忍であることの前に
□幸せの光景
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幸せの光景
side. N
俺が25の歳にカカシ先生は忍を辞めた。
「これ以上執着しても、足手纏いになるだけだから」
そう言って、はたから見てる分には拍子抜けするくらいあっさりと現役を退いた。
まだ40にもなっていない百戦錬磨の上忍の突然の引退宣言に、大げさでなく里は揺れた。
だってあの『写輪眼のカカシ』なのだ。
他里にまで勇名が知れ渡ったあの『はたけカカシ』が。
だけど先生はその胸中をくどくどと説明することなく表舞台から引っ込んだ。
きっと綱手のバァちゃんですら、聞いてないと思う。
こういう時、アスマ先生がいたら、きっと胸の内を明かしていたんだろうと、俺は亡くなって10年近く経つあの咥え煙草の男を思い出す。
でも実際、あの人はいない訳で。先生が本当のところ何を思っているのか誰も知らない。
もちろん、俺も。
自他共にカカシ先生の恋人だと認める身としては、そこの辺りがどうにも悔しい。
相談すらしてもらえない彼氏(旦那と呼んでくれても可)ってどうなんだろう。
お前はまだまだお子サマなんだと言われているみたいでひどく情けなかった。
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