捧げ物

□正しいにゃんこの飼い方
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とある晩夏の昼下がり、出陣から帰ってきた法正と荀攸は上機嫌だった。
「レベル15か。おめでとう荀攸」
「ありがとう。法正も陣略の兵書獲得だね」
「ふふ。では今宵は二人で祝おうか」
「うん!」
法正は自分を見上げる荀攸の頬をなぞり、その額に唇をおとす。
「綺麗だな」
「もう!誉めても何も出ないよ!」
照れてそっぽを向いた荀攸を法正は苦笑しながら鑑賞していたが、不意に顔を歪めて頭をかきむしった。
(かゆい!)
ここ数日、法正は頭と尻のかゆみに悩まされている。医者に見せても、皮膚に異常はないというから余計イライラする。
「こら」
乱暴に頭をかく法正の手を、荀攸は止めて。
「どうせお風呂サボってるんでしよ?帰ったらお風呂に入るよ」
冷徹な性格と卓越した智術で恐れられる軍師が、ズルズル恋人に引きずられていく。


――自軍城内。
荀攸はタオルと法正の着替えを持って、風呂場へと歩いていた。
―――ぎゃあああ!
突然城中に響いた、怒声とも悲鳴とも嬌声ともつかない声、声、声。しかも、それはどうやら風呂場が聞こえてくるようで。
「法正!?」
慌てて駆け込んだ荀攸が脱衣場の扉を開けたとき。
荀攸は頭が真っ白になってその場に硬直した。
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