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□愛の表現〜続
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あの人が


来  な  い



――――――――


寒い..


今が何月か..
そんなことを考えたのは久しぶりだ


今は夜かな?それとも昼か..


お腹がぐー、となった



おかしい。

おかしい。


あの人が来ない

毎日絶対に来ていたあの人が..


どうして?

捨てられた?

こんな汚い地下室に放置?


そんなの嫌だ

みんなに会いたい


なんでこんなことになってしまったんだろう..


どうしてあの人は狂ってしまったんだろう

前に戻りたい

みんなで市民をまもって、立派になるんだ


でも、それはあの人に寄って奪われた


絶望的だった

逆らえばすぐ暴力。

体も限界だったけどそれ以上に心が脆かった


プライドもなにもかも捨てた

そうしないとすべてを壊されそうだったから。



そんなことを考えながら静かに目をつぶった

起きたらあの人がいますように。




――――――――


寒くてパチリ、と目が覚めた。


やはりあの人はいない


どうしたんだろう。事故でもあったのか?それとも..

…あれ?

なんで憎むべき相手の心配なんかしているんだ?


そうだ。俺はあの人を憎むんだ。

俺からなにもかもを奪ったあの人を.....


でも、憎めない..



お腹が空いた..

早く来て..


もう逆らわないから

我が儘言わないから


会いに来てよ

淋しいよ




土方さん..



視界がぼやけて世界が歪み始めた..
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