Love Diary【Other】

強く優しく抱きしめて(2010.6.21)
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 初夏の過ごしやすい時期が終わると、ムシムシジメジメした梅雨がやってくる。

 ・・・と同時に、それは雷の時期が来たことも意味する。


「レンくーん。今日何食べたーい?」

 ダイニングの椅子に座って頬杖をつきながらテレビを見ていたら、冷蔵庫を覗き込みながら夕飯の献立を考えていたマスターが、こちらも見ずにそう訊いてきた。ちょっと位こっち見てくれたっていいじゃん。あ、マスターが食べたいって言ったらこっち見てくれるかな?びっくりした顔もかわいいんだろうな。・・・なぁんて思ってても言えるわけもなくて。

「・・・トマトの冷製パスタ。」

 とりあえずハンバーグとかカレーとか、子どもっぽいチョイスは避けてみた。っていうか、これでも頑張って背伸びしてみたんだ。残念ながらマスターに伝わってるとは思えないけど。

「あっ、それ良いねぇ!」

 だからやっとこっちを見て笑ってくれたマスターに心臓が痛いくらいに高鳴っちゃうんだ。マスターに恋してるのは兄さん達だけじゃないんだよ。ねぇ、分かってくれてる?

「じゃぁ、お買い物行ってくるからイイ子でお留守番しててね!」
「いってらっしゃーい。」

 自然な動作で頭をなでるマスターに、悪気は、ない。だって俺が子供なのは事実だから。あーあ、よその“レン”には18歳バージョンに成長(?)したのもいるって聞くし、俺もそうなんないかな。心で嘆いて顔は笑顔で、マスターに手を振った。せめて“いい子”のポジションはキープしておかないとね。


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