彩心闘記セクトウジャ・2

□レベル6・3
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墨彦「心意気に応えなきゃ、男じゃねぇ!」

荒れる緋色を取り押さえながらトルーパーズへ蹴り。

一斉射撃をしようとする陣形を崩していく。

一方、ヴァーミリオンも電磁鞭を振って大多数のトルーパーズへ衝撃を叩きこみ
さらに陣形を崩した。

墨彦「行ける!」

暴れる緋色の手を掴み、取り囲むトルーパーズから脱した墨彦。

墨彦「悪ぃ!」

緋色を殴り倒してきびすを返し、パンチ一閃!

拳圧でトルーパーズを散らし、ヴァーミリオンの脱出を確保した。

飛び出るヴァーミリオン。

椿「おいで、ウスサマー!」

声に反応して、駆け付ける朱色の戦闘バイク・ウスサマー。

またがり

椿「ほらよっ」

アムリタクンダリンで、追ってくるトルーパーズを打った。

電気ショックで倒れるトルーパーズ‥その隊員を踏みつけて、トルーパーズは押し寄せる。

墨彦「集まり始めたのか‥ウジャウジャ湧いてくんぜ」

椿「さて‥キミはその子連れて逃げな。

こっからは、私の流儀で戦わせてもらうわ」

墨彦「ダメだ! 俺はこのまま‥」

椿「ここを切り抜けるまでは‥キミの流儀で戦った。

どうしても邪魔するってんなら、私はキミとも戦うよ」

アムリタクンダリンに換えて、『acala naatha (アチャラナータ)』という
不動明王の名を冠した剣を抜いた。

墨彦「赤鬼‥」

椿「あたしゃ、縞々パンツなんて穿いてない!」

言い残して、トルーパーズへとウスサマーで走る。

今まさに、ヴァーミリオンがトルーパーズを斬ろうとした時だった。

ズガーン!!

空より飛来する何か‥クローズを携え、現れる黒色の吸血鬼 ヴァンパイア・ノワール。

墨彦「吸血鬼!」

ノワール「武闘家か‥悪いがオマエに用はない。

この耳障りな不協和音こそ、ヤツを引きずり出す‥私の狙いはただ一つ」

墨彦「それが‥神ってことか!」

いまだその正体は不明。

そもそも『神』とは?

天地創造、命を生んだ神のことを指しているのか
それとも、モンスタリアと何か関係がある者を指しているのか?

伝助たちは、いわゆる『神』を狩ろうとしていると分析していた。

しかし‥

墨彦「ホントに神様なんて‥」

いるのだろうか?

もし、いたとして‥人の荒れるさまを目にして、人の愚かさや悪意を耳にし

それでも愛すると言うのだろうか?

椿「神様なんていないよ‥いたら私から家族を奪ってなんかいない!」

ある日突然、襲われた椿にとってはそう感じたとしても仕方ない事だろう。

激突するアチャラナータとクローズ。

椿「誰だかしんないけど、これ以上邪魔しないでくれるかな!」

ノワール「別に邪魔する気はない‥オマエたちが殺しあってくれれば、私はそれでいい‥」

椿「だったら出てくんな!」

クローズを押し返し、さらに激しく斬りかかる。

ノワール「が、不協和音が轟かなければ神は現われない」

墨彦「そのためにお前が来たってことか!」

墨彦はノワールへキック。

フワリと避けて

ノワール「ほぅ‥かなりのレベルアップを果たしたようだな」

吸血鬼へ向かってパンチ。

避けて拳を斬りに行くが、墨彦は拳も頭も下げてそのまま全面宙返り。

勢いに乗って、両の踵を時間差で叩きつける。

避けたノワールの長い黒髪が跳ね、ヴァンパイアは妖艶な笑みを浮かべた。

神に射抜かれた肩口が痛む。

ノワール「やってくれる。

しかし、まだまだ成長途中の武闘家だな」

墨彦「成長するってのは、生きてる証だからな!」

パンチを連打、さらに高速でキックを数発。

すべて避けきり

ノワール「確かに。

では成長途中の武闘家くん、

キミもこの不協和音で君のメロディーを声高らかに奏でるがいい。

大きく叫べば叫ぶほど、人はその声を潰そうともがく。

正しければ正しいほど、叫びは崩される。

それがこの世界のルールなのだから」

墨彦「んなルール、俺たちが壊してやる!」

ノワール「それが悪になってもか?」

墨彦「くっ」

ノワール「神がこの世界を愛しているのなら、それはこの腐りきったルールをも
愛していることになるとは思わないか?

だから人は憎しみ合い、悪意は野放しとなり増え続ける。

血の涙を流す命は絶えずいる‥それがこの世界だ!」

トルーパーズはノワールと墨彦、ヴァーミリオンに一斉射撃。

墨彦「この!」

高速で連打するパンチ。

拳圧は次々と弾丸を弾いて、トルーパーズを倒す。

トルーパーズへ剣を振り下ろすヴァーミリオンを止める墨彦。

椿「キミ!」

怒りのままに振り抜く剣を墨彦は蹴り返して、そのままローリングソバット!

