D.Grayman

□「もう一度君に恋をして」 第ニ話『再会』
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第ニ話 「再会」


あれから数日後−−−−。


すっかり身体の調子も、動けるまでよくなったアレンはリナリーに教団内部を案内してもらっていた。
「ここは食堂よ。24時間開いてるからお腹空いたらここに来てね。それとあっちは修練場。ここで皆、暇さえ訓練してるの。3階に渡ってあるからそれぞれ自分にあった訓練が出来るのよ」
「へぇ〜」
アレンはリナリーの説明に、ちくいち大袈裟なくらい関心の声をあげた。
キョロキョロと珍しげに見渡す。
自分の知っているところを見れば、少しはなにか思い出すかと思っての案内だけど、リナリーには申し訳ないが、ちっともピンとこない。
それどころか、アレンはドキドキと胸を高ならせていた。
こんなところが、僕の家だなんて。
まるで本の中の主人公になったかのようだ。
「あっちは兄さんがいる研究所があるの。療養所に書室なんかもあるのよ。あとは、他の仲間の部屋とか……」
ふいにリナリーは話すの止めた。
どうしたんだろうとリナリーを見ると、リナリーは肩を震わせて、クスクスと笑っている。
「え?リ、リナリー?」
「ふふっ。ごめんね、いきなり。ふふふっ」
謝りながらも、リナリーは笑うの止められないようだ。
そんなに笑う程、可笑しい事してしまっただろうか。
目尻に滲んだ涙を拭うリナリーに、アレンは不安になっていく。
「ごめんね。でも、アレン君ったら、同じ反応なんだもの」
「同じ?」
「うん。アレン君が初めて教団に来た時に、案内したのも私なのよ」
「そうだったんですか…」
「うん。あの時とアレン君、同じ。やっぱりアレン君はアレン君だよ。ねっ」
懐かしい昔を思い出すようにリナリーはニコリと笑う。
だけどアレンは、自分の事なのに、他人事のように聞いていた。
自分なのに、自分じゃない。
反応に困っていると、リナリーはアレンの戸惑いを察したのか、すぐに話しを切り上げた。
「あ、そうだ。私、ちょっと兄さんに呼ばれているの。アレン君、ちょっと待ってて」
「えっ!ちょ、リナリー!?」
「すぐ戻るから」
そう言って背を向け、リナリーは目の前の階段を降りて行ってしまう。
一人の残されたアレンは、仕方なく階段の脇の壁にもたれた。
「こんなところに、一人置いて行かなくても」
万が一、誰かに声をかけられたらどうしたらいいんだろう。
アレンはぽつりと呟いた。
記憶が無くなる以前の僕ならまだしも、今の僕は……。
かといって、リナリーに待っててと言われ手前、動くこともできず、アレンは所在なさげに、立ち尽くした。
しばらく待つと、階下からこちらに近づいてくる音が響いてきた。
リナリーだ。本当にすぐだったらしい。ホッと安堵しアレンはぱっと顔を輝かせた。
「リナリー!早かったですね!!」
「あぁ?」
「え……?」
だ、だれ…?




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