短編

□好きな人が側にいる
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「はぁ…」

綱吉から溜め息が漏れる。
その溜め息は何度目か分からない程何度も繰り返している。
その理由は綱吉の周りにいる人だったら誰でも知っている事だ。

「雲雀に会えねぇからって湿気た面してんじゃねぇ。」
「リボーン…俺はこの紙の山が一向に減らないのに溜め息付いてんの!」

苛立った様に言う綱吉は今や23、一般から見れば小さいが、明らかに大人に成長した事が分かる。
リボーンはと言うと、まぁ色々あり大人の姿に戻り、綱吉よりも背が高く、綱吉がよく背交換して!と言うぐらいだ。
他の守護者達も明らかに大きくなり、中学の時と変わらず、綱吉が一番小さいのだ。

「文句ならこの書類溜め込んだ奴に言いやがれ。」
「いや無理だから。言えるもんなら言ってやりたいけど…」

この紙の山を出しに来たのはクローム達だ。
達と言うのは犬と千種の事。
骸はと言うといつもこう言ういじめか!と思う程の紙の山を持って来る時はいない。
その代わり来なくて良い時にはしつこい程に来るのだ。

「はぁ…」

二日連続徹夜で溜まった報告書やらを処理し終わった時に来たこの倍はあるであるう報告書の山は、徹夜して五日は掛かるだろう。
見るだけで逃げ出したい衝動に刈られる綱吉は一人の人を思い浮かべた。

「さて、三日で終わらせよう!」

頬をパンッと叩き、気合いを入れた綱吉は黙々と山済みの紙に目を通していった。






「んっ…誰?」

いつの間にか力つき寝ていたらしい綱吉は気配が近付いて来るのに目が覚めた。

「まだ寝てなよ。」
「きょ、恭弥さん!?」

ギュッと後ろから抱き締められ完全に目が覚めた綱吉は久し振りに聞く声に目を見開いた。

「疲れてるんでしょ?」
「これくらい全然大丈夫です。ところで恭弥さんは何で?」
「何、用事がなければ会いに来たらいけないの?」

ムスッとする恭弥に綱吉は苦笑いを漏らし、いいえと首を左右に振った綱吉は会いたかったと恭弥の方を向き、飛び付く様に抱き締めた。

「今日何日か覚えてるかい?」
「今日?…あっ!」

カレンダーを見た綱吉は思い出した様に声を上げた。
それに雲雀がフッと笑ったのにツナも釣られて笑た。

「「メリークリスマス。」」

二人は声を揃えて言い、自然と唇を合わせた。



オマケ

「そう言えば恭弥さん。」
「どうしたの?」

甘い一時を過ごしていた二人はベットに寝転んでいた。
そんな時にフッと綱吉は疑問に思った事を聞こうと口を開いた。
それに反応した雲雀は綱吉の頭を撫でて聞き返す。

「恭弥さんに任せていた仕事は…」
「勿論済ませてるよ。」
「せてるって…終わって無いんですか!?とか誰に任せて来たんですか!」
「ねぇ。そんなことよりまだ足りないんだけど。」

雲雀は体勢を変えて綱吉を押し倒すと軽いキスをする。それに食われる!と思った綱吉は逃げようとしたが、体格差から逃げる事は叶わずせめての思いで言葉で抵抗した。

「え!ちょっ…ま!!」
「待てない。美味しく頂くから良い声で鳴いてね。」

綱吉の言葉を切った雲雀はニコリと爽やかな笑顔を見せた。それに綱吉は明日は動けないな…と思い、仕方ないと溜め息を付いた。

何故かって?

それは今日が恋人と一緒に過ごす日だから。




-END-
美鈴様リクエストありがとうございました!
何だかクリスマスリクの割りには甘度が足らない気がしますが楽しく書かせて頂きました。
こんなので良ければお持ち帰り下さいm(_ _)m




2009.12.11 完成
2010.1.3 移動
 

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