彩心闘記セクトウジャ・2

□レベル8・3
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俊充「悪意との戦い‥果て無い戦いだ」

檸檬「果てはきっとある。

信じなくてどうするんだって、仲間たちなら笑い飛ばししてくれます。

だから、私は信じます」

治夫「君の心は‥戦士だ。

本物の戦士だ」

檸檬「勇者がともだちですから‥大切な友達ですから‥

魔法使いも僧侶も武闘家も、召喚士も賢者も」

俊充「ありがとう‥」

檸檬「?」

俊充「道を尋ねたじゃないか‥教えてもらったよ、キミにも」

治夫「君の大切な仲間たちに伝えてくれ。

君たちの戦う姿が、守るということが
しっかり伝わり、広がった俺たちがいると」

俊充「じゃあ‥失礼します」

治夫と2人、立ち去ろうとする後ろ姿に

檸檬「商店街を進んで、向かい合わせに『魚金』『八百月』と

魚屋と八百屋があります‥今、迷惑かけちゃいけないから店は閉じてます。

そこに蜜柑はいます‥私の家族はいます」

俊充「ありがとう、ちゃんと謝らさせてもらうよ」

治夫「君ももし‥傷ついた、もう1人の子に会えたなら

もしも、セクトウジャの戦士に会えたなら

伝えてくれないか‥すまなかったと」

檸檬「‥はい‥」

俊充「俺たちは俺たちのやれることをしようと思う。

まず、右腕を動けなくされた子に謝る事

そして、SSD内部を変える事。

恐れはしない、それが守るための戦いだから」

俊充と治夫は、檸檬に告げると

商店街へと入っていく。

檸檬は大きな声で『ありがとう』と伝えた。

笑顔で手を振る2人の姿が、とても嬉しかった。

この後‥織田俊充と釜石治夫は、身分を明かして吉黄家へ謝罪に行く。

蜜柑の前に立ち、深々と頭を下げた。

蜜柑は『おにーさんたちをモデルにして、小説書きます』と

笑顔を見せたという。

そう姉の柚子から檸檬に、連絡が入った。

外にしつこく張りつくマスコミへ、SSD隊員として一喝。

隊員として今後、それがSSD・国守軍支持によるものだったとしても
いかなる暴力も許しはしないし肯定することはない

行き過ぎた自警団の活動、反論する者への弾圧

騒ぎに乗じて、関係のない団体や人たちへのヘイトスピーチ

あらゆる暴力、悪意を正義と認めることはしないとSSDソルジャーズ

ソルジャー04・織田俊充

ソルジャー05・釜石治夫

公的立場として、発言すると発表した。

これにより、マスコミの取材班たちは退去させられ

2人が帰った後、近所の人たちが『今までのこと、許してほしい』と
家にやって来たと聴く。

本心から『吉黄家』を邪魔だと思ってはいなかった‥

だが、騒ぎに巻き込まれるのが怖かった

自分たちや家族に何かあったならと、社会の論調に合わせていないことで
不利益もそうだが、身に危険が起きてしまうんじゃないか

その気持ちが、吉黄家にたいして辛くあたる行為を取らせてしまったと‥

もちろん、父も母も
そんな近所を大声で笑って、許したのだろう。

『ウチの家族は、強いんだから』

檸檬は、家族や仲間

それにご近所さんたち、この国の人たち、世界の人たち
守りたいと、改めて強く想う。

戦士の心は、もう光を失うことはない。


アパート

『この、すっとこどっこい!!!』

それはもう、大きな声で怒鳴られた。

ツァイフォン越しから怒鳴るメアリーに墨彦は『すみません、すみません』と

平謝り。

健男「おにーちゃん、叱られてるの?」

紅「うん‥強くて綺麗で小粋な猫さんに、叱られてるんだよ」

墨彦「ちょ、なに子供に言ってんだよぉ」

『よそごと言ってんじゃないよ、あんぽんたん!!!』

墨彦「は、はいぃぃぃ」

また平謝り。

『なんでワケも ろくすっぼ調べずに

身元調査だなんだと、人様の過去ほじくりかえすような下種なマネしてんだい!』

メアリーは怒る。

双方のワケを知ったうえで、伝えるべきところは伝えて

話し合うところは話し合わせろと、メアリーの言葉。

それを怠った墨彦は、メアリーに叱られるのも仕方ない。

『探偵なんざ、いっぱしの男じゃないとやってられない仕事さねっ』

しょんぼりとして『はい‥』と墨彦。

久しぶりの仕事で、こんな大失敗をしてしまうとは‥

墨彦「やっぱ、断っときゃよかった」

『引き受けた仕事だろ、キッチリやってこそ仕事じゃないかっ。

あたしゃ、仕事の仕方が不味いと叱っているのさね!

