彩心闘記セクトウジャ・2

□レベル6・1
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「彩心闘記セクトウジャ」レベル6

『壊れる心』


2010年9月

保育園

子供たちがキラキラした笑顔で遊んでいる。

追いかけっこする子たち、縄跳びをしている子たち。

室内でも、本を広げたり
ブロックのおもちゃで遊ぶ子もいて
一様に笑顔。

このあと、みんなが好きなダンスのお時間。

チッチッチッチッ‥まるで命を刻むような不気味な音が
子供たちの笑い声の中に混じって聴こえてきた。

保母「あら?」

なんだろう‥そう思った次の瞬間、保育園は轟音と共に火の海と化した。


densuke LABORATORY (伝助ラボラトリー)

略称=伝ラボであり、霊皇たちの基地・霊皇の宿でもある。

付喪堂をSSDにわたさぬよう、全機能を凍結させて
付喪堂はその拠点を翠季のマシンの戦闘母艦・キャリアーグリューンと伝ラボに
一時的に移している。

結果、福福でまたワイワイやっている状態に戻っていた。

缶吉「ん? 伝助さんっ、Nブロック・は-26で爆発が起きとる!」

モニターの前で、街のパトロールをしていた缶吉が叫んだ。

伝助「ホンマけっ」

一同、メインモニターの方を見た。

缶吉は専用モニターの映像をメインモニターに移すと

ルナ「酷い‥保育園が」

吹き飛ばされた壁が燃えている‥が、園児たちはみな無事だ。

餡子「伝助式ガッチリ守りますんにゃわセキュリティーシステムのおかげだなや」

ホッと一息。

園児たちや職員を包んだ魂力バリヤーが輝き、役目を終えたところで消えていく。

警察や消防が駆け付けて右往左往‥その中にSSDもいる。

トルーパーズを指揮をするのは、ソルジャーズの06・ピンク‥野口茂美だった。

茂美「あたりをくまなく調べて。

不審なものが置かれていないか、爆発物の破片もそうよ!

未確認破壊脅威につながる物的証拠があるかもしれない。

慎重に進めて!」

叫ぶ茂美のもとへ、警察の鑑識官が『すみません!』と大声で言う。

すぐさま茂美が寄ると、何やら機械の破片。

黒焦げたそれは、時限式の爆弾のよう。

茂美「爆弾‥それも時限式ね。

これをいったい誰が? でも、これだけしか出てこないなら
私たちSSDの管轄外ね。

警察で対処してればいいわ」

トルーパーズを引き連れて、茂実が撤収しかけたときだった。

光る『伝助式がっちり守りますんにゃわセキュリティーシステム』を発見する。

茂美「調べてっ」

トルーパーズがシステムを取り囲んで、慎重に調査‥

園内の木の枝に同化していた不思議なメカニックを、枝を切ることで取り外し
防爆ケースに収めると、SSDは速やかに移動した。


伝ラボ

メインモニターに映し出される爆破現場をで見ていた伝助たちだが
システムを切り除かれてしまったことで、モニタリング不可能となった。

伝助「ふぅ‥チビッ子ら、助かってよかった」

ずず「でもアニィ、肝心の伝助式がっちり守りますんにゃわセキュリティーシステムが
ヤツラに持ってかれてしまいましたぜっ」

伝助「ま、持っていったところで
ちゃんと解析でけるんかどーか わからへんけどな」

ピーノ「しょれでも、お兄しゃんの作った
大切なあの伝助式がっちり守りますんにゃわセキュリティーシステムが
奪われたことには違いありましぇんっ」

総右衛門「さよう、若の伝助式がっちり守りますんにゃわセキュリティーシステムが
きゃつらによって解析されて、その技術が転用されましたなら
困った事態にもなりかねませぬっ」

