彩心闘記セクトウジャ・2

□レベル9・3
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都内

猛スピードで駆ける付喪ライドを追いスーパーバイク、殺塵機・パープル。

人を何度も轢き殺し、廃車となったバイクをベースに蝕が作ったマシンである。

機銃を撃つパープル。

追いかける銃撃を引き離し、さらに加速する付喪ライドの前方にSSDマシン4機。

伝助「SSDかっ」

伝助はさらにアクセルを踏み込み、突進していく。


コックピット


ブラック機

鉄志「各機散開、攻撃対象は2‥しかし、先頭の小型機を最優先に破壊する」


グリーン機

直明「了解」


レッド機

夕也「了解」


ピンク機

茂美「了解」


左にブラック機、レッド機
右にグリーン機、ピンク機に分かれて付喪ライドに攻撃開始。

伝助「街ん中やゆーのに!!!」

疑似魂力大量放射! しかし、そのせいで付喪ライドはエネルギー不足。

伝助「ガス欠になってまう前に、なんとかせなアカンな」

ハンドルを切って、SSDマシンのミサイルをかわす。

破裂するミサイルは、疑似魂力のバリヤーに阻まれて鉄くずと化した。


ブラック機

鉄志「ミサイルは無効となるか‥各機、バルカンで対応」

グリーンたちの『了解』が聞こえる。


付喪ライドは縦横無尽に街中を駆け、逃げ遅れたタクシー、トラック、バスなどを
疑似魂力照射で守りながらSSDマシンを翻弄する。

唸るSSDマシンのバルカン。

路線バスの屋根を弾丸は突き進むが、被害は車体がヘコんだ程度。

ハンドルを切り損ね、歩道に乗りあげ危うく人を撥ねそうになったタクシーを
疑似魂力放射に続いて伝助の付喪ライドは体当たり、道路に押し返す。

スピンし、道路上でようやく止まるタクシー。

後続の車は衝突するものの、バリヤーで運転手は皆 無傷。

その車たちを飛び越えて、パープルは執拗に追った。

伝助「アッチも来よった!」


グリーン機

直明「チッ、邪魔だな‥アイツ」

トリガーを引き、パープルへバルカンを撃つ。


弾丸を避け、牡丹はSSDマシン・グリーン機へ射撃。

すかさずピンク機がパープルを襲う。


ピンク機

茂美「副隊長!」


グリーン機

直明「コッチはいい、あの小さいのをヤれ!」


ピンク機

茂美「いいえ、コイツも攻撃対象には変わりませんから!」


グリーン機

直明「ったく、お前といい織田、釜石といい

国守隊あがりはなってないな!」

命令は絶対‥のはずなのに、織田も釜石も、
野口 茂美もときとして命令を無視する動きを見せる。

織田、釜石は行方をくらまし

茂美もまた、隊長である鴉蒙 鉄志の命令を無視して
小暮 直明を援護している。

その姿に直明は、軽い衝撃を受けていた。

ずっと人から命令されたことだけを遂行すればよかった人生に
そういった選択マシがあるなどとは思ってもみなかった。


グリーン機

直明「野口‥ヤツにはミサイルを無効にする厄介なものは無いようだ」


ピンク機

茂美「え? あっ! 了解っ」

茂実はミサイルの発射ボタンを押す。


パープルめがけてミサイルが発射される。

牡丹は避けたが、破裂したミサイルの衝撃でハンドルを取られて転倒。

そのとき、蒼唯のツァイフォンが転がり落ちた。


ピンク機

茂美「あれは!?」

モニターに映し出されたツァイフォンを見て、
茂実は回収しなくてはとマシンを着陸させる。

茂美「装着!」

SSDアーマーに身を包む。

駆け寄り、手にしたツァイフォン‥

急いでSSDアーマーからケーブルを取り出し繋ぐ。

持ち帰る前に、万が一のための処置‥それをソルジャーズ達は指示されている。

マシン内へ戻ろうとする茂美の背中に銃弾を撃ち込む。

衝撃で倒れ転がるピンク。

牡丹「それは あたしの物だ! 返せっ」

倒れたピンクへ、踏みつけるような蹴りを撃つ。

ピンク「がっ」

衝撃に悶絶。

苦しさを堪え、ピンクはSSDショットを撃つ。

牡丹は戦闘態・ビオレータへ変化すると

ピンクからツァイフォンを奪おうと襲い掛かった。

ようやく起き上がり、立ちかけの状態だったピンクは

ビオレータのキックを受けてまた転がり倒れる。

牡丹「返せ!」

『蒼唯の大切なものを、誰にも触れてほしくはない』

牡丹の中にも、蒼唯への特別な感情はある。

桔梗のように恋愛ではない、菫と同じく
友への情と肉親への情が入り混じったような、深い愛情。

牡丹はけっしてそれを認めない。

だが、確実に存在している。

その感情を『破壊する』ということでしか表現のしようがない‥。

彼女は1人の人間である。

桔梗もまた、同じく。

