ぼくわたのゆめ
□アンタはやっぱり、
1ページ/5ページ
アンタがあたしの手を握り締めたまま眠ったりしたから。
…今度はあたしが風邪を引いた。
『うぅ…げほげほ』
「けっバカは風邪引かないっつーのは完璧ガセだな」
『…アンタに言われたくない』
頭はポーッとするし、天井はぐるぐる回るし、イヴァンはぎゃあぎゃあ煩いし、もう、これも全部アンタのせいなんだから!!
「な、な、腹減らない?」
『減らない…』
「ホラホラ、お粥作ってやっからよ〜!」
(減ってないっつうの…)
「な!いいから大人しく待ってやがれ!」
ぺしゃんとあたしの額にビショビショのタオルを当て、満足そうに笑う。
「借りは早いとこ返しておくモンだろっ」
『ああ…ハイハイ』
先日の献身的な介抱が、こんな形で返されるとは。
もっとさー、デートとかデートとかデートとか…
して貰いたいこといっぱいあったのに!
イヴァンが部屋から出たのを確認して、額のタオルを絞りなおした。
『気持ちは、嬉しいけど、うん』
出掛けないで家に居てくれただけでも、良しとするか。
布団にもぐって、束の間の静寂に身を沈めた。
.