01.二人ぼっちの戦い
「……武、生きてる?」
「ああ、何とかな。」
敵の姿が見えなくなってから、彼女の声がした。
たった2人で敵陣に乗り込み、ほぼ壊滅状態にしつつあった。
「何人目だったのかな…?」
そんな彼女の呟きに似た声に胸が締め付けられた。
本当に何人目だろう。
何人の人を切っただろう。
「慣れ、って怖いね。」
俺はかける言葉が見当たらなかった。
「自分で決めたことだけど、こんなことに慣れたく無かったな。」
相変わらず言葉が見当たらなかったが、身体が動き彼女を抱き締めていた。
「ごめんね、こんな事言って……。」
彼女の言葉に首を振り、何とか言葉を絞り出した。
「……早く終わらして帰ろう、な?」
「…うん、そうだね。」
少し落ち着いてから、また彼女が言葉を紡いだ。
「武と一緒でよかった。他の誰でもない武が一緒で本当に……。ありがとう。」
そう言った彼女を抱き締める腕に力を込めた。
俺の存在が貴女の安らげる場所になれればいい
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