彩心闘記セクトウジャ・2

□レベル6・4
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ノワール「キサマぁ!」

メアリー「悪さはよして、とっとと お家へ帰んなね!」

剣と剣は軋み、火花を散らせる。

伝助「チャレンジ精神!!!」

魚正の上に笹継が重なり、パンダとネコの力が吸血鬼を追いつめた!

ノワール「ぐっ」

ずず「行くぜ!」

ピーノ「はいでしゅ!」

ずずの背中にピーノが乗り、ちょっと楽しそうに
どんまいんをないすーんに変える。

ピーノ「悪い子は、おしりペンペンされるでしゅ!」

ずず「もしくは、ゲンコツをズガンと落とされるんでぇ!」

2人の力も加わり

ノワール「オマエら如きに邪魔されるなど!」

怒りは するが、力強さに押されてしまう。

伝助「神さんは守る!」

ノワール「ヤツが何者か知っているのか!」

伝助「神さんは神さんや! 世界を見守るちゅーて、生暖かい眼差しくれてはるっ」

メアリー「生暖かいって言うより、アッツアツな眼差しだけどねっ」

ピーノ「レンジでチンしたぐらいに、アチチでしゅ!」

ずず「炭火で焼きたての、焼き鳥みてぇに熱いんでぇ!」

『みなさん、なにか非常に気になるたとえですね‥』

光の球は、ノワールを押しとどめる伝助たちの傍へと寄り

『吸血鬼よ、心のモンスターよ‥心が何たるかを、荒れたお前のその心に刻んできなさい』

ノワール「黙れ、神っ」

光の球に集まるパワー。

宙を裂いて

シアン「ノワール様!」

後にズオンソーの姿も見える。

さらに

アズゥ「なにも1人で遊びに行かなくてもいいんじゃない?」

ベルデ「神狩り‥僕たちにも手伝わせてくださいよ」

モンスタリアが揃う。

そして‥

大地を割り、現れる巨体のガーディアン・トラン。

怪力で振う大剣・クリスターは、伝助たちを軽く吹き飛ばした。

が、しかし!

神の光球から放たれたパワーは、ノワールの胸に深々と刺さって‥

『私の大切な家族たちよ‥クイーンを‥頼む!』

言葉を残し、吸血鬼は衝撃でどこかへと吹き飛ばされた。

シアン「ノワール様ぁぁぁぁ!」

アズゥ「ノワール!?」

ベルデ「そんな!」

ズオンソーとトランは黙したまま。

そこへ、セクゾーストに乗った蒼唯がやってくる。

セクゾーストのカウルから速射砲を発射。

蒼唯「このバカ! 戦っているならいると早く知らせろ!」

来るなり墨彦を一喝。

が、墨彦はショックのあまりにうなだれたまま。

蒼唯「知らせろと言ってるのに、スルーするとはいい度胸だなっ」」

セクゾーストを降りて、後ろ腰のホルスターからジュウザーを抜き

バスッバスッと撃ち込む。

足元に当たる光弾にハッとなって、ちょっと墨彦は慌てながら

墨彦「ば、ばば、ばか! 殺す気かっ」

蒼唯「心配するな‥」

それは、先日のこと。


回想


伝ラボ

伝助は、作業台の上でジュウザーにショックビーム機能を追加していた。

SSD・国守軍、人間と戦うことになったとき
力を抑えるという闘士たちの負担を減らすためである。

そこへ、蒼唯がやってくる。

蒼唯「意外に広いな」

アチコチと確かめていた。

伝助「なんや、蒼唯」

蒼唯「ああ、私のジュウザーを持っていったままだろ」

伝助「それやったら ちょうど今、でけたところや」

蒼唯「何を取り付けたんだ? 火炎放射機能とかか?」

伝助「ちゃうわっ、なんで殺傷力バリバリの機能追加せなアカンねんっ」

蒼唯「ふーん」

『つまんないの』的な表情を見せる。

伝助「ええか、国守軍やSSDといった人間とも戦うことになってもぉた僕たちや。

やけど、命は守るって決めたやんか」

蒼唯「そうだな‥相手がその意志を理解するとは思わないが」

伝助「そいでも、守るっちゅーのんが‥」

蒼唯「私たちの戦い‥だろ」

伝助「せや。

その負担を少しでも軽減させようと思ぉて

ジュウザーにショックビーム機能を追加しといた。

これで、気にせんと戦える。

ま、パンチやキックは加減せなしゃあないけども
とりあえず銃はジュウザーを使ぅたらええ。

これでトルーパーズどもを、紅ちゃんみたいに失神させれるさかい。

でもゆーとくで、ええか蒼唯

オマエ、間違ぉたとか ゆーて

いつものモード‥破壊ビームは撃ったらアカンど」

蒼唯「ふむ‥それは『撃てよ』という前フリか?」

伝助「ちゃうわっ! なんゆーて けつかんねんっ。

撃つなって、ゆーとんねん」

蒼唯「なんだ、てっきり前フリかと」

伝助「おのれはリアクション芸人かっ!」

蒼唯「熱湯風呂に入るくらい、出来るぞ」

伝助「オマエやったら、90度くらいの熱湯へホンマに入るやろうなっ」

蒼唯「ほぅ‥では、テレビのバラエティーでは?」

伝助「あんなん、ええ湯加減に調節しとるに決まっとるやないかっ。

それをいかに熱ぅ思わせるんかが、リアクション芸人の腕の見せ所や!」

蒼唯「ほほぅ」

メモを取る蒼唯。


墨彦「じゃ、じゃあ‥」

これはショックビーム?

