連載部屋
□ACADEMY-6
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「酒くせぇ…この部屋…」
部屋に入った瞬間、その空気が廊下とあまりに違っていて
いかに濃密な宴だったかを思い知らされた
まだその余韻が残る床に、イザークが横になっている
寝たのか…と思いつつ
オレは転がったワインのボトルを片付け始めた
『こういう時間が、とても貴重だと思うんです』
さっきのニコルの言葉が頭から離れなかった
軍人というのものの過酷さを、オレはまだいまいち実感できていない
でも、「いつ死ぬかわからない」と思わされたその言葉に
少しだけ、怖くなった
イザークと離れること
何故か真っ先に頭に浮かんだ「怖れ」
自分が死ぬことよりも、その考えが先に頭をよぎった
もう、ごまかせないってことか…
入学式でその姿に目を奪われたのも束の間、直後の初対面は最悪で
単なる癇癪持ちの、評議員の息子にありがちなプライド高い奴、程度にしか思っていなかったのに
同じ部屋で過ごしていくうちに、純粋で、何事にも真っ直ぐで、自分にも他人にも厳しくて
でも本当は優しい奴なんだと知った
目を背けたくなるような眩しい光に、いつも包まれているようだった
そう、コイツはオレにはないものばかりを持っている
だからきっと、自然に惹かれたんだ
それが、必然だったんだ
そして、そんなイザークに、オレのことも必要として欲しいと思う気持ちが芽生えた
オレのことだけを見て欲しいって
その蒼い瞳に、オレだけを映して欲しいって
ダメだ…もう、決定的
オレはイザークのことが、好きなんだ