天井裏部屋

□血が足りない!!
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足りない!!







火影の護衛の任に就いているとある女暗部。
彼女は近頃ある問題について頭を悩ませていた。

インフルエンザの流行についてである。

世間では新型インフルエンザが発生して以来の大流行で、ここ火の国木の葉の里も例外ではなかった。
そしてその歓迎できかねる流行の大波は、ついに屈強を誇る暗部所属の忍達にも襲い掛かって来たのである。

新型はキツイ。
突如かなりの高熱が出て嘔吐に下痢に関節痛、ひどい場合には脳までやられるらしい。
幸い、さすがに極限まで体を鍛えている暗部の隊員達にそんな重症者は出てはいない。
……出てはいないが、さらなる感染を防ぐためにも罹患した者は隔離して2、3日の自宅待機となる。
そうしないといけないほどまでに、この度の新型インフルエンザの感染力は強力なのである。
案の定、ここ数日のうちにばったばったと倒れていく隊員が続出である。


……人手が、足りない…………。


火影の護衛は非常に重要な任務だ。手薄にするわけにはいかない。
……一体どうしたら良いのか。
このままでは暗部以外の忍びに助っ人を頼むしかなくなってしまう。
しかし火影の護衛の任、特に火影室の護衛などは誰にでも助っ人を頼めるものではない。
全く頭の痛い問題である。


最近みんな、献血しすぎだったのよ。
血が薄くなりすぎて免疫力でも落ちていたのかしら………。


彼女は元暗部の先輩が六代目火影との夜の営みの度にダダ漏らすエロフェロモンに
夜毎鼻血が止まらぬ同僚たちの有様を思い出しては苦笑する。
彼らは止まらぬ鼻血が医者に見つかり、血の気を少しでも減らすため、定期的な献血を余儀なくさせられているのである。
輸血用血液に困らなくなった忍医らはホクホク顔である。
しかし、今度はその度重なる献血が裏目に出たようだ。
普段屈強な隊員達の体力が落ちている。


……情けないわねえ。


女暗部は人知れず、長いため息をつくのであった。




*********************




「んっ………、ふ…ぅっ………んんっ!」

「センセ……、相変わらず、声が色っぽいってばよ……」

「あ、ナル…ト……、やめ………!あっ、あっ……!!」

若く力強い手に両足を大きく割り開かれて、膝に乗せられ後ろから突き上げられる。
カカシは忍んでいた声を抑え切れずに大きく喘いだ。
六代目火影の寝室で夜毎繰り返される痴態。
今宵はこれまた大胆に後背座位からのご開帳である。
天井裏でベッドの上の二人を見守る者からはカカシの秘部が丸見えだった。


ろ、六代目め、ワザとか…………!?


天井裏の者は、鼻血を出さぬよう、必死で耐える。
おかげで鼻血は出さずにすんでいるが、ギリギリと歯軋りが止まらない。


「先生のこんな姿、誰かに見られたら、センセどうする……………?」

「ば…バカ、ナルト……い…い加減……に、し、……あぁぁっ!!」

大きく張ったカリの部分が好いトコロを掠め、カカシは堪らず達してしまった。
なにしろ、見られているのはわかっているのだ。二人とも。
わかっている上での行為なのだから、興奮の度合いも高いというものだ。


「先生、先生、俺もイク………っっ!先生っ!!」

「ああっ、ナル、ト…っ、ああっ、あぁっ」

カカシはナルトに突かれるたびに白濁を飛ばした。
恥ずかし過ぎて穴があったら入りたいぐらいだが、残念ながら今は自分の穴にナルトの肉棒が入ってしまっているのだ。
カカシはそれを自覚した途端、羞恥のあまり全身を桃色に染めて更なる高みに登りつめてしまったのだった。



ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっっ!!!!!



声なき声が天井裏から聞こえたような気がしたようなしないような。
そして次の瞬間大きな音が寝室に鳴り響く………。




*********************




「なあなあ、最近さあ、時々おかしいんだってばよ。」


次の日の朝、六代目火影が己の護衛についていた女暗部に話しかけてくる。
女暗部はぎくりとしながら、なんでしょう、と答え返した。


「ほら、夜の…さ、カカシ先生とセックスしてる最中にさ、天井から変な音がすんだってば」

「変な音……ですか」

「ああ、変な音だってばよ。ギリギリ、とかガタガタって音がしたかと思うと、ピシャって音がすんだよピシャーって!」

「ははあ……、ピシャ…ですか」

「そうだよ、ピシャーっ………とだってばよ」

「……………………」

「昨日の夜なんかさ、もっとひどい音だったってばよ!?
こう、どばああああああっだか、ばっしゃああああああっだか、
まるで水の入ったバケツをひっくり返すような音だったってばよ」

「……………………………………………」

「なあなあ、火影室の天井裏、一体どうなってるんだってばよ??」


頼むから私に聞かないで欲しい。


女暗部にはその怪音の正体も天井裏での事情もとうに解ってしまっていた。
それもこれも新型インフルエンザの大流行のせいである。
そのせいで人手が足りなさすぎたのだ。


女暗部は肺腑の底からため息をついた。
そしてあの男(元暗部で暗部引退後の現在、木の葉の里の建築部長を完全に趣味でやっている男だ)に、
夜の火影室の護衛任務の助っ人を何度かお願いしたことを心の底から後悔する。
現火影の元上司で、当時は暗部一の手練れと前火影のお墨付きだったあの先輩が、
まさかカカシ先輩のベッドでの凄絶なお色気にあてられて、
昨夜はついに輸血が必要になるほどの大量の鼻血を吹いてぶっ倒れた、


…………なんて、言えるわけがない。



「はああぁぁぁぁぁ……………」



…………男って本当におバカね。


女暗部はまたもや長い長いため息をつくのであった。




*********************




次の日、暗部宛に一通の封書が届いた。
差出人は木の葉病院長である。
その封書の内容は、要約するとこうであった。



−−−−−−−−−−−

暗殺戦術特殊部隊内、火影護衛班長殿


貴部隊におかれましては、これまで貴部隊員による献血のおかげにて当方も大変に助かっておりました。
しかしながら昨夜の一貴隊員による大量輸血により今までのA型ストックがパア。
貴重な血液を部内でリ サ イ ク ル するのは お や め く だ さ い。



−−−−−−−−−−−




ストックが全てパアだなんて、あの先輩は一体何リットルの鼻血を吹いたんだか……。


厳密に言えば、昨夜輸血を受けた先輩はもう現役引退してるし、すでに暗部隊員ではなくなっているのだけど……。


と抗議内容に抗議するのもなんだかアホらしく思えて、
女暗部は受け取った封書を事務机に放り投げたとか投げなかったとか……………。








Fin.
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