歯医者さんシリーズ
□七班<なかま>
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「サクラちゃん、また明日!」
慌ただしく別れを言って、ナルトが教室を出て行った。
ナルトが、生活を見てくれている木ノ葉学園三代目理事長に、毎月少しづつ返済しているのは、サクラとて知っている。
そのため、以前からバイトには熱心だったが、このところ輪をかけて忙しそうだ。
サクラとしても、それが気にかかっていた。
夏休み間近のこの時期、ナルトがどんな進路を希望しているのか知らないが、バイトにばかり集中していて良いのだろうか。
おまけに、疲れているのだろう、授業中に居眠りをしている事がよくある。
決して成績はよくない…寧(むし)ろ赤点スレスレで来ているナルトだ。
進学する者にとってこの夏がいかに重要か、分からないはずないのに。
──アイツ…あんな調子で大丈夫なの?
最近、雰囲気が変わった事といい、ナルトの中で何かが起きている。
時々、シカマルと真剣な顔で話しているのを見かけるが、それ以外はいつも通りだ。
――ナルト…あたし達に隠し事できると思わないでよね。
次の日、サクラは授業が終わると早速行動を起こした。
「ナルト、今日空いてる?」
「おう。今日は久々にバイト入ってねーし、7時までならダイジョーブだってばよ」
「そう。…だったらちょっと顔貸しなさい」
にっこりと微笑みながら言う。
「…サ、サクラちゃん、なんかさ、俺、マズイことした…?」
逆にその笑みが怖いと、顔を引き攣らせるナルト。
「いいから、付き合いなさいよ」
腰が引けているナルトを無理矢理引っ張って行く。
それを見ていたクラスメイト達は内心、同情せずにはいられなかった。
「…ナルト…可哀相に…。サクラ怒らせるなんて命知らずな…」と。
ただ一人…サスケを除いて───
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