銀魂

□いい夫婦の日
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「チャイナ、チャイナ」


自分をチャイナと呼ぶ男は一人しかいない。
神楽は嫌々後ろから聞こえてきた声に振り返ると案の定見慣れた黒い隊服に身を包んだ神楽の天敵。

「何か用アルか・・・サド」

あからさまに嫌そうな表情でそのままサドこと沖田に向ける。

「そんな顔されると逆にそそるんだけどねぇ。もしかして誘ってる?」

わざとらしく神楽の方に手を添えて笑う沖田に神楽も食って掛かる。

「誰がお前みたいなヤツ誘うかヨ。バカアルか!用がないなら話しかけんナ!
私は今機嫌が悪いアル!」

「なんでぃつれねーなぁ。さてはあの日かぃ?「殺すぞ」・・・まぁ冗談はともかく今日何月何日か知ってるかぃ?」

いきなり振られた問いかけに神楽は一瞬訳がわからんと言ったように頭の周りにはてなが浮かぶ。

「もしかしてチャイナはカレンダーも読めないほど馬鹿だったんですかぃ」

「あーもううっさいアル!今考えてるアルから少し黙っとくヨロシ!」

そういって神楽は今日の朝テレビで結野アナが言っていたことを思い出す。

「・・・11/22アルか?」

「ご名答で何の日か知ってるかい?」

「?なんかあるアルカ?」

「今日はいい夫婦の日でさぁ」

「・・・・・・あ、そうアルか」

そういうと神楽は閉じていた番傘を開いてさっさと沖田の前から去っていこうとする。
それを咄嗟に沖田が神楽の腕を掴んで制する。

「おいおいあそこまで話し振ってんのになに帰ろうとしてるんでさぁ」

「だって私関係ないアル」

「俺たちが夫婦になればばっちし関係あんだから問題無しでさぁ」

「誰がいつお前と夫婦になるって言ったアルか!」

神楽は一瞬顔を赤くしたがすぐに呆れた表情に変化する。

「今ここで俺が言った」

さらりと沖田が言う。

「・・・大体私とお前付き合ってもなんでもないアル」

「じゃぁ俺と付き合ってくだせぃ」

「・・・それはどこか行くのにつきあえじゃなくて恋人になれってことあるか?」

「それ以外に何があるって言うんでぃ。これでも俺の一世一代の告白でさぁ」


「まぁしょうがないからその言葉に乗ってやっても言いアルよ」

「本当に可愛くねー女でさぁ」

「その可愛くねー女に惚れたのはどこのサドヤローアルか?」

ふふふと悪戯っぽく笑って見せれば沖田が言葉うっと言葉を詰まらせる。

「・・・・・」

「サド?」

ぐいっ

「わ」

沖田の手が神楽の手をとりぐいっと引き寄せる。
神楽はいきなり抱きしめられて頬がりんごのように真っ赤になっている。


「今思ったあるけど最初のいい夫婦の日とこれは関係無くないアルか?」

「しょうがねーだろどうやって口説こうとか考えてたらなんかそれしか出てこなかったんでぃ」

「何アルかそれどんだけ必死だったネ」

腕の中で神楽が笑う。
沖田もそれにつられるように微笑んだ。


「まぁそのうちちゃんと関係あるようになるんだからべつにいいだろ」

「そのうちがくればな」

「大丈夫でさぁ俺離す気ねーし」

沖田の抱きしめる力が強まる。
今度は神楽も沖田の背中にぎゅっと手を回す。

「嘘だったら承知しないアルからナ」

「了解でさぁ」




(おわり)

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