彩心闘記セクトウジャ・2

□レベル7・7
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眩い光とともに

紅「赤色の勇者 ブレイヴ・ルージュ!」

マモーブMk-2‥キラリと輝く肉球マーク!

蝕はゴルゴダを手に、紅に飛びかかった。

打ち下ろされる短槍を撥ね、戦竜の尾をかわし

暗黒騎士の突き出す刃を避けて

紅「紅ササニシキ!!」

緋色を弾き飛ばす。

左右から襲う蝕とクリムゾンへ

紅「おかわりっ!!」

紅ササニシキ・2発目!

蒼唯は、紅の姿を見て‥

蒼唯「そうか‥あのとき、私に足りなかったものは心の強さ。

なんとしても菫を助ける、菫を守ると想いきれずに

どこかでわかりを覚悟してしまったから‥悔いを残してしまった‥」

菫「悔い? なに言ってんの、蒼唯‥あ‥ちょ、ちょっと待って‥」

ガクッと力が抜けて、現れた桔梗。

桔梗「悔いだと? あのとき撃っておきながら、後悔するとは‥ふざけるな!」

桔梗は激昂し、短剣で襲い掛かる。

蒼唯は身をかわしてキック。

ガードして、桔梗は回転しての背面左エルボー。

それを左手で掴み、蒼唯は身体を密着させて抱えると仰け反り、投げる!

桔梗「がっ!」

後頭部から首にかけて大ダメージ。

桔梗「うぅぅ‥蒼唯‥力を増している? 昔のオマエを取り戻しつつあるのか‥」

蒼唯「昔の私‥」

死神と言われ、血にまみれた過去の蒼唯‥

どんなに忘れたいと思っても過去は振り切れず、しつこく蒼唯を絡め取る。

まだ心の中の霧は晴れず、死への甘い誘いも捕えて放してくれない。

だが‥

蒼唯「もう1度やり直せるのなら‥この手で菫を救うチャンスを与えられたとしたら!」

蒼唯の頭上にも『レベル28』を告げる輝き。

けっして生き返ることはない親友‥だが、せめてその魂だけでも救いたい。

紅の姿に勇気づけられ、蒼唯は目の前の戦いに集中する。

聞き今日の身体から力が抜け、現れたのは牡丹。

牡丹「ったく、テメェが得意なのは冷静に戦うってことだろうに

ガラにもねぇ、荒れて戦いやがって。

だからこんなポンコツにやられるんだよ、桔梗!」

自身の中にいる桔梗に毒づき、牡丹は蒼唯へ蹴りを撃つ。

蒼唯「3人目‥パワータイプの牡丹か!」

拳を握り、ジャンプ!

