彩心闘記セクトウジャ・2

□レベル7・4
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サッキュバス「なんでこんなところに霊皇が!?」

蝕「それは、私だって聞きたいわよ!」

もつれ合う2人に対し、仁と愛理は息もピッタリに

愛理「なんか、ワカんないヤツラもいるけどぉぉぉ‥うらぁぁ!」

仁「おりゃあぁぁ!

夢魔に対して臆することもなく

火と水のパンチが、行く手を遮る堕天使と夢魔を押し退けた!

仁「先に行ってくれ、信代ちゃん!」

信代「はいっ」

愛理「行けぇ! 孝太ぁぁぁ!」

孝太「は、はいぃぃ」

仁「なぁ愛理、なんか‥ヘンじゃねえか?」

愛理「気付いた? なんか、身体の奥がムズムズするのよねー」

仁「やっぱそうか‥これってその‥なんだ‥」

愛理「あせも?」

仁「バカっ!」

愛理「バカってゆうな! ジョーダンよ。

なんかこう‥初めて元素精霊と会った時みたいな感じのことでしょ」

仁「そうそう!」

仁と愛理‥2人は偶然の出会い後すぐに、妖霊族・魔フォウズの侵攻に巻き込まれ

瀕死のところを

巨大な獅子の姿の『火炎皇(かえんおう)』

巨大なイルカの姿の『水氷皇(すいひょうおう)』

それぞれ元素精霊に助けられる‥それは精霊に選ばれたことでもあり

火や水‥元素の力を精霊の皇『霊皇セイオウジャ』として人間世界を守り
精霊世界の混乱と破壊を食い止めた。

だが、激しい戦いで命を落としたセイオウジャは、奇跡の力で甦ったものの
精霊の力を失ってしまう。

新たに現われた強敵『色呪王国モンスタリア』によって
精霊城は急襲に遭い、精霊族の姫・満優たちとともに封印される。

辛うじて逃げ延びた仁・愛理・孝太・信代は

過酷なトレーニングを積んで、失われた力を取り戻すため鍛え直し
少しずつ、力を取り戻したのだが‥

愛理「水ちゃんが呼んでる気がする」

仁「相変わらず精霊を、ちゃん付けで呼ぶなって」

愛理「うっさいっ」

話している間にサッキュバスは立ち上がり

サッキュバス「よくも私の顔に、薄汚い拳を当ててくれたな!」

愛理「と、薄汚いオバサンが申しております」

仁「おいおい」

サッキュバス「ふざけるな!」

猛スピードで突進し、パンチを繰り出した夢魔だが

仁「おっと!」

愛理の前に仁が立ち

仁「おらっ!」

負けじと放つパンチは闘志みなぎる!

撃ちあった拳は大スパーク。

仁「ホントだ、火炎皇を感じるぜっ」

愛理「ね♪みんなが、早く来いって呼んでるのよっ」

仁の背中をスタタっと走ってジャンプ。

ついでにサッキュバスの頭も蹴って、さらに遠くへ着地。

そのまま城を目指して、まっしぐら。

仁「じゃ、そーいうワケで!!!」

サッキュバスへ向かってキック一閃、すぐに愛理の後を追う仁。

サッキュバス「ど、どういうことだ!? 霊皇とはいえ、力を失ったはずでは‥」

ジャシン「クク‥アイツらはバカだからな。

セクトウジャの勇者も最強のバカだが、アイツらはさらにその上を行く大バカたちだ」

インガ「力を失った元素精霊が、眠りについて力を取り戻しつつあるのと同時に

愛理たちがここへやってきたことで、さらにスイッチが入ったってところでしょうね」

サッキュバス「オマエらは‥フフ、誰かと思ったら、悪魔になり損ねた負け犬たちか」

ジャシン「ほぅ‥ならばお前は、天獄より来た者か」

サッキュバス「ふん。

天獄より授けられし『独紋の指輪(ソロモンのゆびわ)』を使い

七つの大罪

傲慢

嫉妬

憤怒

怠惰

強欲

暴食

色欲

それぞれの力を持つオロチと、『傲慢=スペルビア』『嫉妬=インウィディア』『憤怒=イラ』
『怠惰=アケディア』『強欲=アワリティア』『暴食=グラ』『色欲=ルクスリア』

