新表参道

□紅梅は夜に香る
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凍りつく、寒さ。
立春が過ぎ、季節は春なのに冬の揺り戻し。荀攸は寝台で丸まりながら、軽くくしゃみをした。
(楽進がいたらなあ)
あっためてもらえるのに。蜀との戦いでいない恋人を思い浮かべ、荀攸はため息をつく。
「一人寝って、こんなにさびしいものだったんですね」
楽進と恋人になって初めて知った、恋の苦しみ。荀攸は甘い胸の疼きに身を焦がしつつ、頭まで寝具をかぶった。
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