いている。『ひっぐ、うぐ』
・・・・・、



(そうか、俺は死んだのか)


そう俺は死んだ、コンビニに買い物に行った帰り道に横をボールを追って走り車の前に出てしまった子供を庇って・・・・。



(・・・なぜ、俺は死んだはずなのに“視える”んだ?“聴こえる”んだ?)


そう死んだはずなのに俺は今見ている俺が死んだ事故現場を。



(別に未練は無いから霊になる理由もないが・・・)


そう悩んでる間に事故現場に良く知る人物達がやってくる


(あいつら・・・・、)
俺の見る先には二人の男と一人の女が警察官に話し掛けていた。
『アイツは大丈夫なのっ』『おいおい、マジかよ。』『・・・・、』
女は警察官の胸倉を掴んで問い掛け、一人の男は事故現場を見て驚き、もう一人の男は顔は青ざめ車の近くに飛び散った血を見ている(わざわざ来てくれたのか、心配性なやつらだな。)俺はそう考えるとそこから目を遠ざけ子供の方をもう一度見てケガをしてないか良く見た。
(良かった、大きなケガはしてないな。)
子供には擦り傷程度しかケガはなかった。
(さて今からどうするか)
俺はよく考える、死んだ事、今からの事を・・・・。(あるな、二つ心残りが)
俺は二つ思い着くととある“場所”へ移動し始めた。移動と言っても不思議な感覚だ足を動かさなくても視点だけが動く、“死”して“霊”になるとこんな感じになるのか。
俺はそう思いつつ移動し続ける。
いつもの見慣れた道をいつもと違う状況で、環境で。
俺が向かっているのは人から見ればただの変哲もない“公園”だけど俺にとっては違う。
俺は“ここ”で拾われて育った、そう俺は捨て子だった。
俺は三つの頃ここに捨てられていた、とある夫婦に拾われた俺はなに不自由なく暮らして来た。
俺の二つの心残りはまず“育ててくれた両親への恩返し”と“俺を捨てた両親に一度でも会うこと”だ。
(結局なにも出来ずじまいか)
そう考え俺はまたとある場所に向かい歩き始めた。



この道は毎日通る道だ、毎朝走って駆け抜ける通学路。
見る風景にどこか懐かしさを感じる。
(まだ死んで数時間なんだがな。)
数分間道を進み続けると校舎が見えてきた。
(あの三人は授業を抜け出して来たのか。)
俺は授業をしている教室を外から見ながら思った。
(見てまわるか。)
俺はそう思い校内を散策し始めた。
(・・・・、)
俺は気づくと屋上に足を向けていた。
屋上はいつも“俺達”の集まる場所だった。
(ん?戸が開いてる?)
俺が開いた戸から屋上に出るとそこには一人の女学生が携帯で電話していた。
『・・・そう、即死だったの・ ・・・。』
その女学生は学校の生徒会長であり“俺達”の仲間だった。
『わかったわ・・・じゃあまた』
女学生は携帯を切ると
『・・・バカね・・』
『ほ・・んと・・バカよ』手で顔を隠して泣いていた

(・・・・、ありがとうな俺の為に泣いてくれて。)俺は届く筈の無い言葉を残しその場をあとにした。



次に向かったのは育った家だ。
やっぱりここには来ないといけないだろ。
(ただいま〜。)
俺は誰にも聞こえない声でそう言うと家に入った。
(ん?誰もいないのか。)
俺は一通り部屋をみて
(俺が運ばれた病院に行ったのか。)
と思い
(俺の部屋に行くか)
自分の部屋に向かった。
(・・・いつかこの部屋の物は処分されるのかな。)俺は勉強机の上の写真楯を見た
(みんなで揃って撮ったのはこの写真が初めてだったよな。)
その写真は“仲間”達で行った修学旅行の写真だ。
(あの時は先生に無理言って班割を仕組んで貰って俺達“仲間”が揃うように仕組んで貰ったっけ。)
そんな事を考えながら部屋を見渡した、
(色々あるな、)
部屋には思いでがいっぱいあった。


初めて仲間で勉強会をした

初めて仲間で合宿もした


初めて学校をサボった


今までの色々な思い出が詰まった部屋、見ていると涙が出てきそうになる。
(もう昔みたいには・・・)そう思うと涙が込み上げて来る。
いや、もしかしたら今すでに泣いているのかもしれない。
だが死んだ俺には確かめる事は出来ない、でも悲しい


(・・・・、外に出よう)
俺はそう思い外に出てある場所に向かった。



向かったのは商店街。
ここにも色んな思い出がある。


仲間と一緒に浴衣を見に来た。


仲間と一緒に本を探しに来た。


仲間とご飯を食べに来たりもした。

色んな思い出がある。
(・・はは、なんだろう急に寂しくなってきたな。)俺は静かにそう言いまた別の場所に向かった。




俺は河原に着くと空を見上げた、
(もう、夜か・・・)
気が付くと空が暗くなっていた。
(星が綺麗だな。)
今日は満月で空に雲が一つ無く満天の星空だった。


静かに空を見上げていると急に視界が揺らいで来た
(あ・・・・れ・・・?)
揺らいで行く視界の中目の前に“誰か”が立っていた

(だ・・・れ・・だ?)
俺がそう言うと
[君は生まれ変われるとしたらどうしたい?]
とその“誰か”が聞いて来た、だから俺は自慢げに答えてやった。
(ははっ・・それはもちろん、また・・この町に・・・みんながいる・・・この町に・・生まれ変りたいに・・・決まって・・る!)俺がそう言うと“誰か”は[そう・・・君はいい人だね、きっと良い友に恵まれてたに違いない。]
そう答えた。
俺はそう言われ“仲間”の事を考えた



(はは、・・くそっ・・・今更未練・・・がましくなって・・・来た・・・な)俺はそう言うと“誰か”に聞いた
(なぁ・・・俺は・・どう・・・なるんだ?)
すると“誰か”は
[キミは今から消えるんだよ。]
と笑顔で答えた。
(はっ・・・・お前はさながら死神・・・か?)
[どうだろうね?]
目の前の“誰か”はそう言うと俺に
[なにか最後にお願いはあるかい?]
と聞いてきた。
だから俺は迷わず答えた。(そうだな・・・また生まれ変わって・・・また皆で騒ぎたい・・・かな?)
俺がそう答えると“誰か”は
[わかったよ、そのお願い叶えてあげる。]
そう言った、だから俺は
(うそ・・・つくな・・よ)と言ったら
[大丈夫だよ、ほら目を閉じて]
“誰か”は俺の視界に手を置いて視界を塞いだ


すると急に力が抜け俺は闇の中に溶けるように意識が消えて行った・・・・。
消え行く意識のなか最後の言葉を聞きながら・・・・。



[次に目覚めるまでおやすみ。]





そして俺は新たに誕生する

また同じ町、同じ場所で


育ってゆく、同じ家、同じ学校、同じ仲間達と


そして始まる俺のもう一つの可能性のモノガタリが。



resurrection
そして
新しい物語の始まり



go on foot
そう
歩き続ける




the course of life
新しい人生を




The story ends
 

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