餡子「んだよぉ、伝助式がっちり守りますんにゃわセキュリティーシステムが‥」

君兵衛「まっこと、伝助式がっちり守りますんにゃわセキュリティーシステムが」

珍平「オイらぁの頼もしい味方、
伝助式がっちり守りますんにゃわセキュリティーシステムが」

淑「そうですわっ、伝助式がっちり守りますんにゃわセキュリティーシステムがっ」

メアリー「あああもう! さっきから

伝助式がっちり守りますんにゃわセキュリティーシステムが

伝助式がっちり守りますんにゃわセキュリティーシステムが

伝助式がっちり守りますんにゃわセキュリティーシステムが

伝助式がっちり守りますんにゃわセキュリティーシステムが

伝助式がっちり守りますんにゃわセキュリティーシステムが

って、早口言葉じゃあるまいし何度も何度も
うるさいったら、ありゃあしないよっ」

5回『伝助式がっちり守りますんにゃわセキュリティーシステム』を
素早く言ったメアリーに一同『おおぉ』と感心して拍手。

ごん「ぶっひっひっひっ」

ねん「んもももも」

この2人に至っては、花束とトロフィーをどこからか持ち出してメアリーに渡していた。

メアリーは、まんざらでもないような表情で
花束とトロフィーを受け取ると、クルっと回って強烈ローリング・ソバット!!!

