サヴァイブ
□Glasses
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『ピーンポーン』
「は〜い」
嵐の前触れのベルの音が、ルナの家中に響いた。
***Glasses***
『ピンポン、ピンポン、ピンポーン』
「はいはい今行きます!」
なかなか止まないベルの音に少し辟易しながら、扉を開ける。
そこにはハワードが情けない顔をして突っ立っていた。
「ルナ〜」
「ハワード!?」
ドアを開けると、いきなり顔面蒼白のハワードがいたのだ。ルナが驚くのも無理はない。
「どうしたの!?」
とにかく家に入れた方がいいと判断したルナは、ハワードを招き入れた。
お茶を出してあげると、ハワードは気合いを入れるように一気に飲み干してしまった。
それで少し落ち着いたのか、ハワードは話し出した。
「実はな・・・」
「うん?」
「僕・・・」
「うん?」
「僕・・・」
ハワードの要領を得ない言葉に苛立つことなく、ただ心配そうに自分を見つめてくるルナに安心したのか、ハワードは意を決して話した。
「全教科で赤点取っちゃったんだ・・・。」
「へ・・・?・・・は〜!?」
一瞬あまりのことに呆けてしまったルナは、ハワードの言葉に衝撃を受けた。
「全教科って・・・本当に全教科なの?」
「・・・うん。」
頷きながら、ハワードはこの前配られたテスト用紙を出した。
ルナはそれを見て、再度呆然とする。
用紙が見事に真っ赤で染め上がっていたのだ。
「・・・」
空いた口が塞がらない、とは正にこのことだろう。
ルナはあまりの衝撃に固まってしまった。。
ルナの予想外の反応に、後込みしながらも、ハワードは今回ルナの家に訪問してきた理由を告げた。
「ルナ、頼む!僕に勉強を教えてくれ!一生のお願いだ!!!」
土下座する勢いそう告げてきたハワードに、ルナはどうすればいいのか分からなかった。