彩心闘記セクトウジャ・2

□レベル6・8
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日本全国

和歌山県 8頭

兵庫県 1頭

東京都 2頭

合計、11頭のパンダのみなさん、お待っとさんでございましたっ、

みなさんのますますの健康とご多幸、並びに大いなる繁栄・繁殖を祈願しましてぇ」

継・笹葉魂撃守圀景の鯉口を斬ると

伝助「置酒高会(ちしゅ こうかい)ぃぃぃ!」

『盛大に酒宴を催すこと』 または『酒宴のこと』の意の四字熟語を叫んで

必殺の笹の葉さぁらさら!!!

伝助「もういっちょうオマケにっ」

突きの最大攻撃技・笹寿司!

伝助「これも持ってけぇぇぇ」

放つ技は新技『笹身』

笹寿司を放ちながら、切っ先から撃つ笹の葉レーザーをぶつける複合技だ。

バイオンは崩れ落ちるように倒れ、塵となった。

伝助「ゾンビーどももあと少し!

みんな、気張って行きまひょか!」

『おー』と気合十分の付喪堂一同だった。


都内

セクゾーストを走らせて、紅は緋色の姿を捜す。

陸橋を抜けて、加速しようとしたとき

ズガーン!

急停車するセクゾースト‥ハンドルを抑えるのに必死の紅だが
堪えきれずに転倒してしまう。

紅「アイタタタ‥」

立ち上がると、そこにいたのは茶色の人狼 ワーウルフ・ズオンソー。

シアンより託されたホイピエロイドを自由に泳がし

自身はシアンやホイピエロイドへ協力するためと

セクトウジャの一員誰でも構わず倒すために、ふたたび地上へと現れた。

ズオンソー「くっ、勇者か‥」

圧倒的な力を見せつけられた恐怖が甦る。

しかし‥『吠える犬はキライ』シアンの言葉がズオンソーに力を与える。

ズオンソー「俺は、誰よりも強くなってみせる!」

紅「私だって強くなりたい‥強くなる!

強くなるんだから!!」

人狼を毅然した視線で射抜く紅。

ズオンソー「今日は、いつものような雰囲気でないな?」

紅「チョット大事なことがあるの‥

もしもだけど、黙ってココを通してくれたりしないよね?」

ズオンソー「それは出来ぬ相談だな」

鉤爪・チャゼンコウを右手にはめるズオンソー。

紅「やっぱり‥でも、私は行かなきゃいけない!」

ツァイフォンを耳に当てて『着心!』とコール。

左腕に装着されるマモーブMk-2腕部分にツァイフォンをスロットイン。

生心力の輝きとともに、全身が肉球マークの鎧に包まれる。

紅「赤色の勇者 ブレイヴ・ルージュ」

サッと抜き放つ刀はレットウ。

紅「勇者、チョット通らせてもらいます!」

ダッシュして斬り込む紅。

レットウをチャゼンコウで撥ねて、左ストレートパンチ。

それを左腕でガードして、飛び出す紅はクルリと背中を見せてヒップアタック!

軽い紅の攻撃も、前進の力を使えば重くなると伝助に教わった。

紅「とぉ!」

さらに跳んでキック!

ズオンソー「そんなもの!」

倒れたズオンソーは跳び起きて、鉤爪を振り下ろす。

レットウで防ぐが、力に押されて左肩に爪が当った。

が、マモーブMk-2は紅を守る。

紅「伝助くん‥力を貸して!」

パンダの想いを力に変えて

紅「紅ササニシキ!」

ほんのりピンクで、ふっくら炊きあがった ご飯を連想させるネーミングの1撃を撃つ!

ズオンソーのボディに喰いこむレットウ。

刀を引けば、斬り倒す‥が、刀身を掴んで人狼の怒号。

ズオンソー「レベル差を甘く見るな!」

ズオンソーのレベル60‥紅は、15.

余り大きく開いた差は‥

ズオンソーの蹴り!

紅の身体が思わず宙に浮くのを逃さず、ハンマーパンチを繰り出す人狼。

浮いた身体は地に叩きつけられて、容赦なく何度もズオンソーは紅を踏みつけた。

しかし、まだダメージはそう濃くない。

紅「伝助くん‥」

マモーブMk-2の肉球マークが優しく光る。

紅「コーチ、もういっちょお願いします!!」

スポ根物のヒロインのように、伝助への想いを口に出して撃つ紅ササニシキ。

だが『もういっちょ』はないだろう(苦笑)

ふたたび紅ササニシキを受けて、さしもの人狼もダメージは深い。

ズオンソー「やはりコイツ、ますます強さを増している。

今のうちに‥出来るだけ早く倒しておかないと、後々厄介なことに‥」

胸の内ではそう思うのだが、一方でズオンソーは
強きものと戦う悦びを感じていた。

『どうする? このまま見逃して、より強さを増すのを待っても‥』

しかし、ノワールがどうなったかわからないうちは

クイーン・ベルメリオの脅威となる可能性のある者は
少しでも減らしておかないといけない。

そういうった思いも頭をもたげて

ズオンソーに一瞬、躊躇をもたらした。

そんな時に紅は‥

紅「うわあわあぁぁぁぁ!」

力みすぎて足を滑らせ、派手に転ぶ。

ズオンソー「ん?」

意外な動きにキョトン?となった。

が、ジャリ‥ズオンソーの背後から斬りかかる影。

ズオンソー「キサマは‥」

肩に突き刺さる刀。

紅「ひ、緋色!」

錆びた正義の刃を手にした緋色。

緋色「またオマエは姉ちゃんを!」

怒りを隠さない緋色。

その中に狂気にも似た感情を見いだし

ズオンソー「黙れ、ガキ!

