新表参道

□最高のプレゼント
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片付けられた机に、箱二つ。
「開けても、いいですか」
楽進がおずおずと箱を開けると、純白の毛糸のマフラー。
「どうかな?自分で編んでみたんだけど・・・・・・」
「暖かいです・・・・・・戦場に巻いていきます」
感極まった楽進に荀攸は「そのことだけど」と口を挟む。
「それ、戦場には持って行かないでね」
予想外の台詞に、一瞬で楽進は凍りつく。荀攸はそんな楽進の手をそっと握りしめ。
「それを巻いて私と逢瀬する楽しみを取っておいて欲しいんだ。私も、君も、必ず生きて戦場から帰るんだってね」
「公達、どの」
楽進は手を握られたまま腕を上げ、荀攸の手に口付けした。
「約束します。例え地の果てに行こうとも、必ず貴方のもとに帰ってきます」
「文謙・・・・・・」
潤んだ瞳、赤らんだ頬。全てが楽進をかき立てるに十分で。
「よろしいか?」
「あ、楽進のプレゼント・・・・・・」
「楽しみは取って置くもの、と教わりましたが?」
「いやはや・・・・・・。やられましたな〜」
緩やかに。
クリスマスの夜は更けてゆく
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