7体の機械罪魔(オートデモン)を与えられ‥」

ジャシン「機械悪魔を喰らうことにより私は

真の絶望へと導く姿『絶導皇(ぜつどうおう)・熾覇(シヴァ)・ジャシン』となった」

鋭利な尾と凶悪な爪‥大きく裂けた口と鋭い舌

左半身は暗黒色で、3本の腕。

右半身は血の色で、3本の腕。

そして全体を同色の金属が覆い、顔が三面へと変化する。

正面の顔は白き肌のジャシンのまま‥右は妖艶な表情を浮かべ

左は醜悪な獣の顔。

阿修羅の如き容姿のジャシン。

右の腕は『地獄道』『餓鬼道』『畜生道』

左の腕は『修羅道』『人間道』『天道』

仏教でいうところの『六道』それぞれの名と超パワーを持つ6本の腕と
生と死を表す二つの顔。

メタルの翼を広げ、足の爪で大地を掴む熾覇・ジャシンは

仁によって人の温かさを知り、奇跡の力によって

絶望から希望の戦士へと生まれ変わった。

多くの命を救うため

己の贖罪のため

命を懸けて平和を守る希望の戦士に。

ジャシン「天獄などから与えられた独紋の指輪など、私にはもういらぬ。

絶導皇・熾覇の力などよりも強い力を私は手に入れることが出来た‥

仲間との絆、愛、友情、優しさ!