力無きものは去れ、さまなくば果てるがいい!」

猛る筋肉は、浅く刺さった刃を吐き出し

軽く撃った左ひじの衝撃で緋色を吹き飛ばす。

ズオンソー「ガキの相手をしている場合ではない。

俺は今、シアンより送られたホイピエロイドとともにセクトウジャと戦うために
この地上へとやってきた。

魔罪・デスクリミナルは、己の胸の内に滞る何かに突き動かされて暴れている。

俺の仲間が俺たちに託したホイピエロイドがだ‥

だからこそ守るわけではないが、ヤツがヤツの心のまま戦えるように

己の中の獣を解き放ち、自由へと向かうヤツの邪魔を減らすためにも
俺はお前たちを倒す。

だが、こうして会った1人がガキ‥しかもワガママなクソガキとは」

緋色「うるさい!」

ズオンソー「黙れ、負け犬!」

緋色「な!?」

ズオンソー「キサマの眼はなんだ!? それが戦う者の眼か!

ただの甘え腐ったガキの眼しか持たぬヤツが、負け犬のような眼しか持たぬヤツが
俺の邪魔をするな!! 戦いは遊びではない‥

オマエのようなヤツ、俺は不愉快だ!」

人狼の歩行はビリビリと空気を震わせ、緋色の個々の中に大きく恐怖を与える。

紅「緋色!」

起き上がって緋色の前に立ち、レットウを構えた。

ズオンソー「行くぞ、勇者!」

ズオンソーは踏み込むと、チャゼンコウで殴りつける。

レットウで防ぎ、反動を使って後ろ回し蹴り。

蹴りを受けてもビクともせず、紅の首を鷲掴んで押すズオンソー。

土埃を巻き上げる足は やがて浮いて
宙に吊られる格好の紅。

そのまま、ビルの壁に叩きつけられた。

『がはっ』衝撃は伝わり、ダメージ。

紅「痛くないもん!」

マモーブの防御力は勇者の背中を押す。

首を掴む手を押し退けるように全身が跳ねて

紅「勇者パぁぁぁンチ!」

力の入った右ストレートが人狼の顔面をとらえ、僅かな隙を生む。

紅「紅ササニシキ!」

続いて、紅ササニシキを『おかわり』の2撃目。

そして

紅「3杯目にはそっと出し!」

『居候、3敗目にはそっと出し』江戸後期の川柳である。

居候の身なので、ご飯のお代わりをするときは遠慮がちにする、ということ。

居候は全てにおいて遠慮しているということでもあり
時として、少しは遠慮しなさいという意味合いで使う。

そして、今この状況で何の意味もないことである。

ズオンソー「ぐぅぅ!」

紅の猛攻を耐えきった‥が、紅ササニシキ3連発を受けたダメージは深い。

紅の頭の上に『20』の数字が輝いた。

ズオンソー「レベルアップか‥この短期間で‥」

紅「はぁはぁはぁ‥あなたが‥あなたが強いから。

強いあなたと戦うから、私はより強くなる‥」

ズオンソー「それが勇者の進む道か」

紅「緋色、逃げて! ここはお姉ちゃんがなんとかするから、緋色は逃げてっ」

緋色は立ちすくんだまま。

チャゼンコウを振って攻撃の人狼。

紅はズオンソーと切り結びながら、緋色へ逃げろと言い続ける。

ズオンソー「戦いに集中しろ、勇者!」

戦うことの悦びに身を震わせて、人狼は猛る。

緋色「俺は‥俺は‥」

戦場‥その中で姉は駆けている。

そして敵対する人狼もまた、その力を見せつけて走る。

では、自分は?

緋色「俺は何をしているんだ‥俺は何がしたいんだ?」

姉を守る。

姉を戦いから遠ざける。

緋色「その力は俺にあるのか?」

錆びた正義の刃を見つめる緋色。

緋色「これが、俺の力‥俺は戦う‥姉ちゃんを戦いから遠ざける!」

緋色の身体から生心力があふれた。

しかし、その輝きは鈍く重く‥まるで死心力。

紅「緋色!?」

斬り込む緋色。

ズオンソー「ふん、少しは戦う者の眼になったようだな」

キックを放つ。

緋色は避けて、突き

突きをチャゼンコウで撥ねて、左エルボー。

柄で防ぐと、緋色はズオンソーの腕を撥ね上げ、胴払い。

ズオンソー「甘い!」

正義の刃を踏みつけて、左脚で緋色を蹴った。

緋色「がはっ!」

紅「やめて!」

飛びこむ紅は回転蹴り。

蹴りを蹴りで撥ねるズオンソーに、紅は弾かれる。

緋色「姉ちゃんは下がってろ!」

姉に怒鳴って、刃を人狼へ叩きつける。

張り詰めた筋肉は刃を留め、チャゼンコウが緋色の胴に突き刺さった。
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