新表参道

□最高のプレゼント
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楽進の部屋が、クリスマスに彩られている。
かわいらしい、本物の樅の若木に木の実をあしらったツリー。
香ばしい香りを放つ、詰め物のされた大きなローストチキン。
机には燭台に赤と緑のろうそくが立てられ、炎が揺らめいていた。
「切り分けます」
楽進がナイフを取り、そのゴツい手に似合わない繊細さで肉を切り分けてゆく。これまた手製のソースがかけられ、詰め物の野菜と相まってクリスマスの食卓を華やかに縁取った。
「頑張った甲斐があったね、文謙」
今年は二人でローストチキンに挑戦してみたのだ。その代わり、ケーキはあきらめなければならなかったが・・・・・・。
「熱いうちに食べようか」
荀攸に促され、楽進は箸をとる。一口噛むと、肉汁が口いっぱいに広がった。
「おいしいね」
「・・・・・・ええ」
熱い肉に悪戦苦闘しなから口を動かす荀攸。楽進はそんな、いつもよりさらに可愛い荀攸を今すぐ食べてしまいたくて仕方がない。
「・・・・・・楽進?」
いつの間にか荀攸を見つめていたらしく、荀攸が訝しげにこちらを見ている。楽進は素直にいえば口をきいてくれなくなることが分かっているので、慌てて肉を口一杯に頬張った。
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