―Title
□泣きそうな笑顔に、
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ガチャリ、
「クク・・・来たじゃねェか」
『不本意ですけどね』
ソイツはそう言い、俺の離れた所に腰を下ろした。言葉は届く範囲内に。
「・・・歌聴かせろよ」
途端にソイツの顔が歪んだ。
『あの歌は、・・・人に聴かせるようなモノじゃないんです』
俯いていて表情が読み取れない、
「どーゆうこった・・・?」
『・・・・・・あれは初恋の人に向けて作った駄作、』
すっと顔を上げると、
『あの気持ちはどこにいってしまったの
強くて、綺麗で、儚くて、
それはあなたに捧げた
あなたは気付くでしょうか私の気持ちに
気付く事はないでしょう
それは脆かったから
気付いて、と願う
気付くはずはないと嘆く
気付いてくれたなら
抱きしめて・・・・・・』
歌詞を言い終え不意に俺を見て、ソイツは言った。
『私の願望だったんですよ・・・全てね、笑えるでしょう?』
・・・っ全然笑えねェよ
泣きそうな笑顔に、
(俺はどうしようもなくて)