ヴァーミリオンを大きく後退させた。

すぐさま振り返り、拳圧の連打でトルーパーズを防ぐ。

ノワール「1人前を気取るか‥武闘家!」

クローズの斬撃を危うくかわし、墨彦はダッシュ。

墨彦「うおぉぉぉ!」

拳に集まる生心力。

ノワールの剣と墨彦の拳が、激突しようとしたとき‥

上空に現れた高速体のバルカン砲が辺りを破壊。

建物も、トルーパーズも数人巻き添えに。

『邪魔だ』トルーパーズのリーダーに入る通信。

『さ、下がれ! SSDマシンが来た!』トルーパーズのリーダーが叫ぶ。

SSDマシン‥ソルジャーズに配備された、高機能・高機動マシン。

セイオウジャと妖霊族・魔フォウズの戦いで
撃墜されたマフォウズの機体『爆災機』を回収、そして研究。

従来の戦闘機・戦車・装甲車の長所を取り込ませて

さらに小型化した、空陸両用の1人乗りの小型スーパーマシン。

周囲の建物を粉々にして、SSDマシンは陸用にチェンジして着地。

墨彦「バカ野郎!」

怒りで全身が震えた。

建物を砕く‥騒ぎによって避難途中の多くの住民の命が、奪われたことになる。

椿「自分たちのためなら、人の命なんてどうでもいい‥それがヤツラさ!」

ヴァーミリオンはウスサマーのアクセルを握る。

SSDマシンが前進!

椿「よっく辺りをご覧!」

墨彦に言って、ヴァーミリオンはウスサマーと走り出した。

墨彦「え?」

言われたとおり、辺りを見る。

『ほいやさっさ、そいやっさっ』と。謎の民族舞踊ちっくに踊りながら
疑似魂力壁を付喪ライドから照射して住民を守り、救助している伝助たちがいた。

伝助「まいど!

なんや大変そうやから、手伝いに来たっで♪」

片足でトントン跳びつつ、墨彦に手を振る。

墨彦「よかった‥」

ホッと胸をなでおろす墨彦。

ウスサマーを走らせながら『猫‥』と、メアリーの姿を見る椿。

メアリー「にゃー」

走るヴァーミリオンに一声。

源左衛門「メアリー、行って来い」

メアリー「でも、わたしゃコッチがあるからさ」

付喪ライトに乗り、疑似魂力で周囲を守っていたが‥

発生装置のレバーを握るメアリーの手を、源左衛門の手が優しく覆った。

源左衛門「気になるんだろう、朱の鬼と名乗るアイツが。

鬼と名乗り、鬼になった孤独から救えるのは、お前しかいないだろう。

メアリー、ココは俺たちで大丈夫だ‥行って来い」

フッとメアリーは笑って

メアリー「しょうがないねぇ。

じゃ、ちょっくら行ってこようかねぇ」

源左衛門「ずず!」

ずず「へい、アニキっ」

ずずがパタパタ飛んでやってくる。

源左衛門「メアリーと いっしょに行って来い。

朱の鬼、そして厄介な戦の鬼たちが相手だ。

気を引き締めてな」

ずず「がってんでぇ!」

メアリー「じゃあ お前さん、行ってくるよ」

源左衛門「ああ。

俺も避難誘導を済ませたらすぐに行く」

メアリー「ずず、行くよ!」

紫色のマシン・付喪ライド06を駆るメアリー。
ずずも『へいっ』と返事をして、黒色のマシン・付喪ライド08を走らせた。

唸りを上げて戦いに挑む2人を見届けると、崩れかけた壁を蹴り割り
源左衛門は逃げ惑う人々を救った。


地を走る6機のSSDマシン。

ウスサマーにまたがったヴァーミリオンは、トライローキャヴィジャヤを連射する。

『各機散開‥迎撃態勢に入る』

ソルジャー01の指示する声。

黒、緑、赤、青、黄、桃色のラインが入ったメタリックグレーの機体は
それぞれに散って機銃をセット。

ソルジャー06・ピンクが乗るマシンは小型ミサイルを展開。

ピンク「ターゲット捕捉‥ロックオン」

『ツバキ、ロックオンされたワ!』

椿「ロックオンだかオンザロックか知らないけどっ」

ウスサマーを操りジグザグ走行。

ピンク「無駄よ、朱の鬼さん!」

小型ミサイルが発射される。

ヴァーミリオンの頭部をかすめ、電柱を破裂させたミサイル。

ピンク「外れた‥そんな!?」

椿「ジャマー‥妨害装置ってあるもんでね」

ブラック「各機、敵の妨害装置を考慮して攻撃」

グリーン「大振りな攻撃じゃダメってことですよ。

バルカンでジワジワ殺してあげましょ」

02・グリーンの乗る機体から機銃が撃たれる。

ヴァーミリオンは避けるが、背後からもブルーの機銃攻撃。

さらに右方向からイエローの攻撃。

レッドの機体が迫る中

ブラック「レッドは射撃体勢維持のまま敵機に接近‥圧をかけろ」

レッド「でも!」

ブラック「命令だ」

レッド「‥‥了解」

レッドのSSDマシンはウスサマーに接近して、激突スレスレ。

かわしてウスサマー走らせる方向に、待ってたといわんばかりにブラックの機体。

椿「読まれてた!?」

かわし、逃げる方向を先読みしていたブラックは機銃を発射する。

椿「おもしろいじゃない!」

ウスサマーは唸りを上げてウィリー走行。

椿「ちょっと、頑張っちゃおうかなっ」

ウスサマーより放出される朱いエネルギー波。
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