〜 M A I N 〜

□Dear person〜愛しい人〜
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この2年間、ずっと傍にいたけれど

“護衛”という立場から、誰よりも距離を置いていた。


力の及ばぬ私は己の未熟さ故に、影からお嬢様を見守っていた。


しかし修学旅行という行事をきっかけに、お嬢様は私といる時間を増やされていった。


それは、今まで離れていた距離を縮めるかのように...

離れてしまっていた時間を埋めるかのように...



麻帆良祭の準備をしていた最中、お嬢様は私に質問をされた。

しかし、私は本心を伝えることが出来なかった。




―――本当は伝えたい...。




貴女の事が好きです。と...

何よりも、誰よりも、世界で一番大切だ。と...

私は、貴女のことが...




私はそこで、お嬢様への想いの詰まった瓶に栓をする。




私とお嬢様は、主従関係である。

従者である者が君主である方に想いを寄せてしまうなど、許されるはずがない。


それに、それだけではない。


私とお嬢様との間には【見えない壁】が存在する。

【見えない扉】に隔たれている。






身分、性別、種族...






どんなに私がお嬢様を想っているところで

この壁は崩れることはないし、この扉が開くことはないのだ。





それに...私は少し怖いのかもしれない。

否、きっと怖くて仕方がないのだろう。




日に日に膨れていく見えない想いが、貴女の重荷にならないか...

いつか溢れ出してしまった感情が、貴女を押し潰してしまうのではないか...



そう思うとどうしても、私にはこの想いを伝えることが出来なかった。




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