SKETCHES

□同窓会
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もしもし、俺だけど。今大丈夫か?ならよかったぜ。……そうそう、こっちもまさしくできあがってる最中だ。楽しいぜー。周りの奴らの声聞こえるか?あ、それは滝が店員呼んだ声だな。
つーかよ、お前が来れないって話したら、みんなまるで俺の段取りが悪いせいみてーに言いやがるんだぜ。お前の口からちゃんとこいつらに理由言ってやってくれよ。……待て待て、お前までんなこと言うな!そりゃあ悪りいと思ってるけど、これだけメンツ揃うのが今日しかなかったんだよ。今度また俺が幹事やることになったら絶対お前も来れる日にするから、勘弁してくれって、本当。分かった分かった。あー……っておい、さりげなく無茶言ってんじゃねーよ。回らない寿司は無理だが一皿百円の回る方なら奢ってやらぁ。それも今度な、今度。
じゃあ、お前と話したがってる奴らがいるから替わるぜ。

もしもーし!よお、俺誰だか分かる?当ててみそ!
……ハァ?違うって!俺そんなに声変わってねーと思うんだけど……んーハズレ。それもハズレ、ハズレ!……おっ、やっと当たったぜ!え、本当は最初から分かってた?何だよそれ、じゃあ初めっから言えっての。忘れられたかと思ってドキッとしちまったし。
で、お前来ねーの?今からちょっと位出てこれるだろ、まだ全然終電あんじゃん……マジ?今東京じゃねーの?なら新幹線で来いよ!しーんかーんせん!それが駄目ならひーこーおーき!おい聞いてんのかよ?せっかく久しぶりに集まれたんだぜ。新幹線がねーならタクシーで来い!走ってでも来い!
んだよお前らうるせーな、んな酔ってねーし!……ああ、酔っ払いの相手いつまでもさせんのはかわいそうだから貸して、とか後ろで言ってんだ。俺そんな酔ってる?別にそんなでもねーよな、全然普通だっつの。お前は酒どーなの?飲めんの?……ぷはっ、今さらかわい子ぶってんじゃねーよ。えー、嘘だろ!じゃあこっち来て証明してみろよ!
……あーはいはい分かったって。次が順番待ちしてんだ。仕っ方ねーな、替わるぜ。

もしもし、お久しぶり。うん、俺だよ。あ、聞こえてた?枝豆とサワー追加で頼んだんだ。みんな結構ハイペースで飲み食いしてるから大変だよ。宍戸の予約した店で、安いから最初は不安だったけど、出る物は美味しくてよかったよ。……やだなあ、俺だって居酒屋くらい入るさ。そうだね、さすが宍戸ってとこだな。宍戸、やるねー。
今日来れないんだって?みんな会いたがってるよ。俺?勿論俺もだよ。そりゃあ男だらけでむさ苦しいよりは華があった方がいいに決まってるじゃない。何、「全然華扱いしてなかったくせに」?昔は昔、今は今だよ。そういえば、彼氏はできた?……あれっ、言葉に詰まるなんて怪しいなあ。これは聞けることがいっぱいありそうだな。俺たちの方?そうだねー……来なきゃ教えてあげないよ。フフッ、ずるいなんて心外だね。こっちはその話題でも散々盛り上がってるのに、知れないなんて本当にもったいない。何ていったってあいつが……おっと、この先は言えないな。続きは現場で。
ああちょっと待って、まだ君に言いたいことのある奴がいるから。切っちゃダメだよ。

もしもC〜?うん、俺俺!……え〜、久しぶりに喋った一言目が「起きてるんだ」ってひでえなあ。だって、みんなE〜感じに酔っ払ってて超面白いんだぜ?寝れるわけないっしょ!……うん、本当はちょっと眠い〜、へへ。だって酒入ったらめっちゃ気持ち良く寝れるじゃん。だから〜、「いつもと一緒」とかひでえの!これでも昔に比べたら断然昼寝する時間少なくなったんだって。
でも、懐かしい声聞いてたら……ふわぁ……だんだん眠くなってきちった。違う違う〜、退屈なんじゃないってば。何か安心すんだ、部活の時みたいで。こうやってみんなが揃ってて、いつも一緒にいたじゃん。本当に昔に戻ったみたいな気分だよ〜。このまま寝たら、起きた時にテニスの練習が待ってるんじゃないかって感じの雰囲気。ああいうテニス合宿、またしたいよね。だよね〜、行こう行こう!
……あ、ダメダメ!まだ俺言いたいことあんのに!も〜。宍戸がね、電話代高くなるからさっさとしろなんてケチなこと言ってるから、次に回すね〜。とにかくさ、おめーもここにいなくちゃマジマジ寂C〜!俺、待ってっからね!

もしもし……ああ、変わらへんなあ、自分の声。ああ、俺も相変わらずやで。ま、ぼちぼちやってるわ。
今一軒目で適当に飲んで、もう少ししたら次んとこ行こかて言うてる。せや、二次会。いうても、このメンバーは引き続き全員参加するみたいやけどな。もしかしたら今おれへん下の連中も後から来るかも。せや、日吉とか鳳。樺地?あいつの居場所は言わずもがなやで。
自分も当然来るやろ?……ハァ、何つまらんこと言うてんねん。「来たいのは山々」て、せやったら来たらええやないか。心の衝動のままに動くんなんて若いうちしかでけへんで。つれへんなあ、自分すっかり大人になってしもたんか。昔はあんなにおてんばで、俺らのこと振り回しとったのになあ。……こっち?俺たちは何も変わってへんで。久しぶりに会うても、こいつらびっくりする位変わってへん。テンションとか、何もかも昔のまんまや。酒が飲めてタバコが吸えるようになっても、やることはあの頃と同じなんやな。こんだけダラダラ飲んで騒いで二次三次行こか言うてんねんから、まだまだ俺らも元気やで。
自分も変わってない?ホンマに?せやろ、それを聞きたかったんや。ちゅうわけで、お一人様追加で次の店に予約の電話しとくわ。んー、何言うてるかさっぱり聞こえへんな。ほな、後で。

俺だ。お前、俺様の出る集まりに顔を出さねえとはどういうつもりだ?こんな機会は二度とねーかもしれねえぞ、アーン?……用事?んなもん関係ねえな。お前は来たいのか来たくねえのか、どっちなんだよ。……フン、素直に言えるじゃねえか。参加したいなら最初からそう言え。まあ、既に手は打ってあるがな。
報告?全員が山積みだ。バカな話もめでたい話も、少し会わねえ間に恐ろしい量になってやがる。だが、結局行き着くところは思い出話ってのが面白えよな。こいつらの会話を聞いてりゃ、修学旅行でジローを探し回った時の話だけでさっきから三回はしてるぜ。そうだな、お前もあの時は大変だったな……アン?「また行きたい」?ここにいる奴らで修学旅行の復習か。ハッ、そりゃいいかもな。今度はドイツの醍醐味のビールが付くぜ。ああ、さっき言ってたのはテニス合宿か。そういやあの時も時間通りに集まらねえ奴ばかりで大変だったな……。こんな連中をまとめることができたのは、間違いなく俺様ただ一人だ。なあ樺地?
さて、そろそろだ……「手は打ってある」と言っただろう。ほうら、お前にもプロペラの音が聞こえてきたはずだ。そのヘリに乗って、今すぐこっちに向かえ。もう不参加とは言わせねえぜ。あとの話はこっちに来てからだ。文句があるなら直接言いに来い。じゃあな。

──おいお前ら!今日は朝まで盛り上がるぞ!

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