牡丹「おらぁ!」

跳び来る蒼唯へめがけて回し蹴り。

左ひじで蒼唯は蹴りをガードして、パンチを叩きこむ。

牡丹は蒼唯の拳を額で受けた。

蒼唯「このっ」

牡丹の右アッパーが蒼唯の腹部にめり込んだ。

蒼唯「ぐぁ!」

込みあげる苦しさを押し込めて、すぐさま両足での蹴りから

着地して2撃、パンチ

さらに左で上下段の連続蹴り

かわす牡丹に蒼唯は

飛びつきから身体を捉えて、絞め技へ移る攻撃を見せる。

牡丹「このぉぉ!」

強引に蒼唯の手や足を振りほどき、絞め技から逃れた牡丹は

牡丹「クソっ、ちょこまかしやがって!」

牡丹はピオレータ・戦闘体に変化する。

蒼唯「着心!」

青い輝きを発し、

蒼唯「青色の魔法使い ウィザード・ブラウ」

ブルュッタを構える。

牡丹はムラザリを撃ち、ラサギㇽで斬りかかる。

蒼唯は弾丸を避け、ブルュッタで短剣の刃を防いだ。

蝕「勇者ちゃんのせいで、ポンコツがちゃんと動き出したか‥

やっぱりあの子、目障りね。

ちょっと本気出して、今のうちに始末しておこうかしら‥勇者のヤツ」

目が妖しげにきらめき、蝕は翼を広げて紅に襲いかかった。


都内・公園

3台のSSDトレーラーが停止すると

02を先頭に、04、05、06のソルジャーズと180名近くのトルーパーズが

降りてくるのを見た。

『いました!』『未確認もいます!』

声にグリーは

グリーン「構え!」

冷静に対処する指揮によって

トルーパーズ3小隊(1小隊員数・50名)+30名は、銃を構える。

グリーン「一斉掃射、開始!」

次々に火を噴く銃。

雪永はツァイフォンを手に着心。

公園の木々は、あっという間にボロボロになり

滑り台もジャングルジムも‥

ついさっきまで、博良とカーターが腰かけていたブランコも

銃火の嵐に飲みこまれた。

何とか身を隠した博良とカーター。

雪永の身はマモーブがガッチリと守る。

ズオンソーも、屈強な筋肉が銃弾を寄せ付けない。

グリーン「やれやれ‥トルーパーズの装備じゃ

未確認の抹殺は無理ってワケですか。

これより接近戦に切り替える。

トルーパーズ3小隊は脱走したTR-P-as-21539の破壊

残るトルーパーズは分かれて俺たちのサポート

ピンク、ブルー、イエローは未確認破壊脅威の殲滅

総員、行動開始!」

グリーンはブレードを手に走る! 次々と与えられた任に向かう者達。

博良「ま、ままっ純白!?」

マモーブを装着し、白色の僧侶となった雪永の姿に驚く博良。

雪永「この数‥」

ズオンソー「フン、群れるしない ひ弱なゴミどもが!」

雪永はトルーパーズと戦闘。

グリーンがズオンソーに向かおうとしたとき、ブルーとイエローは前に出て

ブルー「アイツは自分たちが担当します!」

イエロー「自分も!」

トルーパーズ10名を引き連れ、2人は人狼へ跳びかかる。

グリーン「チッ‥あくまでも5号とは戦わないってことか‥」

ショットの銃口を、ズオンソーと戦うブルーとイエローに向けるグリーン。

ピンク「副隊長!」

思わず声をかける‥

グリーン「命令違反は明確に見受けられない‥なるほどねぇ。

意外と賢いんだ、守備隊あがりも」

ショットをホルスターに納め、グリーンは雪永へブレードを向ける。

グリーン「ピンク、あの白いのだけでも片づけるよ」

ピンク「はい!」

トルーパーズと戦う雪永めがけて2人は走る。

ブレードを手にするピンクと、

銃火器強化ユニット・SSD-O装備したアサルトライフルを手にするグリーン。

グリーン「白い5号ちゃん、命はもらうよ」

引き金を引く。

雪永「きゃあぁぁ!」

地をえぐり、遊具も砕く銃の威力は

マモーブを破壊するには至らなくても、ダメージを与えるには十分。

倒れそうになるのをホワイスを支えにして堪え、雪永はグリーンとピンクに立ち向かう。

ピンクが突いてくるのを十字槍で撥ね、射撃を加えようとするグリーンに風魔法。

破壊されるアサルトライフル‥すぐさまブレードを抜き、左腕にシールドを装着。

戦う雪永‥

カーター「博良サンっ」

連れて逃げようとするが、トルーパーズに囲まれて銃口を突き付けられる。

博良「カーターさん、逃げろ!」

カーターの身体を押し、震える足のままで博良は守ろうとした。

