主菜〜メインディッシュでございます、お客様〜

□壱
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花びらが散り始めた桜の木の下にいた俺の前に、いきなり告白した、初対面の男。


びっくりした。
ていうかあり得なかった。
びっくりしすぎて口がきけない俺に、その男は言った。


「好きだ。付き合え。」


ふざけんなって思ったね、その時。
気付いたら殴り飛ばしてた。
そしたらその男は起き上がって俺の方を向いて、笑った。


「ぜってぇ、諦めねぇから。じゃあな、桐崎結衣センパイ。」


そいつは何故か俺の事を知っていた。
ていうかセンパイって言ったって事は、そいつは俺の後輩ってことだ。
その男が去った後、今更ながらそいつの事を思い出していた。

染めたような赤茶色の髪。そう言えば、顔は赤くなってはいたがじゅうぶん美形の部類に入っていた。背は俺より高かったかな…。
ていうか男ですよ?
Mee,too.
俺も男だ。
さっきは驚きで何にも言ってないけど、十分つっこみ所があったのではないだろうか。


…………変な男だ。
自分の名前も名乗らずに、人に告白するなんて。
ドジなのか?
…訳分からん。
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