D.Grayman

□「独占欲」  
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 指は、いくつも皺が入った絞まりを擦るように揉んでいく。痛くはないが、違和感がとてもあって、いてもたってもいられなくなる。
「や、や、神田!」
「おい。動くんじゃねぇ。暴れると、怪我するぞ」
「ひっ」
 低い声で脅され、アレンはピタリと動きを止めた。
 ままならぬ感情がどっと涙になって溢れ、しゃっくりを繰り返す。
「ひっ、うぅ…っく」
 ぎゅっとシーツをたぐりよせ必死で我慢する。怪我をするかもしれないという不安が、動きを鈍らせるが、いつまでたってもそこに触れられるのは慣れない。
 きっと、この先も慣れることなんてないんだろう。ついに絞まりは指一本を飲みこんでしまった。そのままぐっと奥に入り込んでくる。
「うぅ…っ」
 細い指だけなのに、ひどい圧迫感に眉を寄せ、小さく呻き声を上げる。しかし、いつもより性急にされているせいか、そこには十分な柔らかさはなく、女の人のよう濡れもしないそこはいつまで経ってもそれ以上軟らかくはならない。時間が経つほど乾き、拒むように指を締め付ける。
 神田はくそっと舌打ちすると、サイドテーブルに手を伸ばした。そしてその引き出しからチューブみたいなものを取り出され、垂らされる。
「ひっ…、冷たっ」
 クリームの冷たさに身体が竦む。しかし、それもすぐに暖かくなり、気にならなくなった。
 クリームの助けを借りて、神田はもう一度、絞まりをもみほぐしていった。するとすぐにそこは指を軽々と受け入れた。
「あぁっ、あ、あっ」
 指が動き、内部をかき乱す。内部を擦られ、アレンの下肢のものは一気に限界まで張りつめていく。アレンは必死に、神田に懇願した。
「だ、ぁっ、だめっ、だめ…ぇ…もぅ」
「イキそうか?」
 何度もこくこくと頷く。頷いたら、その通りになると思った。
 量を惜しむことなく流されたクリームがドロドロになって、グチュグチュと音を鳴らす。まるでそのクリームがアレンの愛液みたいに下肢からトロトロと溢れ、シーツを汚す。
「いやらしい奴」
「や、やだぁ…っ」
 その言葉に、アレンは傷ついたように顔が青ざめさせた。神田の口から、そんな事を言われるのは、耐えられない。アレンをこんな風にしているのは神田なのに、まるでアレン自身が淫乱みたいな言い方。悲しかった。
 もう、我慢することも忘れてアレンはひっきりなしにしゃっくりを上げ始めた。どうにか隠そうとして、身を捩るが頭上で一纏めにベッドへ括り付けられてる手首が、それを邪魔する。捩れば捩るほど、紐が締まり、手首に跡を残す。
「おい。手が傷つくだろうが」
 おかしいのだ。縛ったのは神田なのに、傷が残るのは嫌らしい。
「だったらこれ、外してっ…うぅー。も、やだぁ」
 ヤケになってアレンはガクガクと手首をむちゃくちゃに振った。もう痕が残るなど、関係ない。
 本気で泣きが入るアレンに、さすがの神田も罪悪感に苛むのか、あやすような口吻をされた。やってることは最低なのに、優しい唇に懐柔されそうになる。アレンは、必死に神田の唇を吸った。
「んん…、んぅ…」
 唇を重ねながら、再度奥に入れられていた指を動かされた。さっきよりも圧迫感が増した。指が数本に増やされたのだ。しかし、十分な柔らかなそこはすんなり受け入れる。
「ん!んんっ!」
 内部を折り曲げた指で掻かれ、それぞれバラバラに動く。ぐりっと一気に広げるように動かされると堪らない。快感が、次から次へと押し上げてきて腰が揺らる。重ねていた唇が離れ、耳を舐めては時折、甘噛みし中へにも舌が差し込まれた。ゾクゾクとしたものが背筋をはい上がる。
「あぁあっ!」
「あいかわらず、耳が弱いな」
 クスリと耳元で神田が笑った。その吐息さえも、愛撫となってアレンを快感の縁へと追い込んでいく。
 中をグチュグチュと弄られ身も蓋もなくアレンは泣いた。
 一際、指が奥に届いたその瞬間、頭が真っ白になった。
「い、ぁ…あ、あぁッ…ッッ」
 目の前がチカチカと眩暈に襲われ、アレンは果てた。ガクリと身体がシーツに埋もれる。ビクビクと余韻で身体がひくついている。激しい消耗にはぁはぁ…と肩大きく上下しなんとか息を繋いた。
「おい。休むのにはまだ早いぞ」
「ぁ…ん」
 するりと指が抜けていった。途端甘ったるい声がこぼれおちる。果てた身体は一際敏感に反応した。

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