引き金に指がかかり『撃て!』の号令で一斉射撃。

寸前のところでカーターが博良を引き寄せ、トルーパーズを割って脱出。

しかし、追撃の銃火はやまない。

雪永「冬馬、ヘルメットさん!」

助けに行こうとするが、ピンクが斬りかかり

受け止める雪永の背中をグリーンのブレードが斬りつける。

火を噴くマモーブ。

雪永「この!」

降り抜くホワイスだが、傷つけぬように加減する力がグリーンを逃がし

反対方向からのピンクの突きで、さらにダメージを受ける雪永。

それでも、博良たちを救うため走り

トルーパーズの前へでる。

グリーン「撃て」

雪永を巻き込み、一斉射撃。

グリーン、ピンクもショットを撃った。

雪永が盾となり、銃撃の中をなんとか木の陰に隠れた2人だが

叩きつける暴風雨の様な銃撃は、木をボロボロに削り

雪永の足も少しずつ後退‥博良とカーターに危機は着々と迫る。

カーター「博良さん、アイツらの狙いはワタシデス‥アナタは逃げテください」

博良「な、なにいってんだよ! このまま置いていかれねぇよ。

カーターさんを1人を犠牲にして俺は、逃げたくなんかない!」

カーター「アナタは逃げてきたんデショ!? 疲れた自分を助けるタメに‥

ナのに、こんなところで自分をアブナイめに遭わせてどうするんデスかっ。

どうか逃げて‥逃げて自分を助けてクダサイ!」

博良「そういうカーターさんだって、戦うことから逃げて来たんじゃないのかよ!

なのになんで‥戦うのがイヤだから逃げたのに、なんで!?」

問う博良にカーターは

カーター「私が戦いたいト望んダカラ戦うのデス。

強いられる戦いはイヤデス‥デモ、大切なトモダチを守るための戦いなら

ワタシは逃げずに立ち向かいマス!」

博良「カーター‥」

雪永「と、冬馬! 何があったのか僕はあまり知らない‥だけど

冬馬はこれまで努力してきたじゃない!

才能だってあるのにさらに努力して、お芝居も舞踊もあれだけ必死にお稽古してきた‥

その姿を僕は知ってる。

尊敬もしてる!

舞台から降りるのは冬馬の自由だよ‥だけど、自分の心はそれで納得してるの!?

それなら僕は止めないよ。

だけど‥だけどそうじゃないとしたら、僕は引き留める!

あの努力を無駄にしてほしくないから!!」

博良「純白‥純白!」

博良から迷いが消える。

舞台に立ちたい、芝居がしたい踊りたい

だから劇団の戸を叩き、芸道へと入った。

雪永を負かしたいとか、座長に圧倒されて己の弱さを知ったからとか

そんなことは関係ない‥自分の心が、こうしたいと願っているのだから

素直になって動くことだ‥それが、生きるということだと。

博良「カーターさん‥純白‥いや、雪永!」

雪永「冬馬‥博良!」

そんな雪永にSSDショットの弾丸が次々と着弾し

ピンクはロケット・ランチャーにSSD-Oを装着。

雪永へと狙いを絞る。

が、鎧の下は‥人間‥ピンクの胸に一瞬迷いが走る。

グリーン「撃て‥撃て!

ピンク「は、はい!」

発射されるランチャー弾‥銃撃によりふらつく雪永は絶体絶命。

カーター「博良サンのトモダチは、ワタシにとってもトモダチデース!!!」

飛び出すカーターは雪永をかばおうとする。

雪永「ダ、ダメ!」

慌てて止めようとした雪永だったが、よろけた手をすり抜けて

カーターは雪永の前へ‥次の瞬間、大爆発が起きた。

おもわず戦う手を止めるブルーとイエロー。

ブルー「しまった!」

イエロー「くっ‥どんなに避けても逃げて‥ダメなのか‥」

自らが進むべき道に、苦悩するブルーとイエロー。

そんな2人をズオンソーは襲い

ズオンソー「何を迷っている! 恐れるなら今すぐ死ね!!

戦わぬなら、とっとと去れ! 強さを求める者のみに、己の命を懸けて戦う権利はある!!」

ブルー「違う! 戦いとは‥俺たちが命を懸けたい戦いは

そんなものじゃない!」

イエロー「俺たちは守りたいんだ‥大切なものを、暴力から守りたいだけだ!」

ズオンソー「それではなぜ、こんな戦いしか出来ないでいる!?

しょせんオマエたちは負け犬だ!」

鉤爪を振るう人狼に、ブルーとイエローはブレードを手に向かっていった。
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