表参道

□お味はいかが?
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「荀攸殿、小麦粉ふるいましたよ」
「では、砂糖を80グラム計って下さいますか、孔明殿」
ここは、許昌の一角に管理人がこしらえた台所。そこに何で諸葛亮がいるかというと。
―大切な人に、手作りお菓子を食べさせてあげたい。
乙女丸出しの考えだが本人は真剣。とはいえ諸葛亮にはお菓子作りの経験はない。本を読んでも分からない事が多過ぎる。そこで料理がうまいと評判の荀攸に協力を頼んだのだ。無論、荀攸なら口が固いと踏んだ上で。
「ボールに小麦粉、バター、塩、卵。更に砂糖を入れて」
荀攸の手が鮮やかにに材料を混ぜる。
「切るように混ぜるのがコツですよ」
「ううん・・・」
これから戦いに行くかのような顔で生地を作る諸葛亮の姿に、荀攸は吹き出しそうになるのを懸命にこらえる。教えているのはクッキー、しかも基本的なもの。そう難しいことはないはずなのだ。
生地が細めの棒状になり、グラニュー糖がまぶされた所で、荀攸は諸葛亮の手を止めさせた。
「生地を冷蔵庫に入れて寝かせます。一時間はかかりますから、お茶でも飲んで一休みしましょう」
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