天井裏部屋

□献血
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「…六代目、元暗部の先輩に聞いた話なんですが…」

「ん、何?」






 







事の起こりは火影の護衛。毎夜繰り返される愛の営みに出血が止まらない。
天井裏に広がる血の海に掃除をしていた女暗部が切れた。

「もうっ、あんた達!そんなに鼻血垂れ流さないで!バケツでも持って護衛したらいいでしょ!そうしたら床汚れないから!」

「そんな事言ったって、カカシ先輩のエロさは半端ないんだぞ!」

「分かってるわよ!そんな事。何たって伝説の人なんだから」


かつて四代目に愛された時、四代目は一度だけ護衛達にカカシの声を聞かせたという。その時の護衛達は、こんなのを毎度聞かされては身がもたないと嘆願書を出したという。



「とにかく、護衛の時はバケツ持参の事!いいわね!?」


という訳で暗部の護衛はバケツ持参となったのだが、その処理をしている時に忍医に見つかってしまった。

「何をしてるんですか?」

「い、いや…ちょっと…」

「え?血?」

「いや、あの…」

「そんなにたくさん…どこか怪我を?」

「怪我では…ないんだ。心配ない」

「怪我でない?じゃあ何なんです?ごまかさないで教えてください」

ポキリと指が鳴る。綱手仕込みの怪力をここで経験するのだろうか。暗部の背中にタラリと嫌な汗が流れる。
大量の血の訳を知られ、そんなに血気盛んなら護衛前に献血に来るよう言われてしまった。

そんな事に従う必要などないのだが、如何せん相手が悪かった。綱手2号と称される彼女を怒らせる気にはなれない。渋々従う暗部達。


「う…ん……あっ、ナル…ト…」

「可愛い…カカシせんせー」

「か…わいい…って、言うな…」

「諦めろって。んっ」

「あっ…やめ…ん、んっ…」



ポタポタッ…。

献血を行ってから護衛に就いたというのに、結局カカシの色気にやられてしまった。生半可な色気ではない。さすが伝説の男はたけカカシ。人間凶器は伊達ではない。

そして、女暗部からの話となったのである。




「元暗部の先輩の話に寄ると、結界を張り声も姿も見せないようにしたら、カカシ先輩の乱れっぷりが上がったと四代目が喜んでいたそうですよ」

「そうなのか?」

「カカシ先輩も、何の気兼ねもなくなって集中しやすくなったのでしょうね。与えられる愛撫に素直に応えられたのでは?」

「そっか…試してみるかな」

これで天井も血みどろにならず済むだろう、と女暗部はホッと一息つくのだが…。



「…っ…」

「せんせー、今日は結界張ったから安心してくれってばよ。なあ、声聞かせて…」

「な…ナルト?…あっ…」

「誰もせんせーを見てないし、聞いてない。オレだけだってばよ…」

「う…や、や…あっ…」

確かにいつもより乱れるカカシに、結界を張った甲斐があるというもの。
ナルトはにんまりと微笑んだ。

「あ、ナル……もっと…」


ボタボタボタッ…

カカシの腹に生暖かい物が滴り落ちると共に、血の臭いが鼻を掠める。
快楽に酔い痴れていたカカシは何事かと慌てて目を開ければ、ナルトが手で口許を抑えその隙間から血が溢れていた。

「どっ、どうしたの!?ナルト」


甘かったと思う。カカシのエロさは殺人鬼並。
結界を張って、いつもより乱れてくれたらそれでいい。そう思っていたのだ。が、思っていた以上に乱れ、あまつさえ強請られてしまった。
平静でいられる筈がない。喜びと興奮とで出血と相成ってしまったのだ。
そんな事微塵にも思わないカカシはうろたえてしまっていた。
結界を解き、護衛を呼び寄せる。

「火影様が出血なされた!お医者呼んで!」

「だ、大丈夫だから、落ち着いて。カカシせんせー」

「大丈夫じゃないでしょう。男の鼻血は良くないって言うし…」

「や…これは…」

入って来た暗部は、六代目はカカシ先輩にヤられたんだなと密かに思った。

ナルトが説明しようとする間に、カカシは己の中に挿っているナルト自身から抜け出す。ずるりと抜ける感触に、カカシの顔が少しの快感と出ていく淋しさと安堵に顔が歪んだ。

その顔に暗部もヤられた。
ナルトと共に鼻血を吹き出したのだ。
白い肌に紅い血が流れ落ち、所々に鬱血の痕が華開き、綺麗なピンク色の淫茎が天を向いている。そして男を銜えた身体を動かし外してみせる。
その惜し気もなく晒された肢体に恥ずかし気な表情。潤んだ瞳に見つめられ、堪えきれずに噴き出した。

「ちょっ!」

再び出血したナルトと共に、暗部まで鼻血を出した事にカカシは軽くパニクった。
裸のままベッドを下りようとするのを慌ててナルトが引き止める。

「どこ行くんだってばよ」

「どこって、タオル…」

「そんなカッコで歩き廻ったら襲われちまうだろ!?」

「は?」

「せめて何か羽織って、その肌隠してくれってばよ…」

近くにあったティッシュで血を拭き取りながらカカシを抱え込む。


「六代目のおっしゃる通りですわ、カカシ先輩」

床に脱ぎ捨てられていた羽織りと着流しをそれぞれに掛けながら女暗部は言った。

「鼻血の方はご病気ではありませんから、心配はいらないですよ?それより、裸のまま動き廻るのは六代目のおっしゃる通り、危険ですのでお止めになった方がいいです」

『危険』を強調して言いながらナルトに濡れタオルを渡す。

「危険って、何が?」

自分の魅力を一切分かっていない。この人が『自分』というものを理解しない限り、献血と鼻血という貧血に悩まされ続けるのだ。
そこに居合わせた暗部達は、深い深いため息を吐いた。


その後、カカシという愛する人の危険度に気づいたナルトは、一日置きに結界を張るようになったとかならなかったとか。

そして、カカシを抱く時に鼻血を出したとナルト本人から聞いたサクラは、当然の如くナルトからも献血させたのであった。
おかげで木の葉は輸血には困らなくなったとか。

めでたしめでたし?






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