天井裏部屋

□おまもり
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砂の里との会談を終え木の葉の里へ帰る途中、ふとカカシが呟いた。

「そういえば、この先の温泉街に…」
「え? 温泉?」

温泉≠ニいう言葉にナルトが反応した。

「あ…うん」

カカシは少し戸惑うような素振りを見せた。

「何かあるってば?」
「いや…」

それ以上は何も言わず、早く帰ろうと歩を進める。
何も言わないカカシに何かあるなと践んだナルトは、後で絶対聞き出してやると決め、カカシの腕を引っ張った。

「温泉があるなら、そこで一泊していこうってばよ」
「一泊って、お前…。そんな予定なかったろう?火影が里をそんなに空けてどうするの」
「固い事言いっこなし!里にはシカマルもいるし、大丈夫だってばよ。それに…」

ナルトが声を潜めて言った事は──

「日頃、オレの警護で疲れてるあいつらを労ってやりてぇんだ」

その言葉にカカシは微笑んだ。日々火影として忙しく働きながらも、こうして自分の回りを世話する者達を気遣う優しさに。

「そうだね、それじゃ一泊していこうか」

カカシの同意を得、やった!と喜ぶナルト。何だかんだ言いながら、一番喜んでいるの自分じゃないのとカカシは苦笑する。







もり







温泉街に到着すると、一行はキャーと黄色い声に迎えられた。そしてバーゲン会場に突進するオバちゃんよろしく女の子達が向かって来る。
それにナルトは固まり、カカシは恐れをなして2、3歩後ずさる。
あっという間にナルトは女の子達に囲まれてしまった。

「木の葉の六代目火影様ですよね!?」
「嬉しい! 一度お会いしてお話ししてみたかったんです!」

ナルトは即座に営業用スマイルを浮かべて対応している。
それを少し悲しげな微笑みを浮かべて見ているかカカシ。

「…先輩…」
「…オレ、行く所あるから、後よろしくね」

カカシは暗部達にそう笑顔を向けると、瞬身で姿を消した。

「カカシ先生!!」

ナルトは慌てて呼び止めるも、既にカカシは消えた後だった。

「先輩、悲しそうだったな」
「ああ、六代目はおもてになるからな」
「やる瀬なかったろうな…先輩は男だし」
「別れるとか言い出しそうだな」
「有り得る…」
「オレ、宿を探してくるよ…」


暗部達はひそひそと小声で話してはいたが、その声はしっかりナルトに届いていた。
内心物凄く焦っていたが、表面は何事もなかったかのように振る舞っていた。

漸く女性達から解放されたナルトは、暗部が探して来た宿に荷物を置くとカカシを捜し始めた。
だが、カカシの姿は杳としてしれなかった。

「何処に行ったってばよ…先生…」

ナルトは立ち止まり、目を瞑る。気を集め仙人モードに切り替えカカシの気を探った。

「……見つけたってばよ。お前達は宿に帰って待ってろ」

そう言い残し、姿を消した。






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