お題集
□どうして、全て消していってくれなかったの?
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『あぁ、うん。最悪』
「お前なぁ・・・雰囲気ぶち壊すなよ」
『雰囲気って何さ。なんで血まみれなんだよ、顔青白くなってんの、・・・なんでそんな状態で私の前で倒れてんの』
「・・・せめて最期は好きな奴といてーじゃねぇか」
何言ってるんだ。最期って何。
「ははっ・・・お前の泣きそうな顔・・・酷ぇな」
『うっさい、喋るな。早くその血止めろ』
「無茶・・・言うなって・・・・・・。こんな時でも・・・お前冷てぇな・・・」
プロイセンの声がだんだん小さくなっていく。
私が止血をしようとしても、とめどなく溢れ出す血。
頭ん中じゃ理解してる。もう手遅れだ、このまま死んでいくしかない。
理解しているはずなのに、理解したくないと拒絶している自分がいる。
この前まで笑って、ふざけていたじゃないか。
いつもの日常があったじゃないか。
なのに何で。
それが壊れようとしているの?
「っゲホッ・・・・・・・・・あー・・・やべぇ・・・お前の・・・顔・・・・・・掠れて・・・」
『・・・憎たらしい顔が見えなくて残念だったな』
「・・・そ、・・・だな。・・・・・・も 少し・・・見て たかっ・・・・・・」
声を出すのは辛い筈なのに私と最後の最後まで話すつもりなのか。
どうして私なの。
あんたの最期を見るなんて嫌なのに。
どうして嫌なんだろう。
私は、別に、あんたの事嫌いじゃない。寧ろ―――・・・
「もう・・・そろそろ、か」
ぽつりと、プロイセンは呟いた。目はもう閉じられている。
今更、私の気持ちを伝えられない。
言ったとしても、もう手遅れ。
別れしかない私達に幸せは訪れない。
だから私は言わない。
けど最期はちゃんとした別れを伝えよう。
「・・・・・・・・・じゃ、な」
『・・・・・・ああ、じゃあなギルベルト』
「・・・っ・・・・・・」
一瞬目を見開き、いつも通りのムカつく笑みを見せて。
そして、プロイセンは消えた。
どうして、全て消していってくれなかったの?
(こんな気持ちどうしろってんだ、馬鹿)
(もっと早くに伝えておけば良かった、なんて後悔しない。これからもあんたの事想い続けてやるから覚悟しろよ。)