ポケットモンスターspecial

□エピソード:スリー
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シュウとレモンは父から預かったインバーターを隣のヒチシティに届けるために「クラの森」を通っていた

「春じゃないのがざんねんだね〜」

「地面さえちゃんと整備されてたらローシューズで…」

ここ「クラの森」は自然の桜のみが生息する森
何一つ人の手が入っていないため道らしき道は有るものの、地面も荒れ放題だった
そのため2人は徒歩で森を越えることとなる

「ほんと情緒がないんだから…ねえ、ムーちゃん?」

ムウマがキシシと馬鹿にした笑いをする

(このムウマ…)
「まぁ別にいいけど…レモンどこ行くんだよ」

「見て見てこの花、いい香り〜」

(はぁ…早く行きたいんだけど)
「ってレモンその花は!」

「え?」

プシュッ!
ちょうど振り向いたのが幸いした

(あれ……なんだか………しび…れ……?)

「レモン!」

しびれごなを浴びて地面に倒れるレモンをシュウが受け止めた
そしてチラッと前を向くとキレイハナが森の奥に走り去っていくのが目に入った

「…大丈夫か?」

「うん…たぶん……」

「街中と違って野生がいるんだから不用意に動き回るなよ?」

「……ごめん」

(ふぅ…大丈夫そうだな)
「あのデカイ樹の影で少し休もう、歩ける?」

首を静かに横に降るレモンに肩を貸し樹の下まで歩き腰掛けさせる

「直接は吸ってないだろうから、痺れがとれたら教えてよ」
コクンと静かに頷く

レモンのすぐ横に腰掛けてフシギダネとイーブイをボールから出す
「少し休憩だ、あんまり遠くに行くなよ〜」

二匹にムウマを加えた三匹は我先にと木々の間を抜けていった

やれやれと眠そうにあくびするのち、爽やかに揺れる木々に澄み渡る空を見上げる


そう言えば前にも同じようなことが…

「ムーちゃん、シャドーボール!」

「フシギダネ、はっぱカッターだ!」

それはレモンの家族と共に川にキャンプに行った時のこと

スバンッ!

シャドーボールがはっぱカッターを弾いてフシギダネにヒットする
勝負はすぐにかたがついた

「やったね、ムーちゃん♪」
「フシギダネ、大丈夫か!?」

レモンの勝ち

シュウは善処したほうだった
何せ始めたばかりなのだから

「ゆっくり休んでくれ…あれ、レモンちゃん?」

フシギダネを傷薬で治癒している間にどこかに行ってしまったようだ
レモンもシュウもこの地域に来たのは初めてのこと
あまり遠くに行ってしまうと厄介だ

「ふぁぁあ…」

え?
少し奥から聞こえたのは…?
声の聞こえた方に駆けつける

「レモンちゃん!」

地面に横たわるレモン
少し視線を前にずらすとそこには一匹の野生ポケモンが
なんだ、こいつ?

ダダッ!ズズン!

「うわっ!」
そいつはシュウに体当りをした
地面にぶつかった衝撃で腰のモンスターボールからフシギダネが飛び出した

フシギダネははっぱカッターを繰り出す
だが軽やかなステップでそれはかわされる

相手はまた突っ込んできた
フシギダネに体当りするつもりだろう

このままじゃあ……

その時だった

ピカッ!

背にする河から無色透明の光
うっすらとだが竜の形を模しているように見える

野生のポケモンは光で怯んでいる
今だ!

「フシギダネ体当り!」

ズドンッ

見事に命中
野生のポケモンはその場に倒れ込む

今なら!

そう判断したシュウは鞄から空のモンスターボールを投げる

ピコッ…ピコッ…カチッ

モンスターボールの鼓動が止まる
「やった!ゲット…出来た?……」


はっと気付いて後ろを振り向くが既に光は消えていた…

喜びも束の間…
「そうだった!レモンちゃん!」
あわてて側に駆け寄る

「レモンちゃん、大丈夫!?」

そして焦りも束の間…
「ん、ふあぁぁ…おはよ〜シュウちゃん…」

…あれ?
シュウは今までの経緯を話した

「あぁ、イーブイのアクビを見たら私も眠くなっちゃって…」


そう、それがイーブイとの出会いだった










「…てよ………起きてって〜!」

「ん?」
どうやら寝てしまったようだ
さほど時間はたっていない

「もう動けるんだ、慌ててどうしたの?」
「うん、ムーちゃんたちが帰ってこないの…」

え?
言われてみれば静かすぎる
3匹が近くにいる気配は全くしない


仕方無い、少し探しに行くか

そう考え立ち上がった……

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