まだわかんないのかい、この ほうすけ!』

ほうすけ‥[呆助]と書く。

まぁ、要するに[阿呆]の事だ。

『男と女のことだからさ、イロイロあるのさ。

それを考えもしないで、ホイホイ母親に居場所を伝えてその様たぁ

情けなくって、涙もでやしないよっ』

墨彦「は、はい‥」

『いいかい! ちゃんと詫びて、カタぁつけておやりよ!!!』

怒鳴ってガチャンと通信を切ったメアリー。

ツァイフォン片手に、ガックリ落ち込む墨彦の横で
紅と健男は遊んでいた。

それから数分後‥メアリーから連絡が入ったのだろう、雪永がアパートにやってきた。

30分ほど遅れて、檸檬。

健男は大喜びで、朝日や愛にかってもらったヒーローと怪獣の人形をいっぱい持って

『はーい』と紅たちに配って、遊び始める‥が、やはり朝日が心配なのか
誰かの足音が聞こえたとき、朝日ではないかとドアを見て

通り過ぎる足跡に表情を曇らせる。

雪永「お父さん、早く帰ってくるといいね」

健男「帰って来るもーん」

強がって、人形遊びで『どーん』

雪永の持つ怪獣を撃退した。

檸檬「そっか♪」

ヒーローを持って、紅怪獣と戦う。

紅「帰ってくるまで、遊ぼーねぇ」

倒される紅怪獣の横、墨彦怪獣はまだ落ち込んでいる。

雪永「よしよし」

ヒーロー雪永に慰められていた。

トトトトン‥慌てて駆ける足音が聞こえたかと思うと、ガチャ。

ドアを勢いよくあけて、愛が帰ってきた。

健男「あ、おかーさん」

紅たちは、息を切らせている愛へ挨拶。

愛「あ、あの‥どうもすみません。

なんだかご迷惑かけちゃったみたいで」

朝日から愛へ、連絡が入ったらしい。

健男が部屋に残り、たまたま知り合った女の子が

いまはいっしょにいるけど‥そう伝えると、隣にいたであろう朝日の母に
電話を切られてしまう。

事情を店に伝え、なかば飛び出すように店を出て

怒鳴り声を背中に受けつつ、愛は健男が待つ家へと帰ってきた。

愛「健男、ご飯は?」

愛は少し散らかった部屋を片付けながら、健男に話しかける。

健男「とーちゃん、帰ってくる?」

母には素直に、心の内の不安を告げる。

愛「心配しないの‥だいじょうぶだから」

その声に、大きな不安が隠れていることを雪永は察した。

愛「あの‥」

檸檬「はい」

愛「ホントにすみませんでした。

ずいぶんと、ご迷惑おかけしちゃって」

紅「そんなことないですよ。

私こそ、お風呂借りちゃったし着替えも借りたし

迷惑ばかり」

頭を下げる紅。

愛「お風呂? あ、そう言えばその服、私の」

健男「おねーちゃんね、シャンプー飲もうとしたっ」

紅と健男で、愛に事情を話す。

愛「そうですか‥彼、優しい人だから」

紅「お留守の間に、勝手にすみませんでした」

愛「いえいえ、彼もシャンプーかけちゃったんだし」

健男は愛の作ったカップ麺を食べ始める。

その間‥愛を挟んで、紅・檸檬・雪永・墨彦は話す。

愛「それで‥あなた方は‥」

檸檬「紅ちゃんの友達です」

紅「私が紅でーす♪綺赤 紅」

檸檬「私、吉黄 檸檬っていいます」

雪永「祈白 雪永です」

墨彦は、バツがわるそうに『伽黒 墨彦です』

それぞれ自己紹介がすみ

愛「私は井口 愛といいます‥あの子は」

紅「健男くん♪」

手を振る紅に、ラーメンをチュルチュルすすりながら

健男は手を振りかえす。

愛「彼は‥福家 朝日」

雪永「健男くんのお父さんでは‥」

愛「いいえ‥この子の父親は‥まぁ、それは別の話しですから

聞かずにいてください」

雪永「ごめんなさい」

愛「いえ、こちらこそ。

彼‥朝日さんとは、結婚も視野に入れたお付き合いをしています」

墨彦「それが‥実は俺、愛さんのことも朝日さんのことも
知ってるんです」

愛「どういうことですか?」

墨彦は言いにくそうにしていたが、雪永に背中をつつかれ

意を決したように『すみません』と頭を下げた。

当然、ワケがわからない愛は困惑したが

自分は探偵であること、朝日の母に依頼されて、朝日や愛の身辺調査をし
このアパートが住まいだと教えてしまった‥

その案内をしてしまったと告げると、己のミスだったことをわび

双方の事情をよく考えてから、行動すべきだったと
愛に心から謝罪した。

愛「そんなに謝らないでください。

あなただって、お仕事でしたことなんですから‥。

調べられたんですから、あなたもご存じのように

私は声を潜めて言わなければならないような、そんな仕事をしている女です。

子供のため、お金のためとイイワケしながら、ズルズル続けてしまっていた仕事。

なんていうんですか‥世間をすねてって感じで、すっかり人生をあきらめてしまって

このまま、どうにでもなっていいや‥なんて考えたりして。

そんなときに、朝日がお店に来たんです。

彼、1度来たらもうずっと私を指名して

毎晩とは言わないけど、そうだなぁ‥ほぼ毎晩」

墨彦「どハマりか」

雪永「もう、墨彦っ」

墨彦「あっ! ご、ごめんなさい」

愛は笑って首を振る。
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