新表参道

□曹操様のバレンタイン
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バレンタイン。
「奉孝、これは?」
寒い廊下で郭嘉に呼び止められた曹操は、郭嘉が手のひらに乗せた物に目を落とす。小指の爪程のそれは真鍮製で、どうやら鍵らしい。
「やだなあ〜殿。今日バレンタインでしょ?俺からのプレゼント、ですよ」
郭嘉が笑いながら鍵を指の腹で撫でる。曹操は訝しんで首を傾げ。
「これがか?」
「あ、中身はお部屋に運んでおきました。凍死されても困るし」
「凍死・・・・・・」
つまりはナマ物だということだ。
「きっと、お気に召して頂けると思いますよ」
にやり。
去り際の郭嘉の笑みは、曹操をして肝を冷やすおぞましさが詰まっていた。
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