『ツッコミ』という名の、破壊力満点な攻撃を喰らって
ごん&ねんは、大爆笑で転がりながら壁に激突。

餡子「コーティングのおかげで割れねえども、笑いながらサ
猛スピードで転がっていく光景は、なんか気持ちワリィべな」

君兵衛「そ、そうじゃのぅ」

ごんとねんは、大爆笑。

伝助「それはそないと、みんなにお伝えしたいことがありまっ。

この前預かった みんなの各装備のことなんやけど
戦いが激しゅうなっとるんと、相手のパワーアップに備えて
点検も兼ねて強化しとります。

で、ついでにパーソナルカラーとナンバーの振り分けも若干リニューアルしとりますんで
今から発表しますんにゃわ」

ずず「お、色と番号が変わるんですねっ」

伝助「せや。

まぁ、変わるもんと変わらへんもんがおるんやけどな。

モニターに映すで、観てみてみ♪」

キーを押すと、メインモニターに表が映し出された。

『愛・伝えまフォン』と『付喪ライド』のカラーは


伝助=赤 01

総右衛門=黄 02

源左衛門=青 03

ルナ=桃 04

淑=緑 05

メアリー=紫 06

ピーノ=白 07

ずず=黒 08


ごん=山吹 11

ねん=萌木 12


珍平=蘇芳 13

缶吉=群青 14

餡子=浅葱 15

君兵衛=黄緑 16


と、なっている。

メアリー「あたしゃ、紫色になったんだね」

源左衛門「俺は青のままだな」

ずず「お、オイラは黒か。

へへ、カッコいいなぁ♪」

ピーノ「ピーノは白色のままでしゅ♪」

総右衛門「ごんとねんは、また派手な色になりましたな」

淑「金色と銀色も派手でしたけど、山吹色に萌木色も
明るくてお2人にピッタリですわ」

ごん「ぶっひぶひぶひ♪」

ねん「うんももうんも♪」

珍平「おいどんは‥蘇芳になったばい」

蘇芳(すおう)‥黒味を帯びた赤色で、渋めな色。

缶吉「渋いといえば、ワシも群青色じゃけぇ♪」

気にいったようで、ニコニコと愛・伝えまフォンを眺めている。

餡子「わだすは、黄緑色」

君兵衛「俺は浅葱色じゃあ‥土佐ん海みたいな色じゃ♪」

皆、それぞれのカラーを気に入っている様子に
伝助も満足している。

メアリー「あ、そうだ。

でもさ、伝助‥あたしが紫になると
心のヤツはどうなんのさ?」

伝助「あ、心ちゃんの愛・伝えまフォンな。
それやったら心配いらへん。

『愛・広げまフォン』っちゅー、愛・伝えまフォンの同型機種こさえて
プレゼントしとるで」

『愛・広げまフォン』心専用アイテム。

機能はこれまでの物よりもさらに数倍Upしており
もちろん『サポートロボット・熊猫警護隊サンパンヤンV』や

『見守る目機能』なども最新のものにアップデートされている。

見る方向によって、色が変わって見える特殊なカラーコーティングが施されていて
言うならば『虹色』である。

メアリー「そうかい、そいつぁよかった」

伝助「ほな、僕と‥ルナ、総右衛門、よっちゃん、

源左衛門、メアリー、ピーノ、ずずとで現場へ向かうんと周辺のパトロール。

珍平、餡子、君兵衛、缶吉、ごん、ねんはバックアップ体制や」

缶吉「燃えたかったがの」

ちょっとガックリ。

餡子「仕方ねぇべさ。

こん前のようなこともあるでよぉ」

SSDが現れた今、さらにヴァーミリオンの存在や蝕とピオレッタの存在‥

モンスタリアの攻撃も激しさを増し、一気に攻めるだけでは危険な状態である。

常に次の手を打てるようにしておかなければ‥それが、伝助の考えだった。

伝助「ほな、行ってくるでなっ」

ルナ「あとはよろしくお願いします」

伝助を先頭に、総右衛門たちは付喪ライドに乗って出て行った。


福福

仁と愛理は忙しそうに厨房の中。

帰ったばかりの客のテーブルを片づけているのはジャシン。

愛理「仁、出前のマーボー丼早くしてよっ」」

仁「わかってるって」

最近、出前も始めた福福。

というのも、ジャシンが店を手伝うようになり

さらに手が空いたときはインガも手伝ってくれるので

愛理の勧めもあって出前を開始した。

愛理「にしても、心ちゃん、どこ行ったんだろ?」

今日は土曜日‥学校は休みだが、心は朝からお出かけ中。

仁「最近、よく出かけてっけど

しっかり勉強してんのかなぁ」

親代わりの兄として心配。

愛理「パーカ、勉強しなくてもアンタより賢いわよっ」

仁「へんっ、うっせー!」

愛理「アハハハハ、心配無用よ。

心ちゃん、この前勉強見たけど全問正解。

いい学校に入らせてあげなくちゃね」

仁「まぁな。

でも、それだけが勉強じゃねぇから。

夢を叶えるために必要なことが勉強で
俺は心に夢を叶えてほしいんだ」

愛理「だいじょうぶよ。

仁の気持ちはちゃんと心ちゃんに伝わってから」

ジャシン「夢か‥希望と同じだな」

仁「そうだな、夢も希望も生きてく力だよな」

ジャシン「ん? 仁‥」

仁「なんだ?」

愛理「あーら‥なんかあったのね」

出動していく伝助たちに気が付く。

ジャシン「モンスタリアか? それともSSDか‥」

愛理「SSDは正義の味方‥って、新聞でもワイドショーやニュースでも取り上げてたわよ」

仁「おんなじ守るためってなら、分かりあえると思いてぇけど‥」

ジャシン「自分たちだけが正しいと思いこむ正義は、悪となんら変わりはない。

私がエラそうに言えた身ではないが」

愛理「気付いたんだからいいんじゃない、アンタは。

それに比べて、猪突猛進って感じのSSDはアブナイわよ」

仁「俺もテレビ見たけど、かなり支持されてんだろ」

愛理「そうみたいね。

中国、韓国、アメリカにもロシアにも、これで対抗できるって騒いでたわ。

この国を取り戻す‥なぁんてキャッチコピーまで作って大はしゃぎしてるもの」

仁「なにから国を取り戻すんだろうな‥殺しあってまで、取り戻すものって‥」

ジャシン「希望‥プライド‥それは自身で築くもの、見つけるもの。

決して誰にも奪われるものではない。

『奪う』を『取り戻す』に言いかえて、はしゃぐ姿には反吐が出る」

愛理「まぁね‥あたしもカチンと来てるんだけどねぇ」

仁「すぐに手が出ないのは、成長したってことかな」

愛理「うっさい!」

仁の背中をドンっとハンマーパンチの愛理。

痛さに涙目になってる仁と、『してやったり』な笑顔の愛理がじゃれる。

ジャシン「クク、イチャついてるヒマはないぞ」

新たに入ってきた客にジャシンは冷水を運んだ。
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