どれもが絶望などとくだらぬ力よりも強く、

私に生きる意味を教え、決意をさせてくれる!」

インガ「私も元は獣‥怒りの獣姿になった私だ」

愛した夫と子を奪われ、復讐の渦に堕ちたインガは暗闇の底で

絶望を背負うジャシンと出逢った。

その皮肉な巡り合わせを知らぬまま、2人は互いの傷をなめ合うように肌を重ね

それがイミテーションだと知りながら、忘れていたはずの『愛』を芽生えさせた‥

憎しみと愛の狭間で苦しむインガは

すべて終わらせるために、何もかもから逃れるために

悪しき力を蓄えた『狂気の棘』を胸に突き刺す。

そうして獣の姿を手に入れて、死へと向かって走り続けたインガを止めたのは愛理。

愛理は命と引き換えにインガとお腹に宿る命を守り

そうして生まれた我が子のミライ‥希望と書いてミライ。

インガ「お前たちなんかには、わからないでしょうね。

希望がどれだけ大切なものか」

ジャシン「希望とは未来へ進む力。

セイオウジャであり、セクトウジャであり、付喪堂だ」

インガ「私たちは、希望のために戦う。

それが犯した罪の償いにもなる」

ジャシン「さぁ、思い知らせてやろう‥

クク、悪の力など希望の前には無力だということを!」

サッキュバス「希望なんてしょせん、ただの甘ったれた虫けらの戯言さ!」

激突するジャシンとサッキュバス。

ジャシンに迫る拳を、インガの鎖鉄球が阻む。

インガ「お前の相手は私がしてやるさ!」

ジャシン「そういうことだ、私はアイツを!」

セイオウジャを狙いインキュバスへ大鎌を振り下ろすジャシン。

すぐさま矛で跳ねて

インキュバス「邪魔をするな! 腑抜けた精霊族風情が!!」

言い放つ夢魔をかまいもせずにキック。

次にキル、ピオレータへも牽制の大鎌を振った。

間合いを開けるキルとピオレータ。

そこへなだれ込んでくるゾンビーたち。

瞬間、桔梗より牡丹へとピオレータの人格は交代した。

ジャシン「仁‥急げよ。

天獄の住人を相手にするには、私もインガもまだ力不足‥加えてコイツらだ。

ガキと亡霊はゾンビーたちが阻んでいるが‥私もコイツたちを

いつまで足止めできるものか‥」

ジャシンとインガの力は70%のところまでは戻っている‥が、まだ70%だ。

インキュバス「お前の役目はとっくに終わっている! サッサと死んでもらおうか!!」

迫る矛を大鎌で受け

ジャシン「やはり、お前たちが事のはじまりか!」

はじめ、ジャシンに力を与え

精霊王家の想真を憎魔へと変え

インキュバス「お前たちが精霊どもを始末していれば

心の世界など作らずともよかった!」

ジャシン「ハートフィールドが生まれ、精霊世界と融合させるには何の意味がある!?」

インキュバス「わざわざ教えてやるほど、俺は優しくないんでねっ」

鋭い夢魔の蹴りをジャシンは耐え、自分もキックを撃って応戦する。


インキュバスの猛攻を防ぐのにせいいっぱいのジャシンを目の前に

インガとサッキュバス‥

サッキュバス「ハートフィールドが出来、

心に巣食う悪意が怪物となって王国を築いたまでは良かったが

同時に人間たちの心の色とジョブが、形になって現れ始めた‥

小賢しい精霊界のおもちゃたちが、彩りの闘士・彩心とやらを結束させて

ごたついている間に、セイオウジャどもが騒ぎ始める。

ったく、うっとうしいったらないもんだ!」

インガ「どっちが、うっとうしいのかしら!」

インガの全力の蹴りは、夢魔を激しく、揺らせるが

サッキュバス「まだまだ軽いねぇ!」

連打の拳!

インガを吹き飛ばし、夢魔は高笑う。

インガ「ぐっ‥負けたりしない‥この身体が消え失せても

私は希望を失ったりしない!

希望のために挑み続ける!!」

我が子・ミライの顔が心に浮かび、夫・ジャシンと過ごす日々の子と

仁たち仲間とおくる暮らし

そんな仲間の後輩の紅たち

伝助たち‥すべての笑顔がインガに勇気を与える。

インガ「身体が‥」

熱くなる感覚は、怒獣に変化した時に似ている‥

が、決定的に違うのは

身体中を包み込むのは『熱さ』でなく『温かさ』だ。

インガ「この力は‥怒り‥静かに燃える怒りを向ける相手は悪!

悪に対して燃やす怒りは聖なる怒り!!」

あふれる魂力が、眩いほどに輝く!

サッキュバス「チッ、精霊族なんか!!」

激しく叩きつける拳・快楽- pleasure (プレジャー) -。

インガ「ええい!」

拳をかわして、鎖鉄球剣・落花流水の鎖を素早く夢魔の腕に巻きつける。

そしてそのまま引きつけて、まず右ひじをサッキュバスの頬に叩き込み

続けて後方へ身体を逸らして、全体重を乗せた投げを撃つ!

サッキュバスもさるもの、とっさに片手をついて地を押し上げ

投げを防いで体制を瞬時に整え、バックスピンキックをインガへ放つ。

蹴りをボディーに受けて、後へ数歩よろけたインガ。

互いに間合いが開いて、それぞれ身構えて睨みあった。

インキュバスの蹴り。

ジャシンは避けて、ハイキック。

夢魔は矛の柄で受け止めて、クルっと回ると

矛・苦痛- pang (パン) –で突きを連撃!

長柄の大鎌・行雲流水を回転させて防御を取るが

力に押されて、あえなく倒れる。

インキュバス「アーハハハハハハ、無様だな!」

矛を逆手に、刺し降ろす‥

ジャシンは瞳をカッと開いた。

体内で爆発するかのような魂力の感覚。

インキュバス「うぅっ!」

魂の輝きのあまりの眩さにたじろぎ、膝をついた。

ジャシン「これは‥この力は希望か‥

悪に怯まず、見据え歩き続ける希望。

聖なる道、正しき道を照らしだす道標は希望!」

絶望の皇だったジャシンは今、希望の皇へと変わる。

インキュバス「キサマぁ‥」

ジャシン「力が完全に戻った‥いや、それ以上か」
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