□Sign
1ﾍﾟｰｼﾞ/2ﾍﾟｰｼﾞ
白くて長い指が、もっと白いチョークに添えられて
濃緑の黒板の上、不規則な硬い音をたて
美しい数式を描いてゆく
Sign
―――金曜日、PM 2:50 本日最後の授業。
―――カツ、カツ、カツ……カツ
―――三回と見せかけて、四回。
想定外の喜びに胸を弾ませチラリと合図の主を見やれば、教科書で口元を覆って、わざと視線をそらしてる。
そんな事をしなくても、常にマスクで隠されているくせに、と こそりと笑う。
二回は、電話だけ
三回は、お泊まりなし
四回は―――朝まで、いられる
俺と先生、ふたりだけの
秘密のサイン
終
後書に続く
