歯医者さんシリーズ

□恋心<こいする>
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 心







全く、めんどくせー。

んな相談、オレに持ち掛けんな。


と、口では嫌そうに言いつつも、いや実際嫌がってはいるが、シカマルは面倒見がいい。

結果、仲間内、外を問わず相談を受ける事が多くなる。

面倒見の良さだけではなく、見た目からでは計り知れない彼の頭脳を頼りにしている者も多数を占めるからだ。


今回彼を悩ませているのは、この学校で知らぬ者のいない有名人、うずまきナルトである。

金髪碧眼で日に焼けた顔は男前と言えなくもないが、彼を有名人たらしめている理由は、容姿ではなく素行にあった。


『キレると何をするか分からない』人物として警戒されている。この、木ノ葉学園内、外を問わず、喧嘩や障害沙汰を繰り返してきた。

それでも、退学にならずにすんでいるのは、理解ある学園長と担任教師イルカの苦労と、ナルトからは仕掛けた事がない、という理由だろう。

いつも、友人や知人へ、もちろん自分自身へが一番多いが、向こうから絡んでくるのを返り討ちにしている。
しかし、やり過ぎるのだ。

『アイツは、限度ってものを知らない』とも評されている。

つい先日も、親友のサスケに絡んできた他校生を、意識が無くなるまでボコボコにしたと聞く。

小学校からの腐れ縁であるシカマルから見れば、普段は単純・ガサツ・うるさい、という解りやすい男だが、仲間が絡むと感情のコントロールがひどく不器用だとは思う。

情に篤いというだけではない、どこかほの暗い感情を目の奥に感じる事がある。

そして、それは自分達と馬鹿みたいに笑って過ごしていても、決して解消出来ないものだと気付いていた。

だが、どうしてやることもできない。自分自身で、欠けた部分を埋めるしかないのだ。

生まれた時から親のいないナルトは、両親のいるシカマルが当たり前に手にして来た沢山のものを、どうしたって得られない。

シカマルにはナルトの喪失感は想像する事しかできなかった。

ただ、友人として、少しでも理解したいという想いはある。


馬鹿で単純でめんどくせーヤツだけど、相談のってやるか。
このままほっとけねーしな…


そうして聞かされたのだ。


彼の最も苦手な分野の問題を。
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