D.Grayman

□「独占欲」  
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 神田は、ぐたっりとしているアレンの足を抱え上げ、膝をわり蕾を露わにした。
「や、やだっ」
 足の膝が胸につくぐらい折られ、前も後ろも丸見えな格好に、アレンは抵抗した。しかし力が抜け切った身体では、抵抗にもならず、それどころかトロンとした表情に神田を図に乗せてしまう。
「じっとしとけよ」
「あ……」
 ピタリと神田の熱いそれが当てられた。そして、一拍おいてぐっと入ってくる。
 指とは比べものにはならない圧迫感がアレンを襲う。しかし、痛みはない。
「くぅ……っ」
 神田が小さく呻き声を上げる。それがなんだか色っぽくて、ドクンとアレンにまた快感が這い上がって、そこが緩まるのがわかった。
 ずずっと時間をかけて、神田のものが奥に入ってくる。最後まで入ると、小さく神田が吐息を漏らした。その吐息に、アレンの方がドキドキしてくる。
「あ…ん」
 中で神田のものが脈を打っているのが分かった。自分とは違う、他人の鼓動。なんだか不思議な感じだけど、それが神田のものだと、それだけで感じた。
 頃合いを見計らいゆっくりと神田が動きだす。
「あ、あ、あ…」
 奥まで入っていたものをまた引き抜かれる感触に、ゾクゾクと電流がはしり、一度果てた欲望がまた頭をもたげる。
 そのまま体重の重みの勢いでずんっと奥に突かれる。
「あぁあっ」
 悲鳴をあげ、それでも奥に感じる神田のものに、アレンの身体は歓喜した。
 深く、指では届かなかった場所をえぐられる。
 次第に神田の腰の動きが早くなる。
「あ、あっ、あ、ん」
「アレン…っ」 
 短く、高く、アレンの声が上がる。神田も感じているのか、滅多に呼ばないアレンの名前を呼ぶ。
 どんなにひどくされても、アレンはこの瞬間が好きだった。
 常にモヤシや馬鹿と呼ばれているけれど、この時だけは、神田はアレンの事を名前で呼んでくれる。きっと、無意識の事かもしれないけれど、無意識の方が嬉しかった。激しく抜き差しされるほど、アレンの腰も浮き神田の腰に動きを合わせていく。
「ああっ、あっ、あっ…んぁっ」
「気持ちいいのか?」
「い、いいっ」
 優しい声色で神田が問うてくる。あまりにも優しいものだから、アレンは素直に頷いていた。す ると、柔らかく神田が微笑んだ。そんな笑顔は貴重なもので、アレンはずっと見ていたいのに、激しく揺すられる身体にできなくなる。
 気づけば、いつのまにか手首を縛っていたシャツが解かれていた。自由になった両手で、必死に神田にしがみつく。この世で神田しか頼るものしかいないとばかりに、きつく、その綺麗な背中に爪痕を残していく。
 いつのまにか、神田の意地悪もなくなっていた。でも、そんな事に気づく余裕なんてなくて、アレンはひっきりなしに喘いだ。パサパサと汗で湿った髪が首を振る度にシーツにたたかれ音を出す。熱情に濡れた声は、普段からは考えられないほど、色っぽくそして、快楽に身を委ねる姿は、どんな女にも負けない艶めかしさをだしていた。半開きになっている唇から覗く赤い舌に誘われ、神田は唇を重ねた。悲鳴が消され、代わりに鼻に掛かった声が洩れる。
「アレン…」
「んん…ふぅっ」
 すでに口吻というより、お互いの唇を喰らうといったもので、アレンの唇をすっぽりと覆い舌と歯で舌をはむ。息さえも奪われる激しさに苦しむがそれ以上に、がむしゃらに乱暴にされればされるほど、神田が夢中だと伝わってアレンは無我夢中にそれに答える。
「んふっ…はぅっ…」
 いくら食い尽くしても足りないとばかりにあちこちに唇を這わせていく。瞼の上、こめかみ、耳朶、耳の裏側と、神田の触れない所はないとばかりに、刻みつけられていく。
 でも、それが嬉しいと感じるアレンはもっと重症なのだろう。
 神田のものも限界に近づいてきているのか、動きが一層激しく鋭くなっていく。アレンのものも、限界だった。
「か、神田っ。い、イクっ、いっちゃっ」
 熱に魘された瞳で懇願すれば、真剣な顔が「わかっている」と返してくる。剣呑な容貌はいつもより一層、鋭さを際立たせ見つめられいるだけで、感じてしまう。
 ぐちゅぐちゅと下肢からは霰もない音が、激しい息遣いに紛れ部屋に響く。
 ぐりっと、強く突かれた。
 その瞬間。
「あ!あ!…いっ、―――――あぅっ」
「クッ」
 ピンと頭のてっぺんから、足の爪先まで吊ったように痙攣し、やがて力尽きた毛ように腕がパタリと落ちた。それと同時に、中で熱いものが弾けたのを感じた。中が濡れたのが分かる。歓喜にアレンは身震いした。
 ピクピクと腰を揺れ余韻を味うかのように、きゅうぅと中が締まりつく。神田は、愛おしいほどの締め付けにふっと柔らかく微笑んだ。

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