蒼唯「そうだ。

リアクション芸人の真価は、熱くない湯をいかに熱く見せるかにかかっている」

墨彦「そっちじゃねーだろ!」

確かに‥。

蒼唯「なんだ、人がせっかくリアクション芸人のなんたるかを
教えてやろうとしているのに」

墨彦「コッチは今、それどころじゃねぇんだよ!」

実の兄が、セクトウジャを苦しめるSSDの1員だったと知り
大きなショックを受けている。

蒼唯「ソッチとかコッチとか、そんなもの知るか!」

また、バスッバスッ。

墨彦はふたたびチョット慌てながら

墨彦「な、ななな、なんだとっ!?」

蒼唯「今はグダグダ考えてる場合か!

オマエも大変だろうが、私も死んだはずの‥大切な者が私を殺そうと銃を向けてくるんだ」

蝕によってゴーストとして甦ったピオレータ‥

墨彦「あ‥」

蒼唯「戦え‥生きたいと思うのなら。

大切な者が生きているだけで幸せだ。

取り戻せるチャンスはあるんだから‥」

墨彦「蒼唯」

蒼唯「もう1発撃たれたいか? それとも戦うか?」

それは、蒼唯なりの思いやり。

墨彦「今はグダグダ考えてる場合じゃねえな‥へへ、ありがとよっ」

蒼唯「気にするな」

墨彦「なぁ‥たとえ、命は失われても
心や想い、魂は不滅だった俺は思うんだ。

だから‥あきらめんなよ」

蒼唯「ふん‥行くぞっ」

墨彦「ちょ、待てよ! ひとつ聞きたいんだけど」

蒼唯「なんだっ?」

墨彦「さっき俺に撃った弾‥アレ、もちろんショックビームだよな」

蒼唯「ふふ‥さぁ、行くぞっ」

不気味な笑顔を残して、蒼唯は戦いの渦中へ飛びこんだ。

墨彦「『ふん』だの『ふふ』だの、人が訊いても答えねえヤツだよなっ。

なぁ! ホンキで撃ったんじゃないよなぁぁぁ!」

なんだかんだと言いながら、萎えた闘志を燃やすことが出来た武闘家‥

これも、魔法使いの魔法なのかもしれない。

ヴァーミリオン「くぅぅ、若いっていいねぇ!」

メアリー「ウチの桜花じゃあるまいし、アンタも若いんだろっ」

ヴァーミリオン「あたぼうよっ。

まだ25さ!」

メアリー「おや、ワリと‥」

ヴァーミリオン「年がいってるなんて言わないでよっ」

メアリー「ははは、小娘よりはいいやね」

ヴァーミリオン「ホメてんの?」

メアリー「一応はね」

椿「じゃあ‥」

迫るゾンビーを蹴倒して

椿「ありがとさん!」

SSDソルジャーズ‥ブラック、レッド、ブルーは下がってもまだ

グリーン、イエロー、ピンクは戦っている。

ヴミリオン「私の敵は、まだいるってことだね」

アチャラナータを構えて走り、ゾンビーと戦うピンクに斬りかかった。

ピンク「くっ、コイツ!」

ブレードを使って防御。

椿「そんな、おもちゃで いきがんな!」

怒気に満ちたアチャラナータは、ピンクのブレードを斬り折った。

ピンク「ブレードが!!」

悲鳴に似た叫び。

椿「その首、もらうよ!」

ヴァーミリオンがピンクの首を撥ねようとしたとき

グリーンの乗るSSDマシンが飛行形態にチェンジして飛来し
ピンチを救った。

機関砲の弾を避け、ピンクとの距離が開く。

『今のうちに消えなよ、ピンクちゃん』

ピンク「副隊長‥了解!」

ピンクも撤退し‥ヴァーミリオンは仕留めきれなかったことに怒りを隠せない。

メアリー「鬼さん、落ち着きな。

命を奪っちまえば、いつかは奪われるのがオチさね。

まだ、やり直せるチャンスは残されてる‥

アンタにゃ忌々しい事かも知んないけどね、あたしゃイイことだと思ってるよ。

なんだろねぇ‥アンタにゃ そう生きてほしいのさ」

椿「猫‥」

メアリー「にゃー」

ヴァーミリオン「その気持ちだけ、もらっとく。

でもね、私にはやらなきゃいけないことがある!」

叫び、朱の鬼はトルーパーズとゾンビーの分け入る。

メアリー「バカだねぇ‥なにがあったって、生きてりゃ必ず笑える日は来る。

親兄弟、慕う相手‥テメェが大切に想うモンたちだって
そんな生き方してくれって思うはずさね」

それは、自身の過去と受け止めた源左衛門の心から出た言葉。

メアリー「なにがあったか詳しく知らないが、アンタのこたぁ ほっとかないよ」

メアリーも魚正を手に走る!
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