菫の身体の中に住まう、桔梗と牡丹‥と、菫。

ゆえに感情も愛情も複雑に絡まる。

絡まり、いつしか身動きが取れずに‥終わりを迎えるのか。

牡丹「はあぁぁぁ!」

突進するビオレータだったが、SSDマシン・グリーン機からの機銃が阻む。

ピンクはダメージが深く、立ち上がれない。

が、ツァイフォンは離さないでいた。

ケーブルを通して、コピーされていくデータ。

牡丹「くっ」

特殊変形大型2丁拳銃のムラザリとラサギルをかまえ、グリーン機へ連射。

道路に着陸したマシンのキャノピーが開き、
アーマー装着済みのグリーンが、ショットを撃ちながら駆けてきた。

ピンク「ふ‥副隊長‥」

牡丹「はぁ!」

飛んで、右足、左足と時間差で叩きつける2連脚蹴り。

着地と共にサマーソルトキック‥グリーンの胸板を蹴って宙返りで翻弄。

一瞬、戸惑ったグリーンへ強烈な横蹴りを放ったビオレータ。

グリーン「未確認破壊脅威6号B‥いや、死んだはずの紫雲 菫。

さすがは氷青 蒼唯とともに、blood-shadowの双璧と言われただけのことはある‥だが!」

グリーンはビオレータの次なるキックをかわして膝の横へ的確な蹴り。

体勢が崩れるのを踏ん張ろうとするビオレータだが

後頭部に向かって、全身で回転力を加えながら片足で飛び上がって蹴り付ける

旋風脚を1撃。

そのままもう片方の足を首に食い込ませ丸め込んで地面へ。

腕を取って固め、絞めた。

牡丹「があぁぁ!」

悔しさと痛みで叫ぶ。

すると‥牡丹に代わって現れる桔梗。

桔梗はまず全身の力を抜く。

固められまいと、絞められまいと もがき硬直する筋肉が
よけいに技を解きにくくする。

力を抜いた身体は、敵の手をするりと抜けた。

グリーン「まるでウナギかタコ‥デビルフィッシュだね」

グリーンの技から脱して立ち上がると

桔梗「デビル? 悪魔に近しいのは、人間ではないか」

グリーン「怪物に言われたくないね」

ショットを撃つ。

ピンクはようやく立ち上がり、ショットを手に攻撃に加わる。

グリーン「とっととマシンに乗って退却しろ!」

ピンク「私ならまだ戦えます!」

グリーン「また命令無視か。

ミッション中に何回、違反を犯す気だ?」

グリーンはピンクをかばうように射撃でビオレータを遠ざける。

ダメージの濃いピンクを助けようとしたのか‥

隊長が指示した、最優先ターゲット『伝助』を無視して。

桔梗「私は蒼唯を追わねばならん。

が、まずはそれを返してもらう」

桔梗は左手に持つラサギㇽでグリーンを撃ち牽制。

同時に右手に持ったムラザリで的確にピンクのアーマーと
蒼唯のツァイフォンを繋ぐケーブルを撃って切断。

グリーン「なに!?」

跳んでピンクに強烈キック。

続けてグリーンへミドルキック。

蹴り足をガードしてグリーンは背面エルボー。

見切っていた桔梗は上半身をグリーンの背面に押し当て、そのまま持ち上げ

グリーンを頭部から投げ、落下させる。

とっさに受け身を取ったものの、肩を痛めたグリーン。

瞬間、桔梗はラサギㇽを短剣に変えて逆手持ちのままメットへ斬りつけた。

火花を拭くグリーンのメット。

ピンク「副隊長!」

起き上がってショットを構えたが、桔梗はすでにムラザリも短剣に変えてピンクを1撃。

肩から胸へかけて斬りつけられ、アーマーは大破。

グッタリ倒れたピンクの手からツァイフォンを奪い返すと

パープルにまたがった。

その桔梗へ向かって放たれた銃撃。

メットを完全に破壊されたグリーンは‥

直明は、まだショートしている分厚いメットの隙間から顔を覗かせ
桔梗へショットを撃っていた。

直明「まだだ!」

桔梗「お前‥死ぬがいい」

直明の眉間に狙いを済ませて引き金を引く。

迫る銃弾を防いだのは、セクゾーストで駆けつけた紅だった。

紅「あなたは‥‥えっと‥‥」

桔梗「ビオレータ‥今は桔梗だ」

紅「そう、そうそう、桔梗さんっ」

レットウを抜いて構えた。

紅は桔梗が手にするツァイフォンを見た。

紅「それ! 蒼唯ちゃんのツァイフォン!! 返してっ」

取り戻そうとレットウを振り下ろす。

グリーン「くっ、未確認たちが‥」

が、グリーンはまずピンクの安否・生死を確認に行く。

グリーン「息はある‥」

どこかホッとした様子で、ピンクを抱きかかえ

SSDマシンへ連れて行った。

その間も紅と桔梗は戦闘中。

遠くではブラック機とレッド機を相手に、戦う伝助の付喪ライドが見えた。

桔梗「邪魔するな!」

紅「とぉりやあぁぁぁ!」

重なる対の短剣と刀。

桔梗「ん?」

レットウの刃の輝きの上‥上空から急接近する何か。

桔梗「あれは‥駄々っ子と竜か」

クリムゾンに乗って緋色が現れた。

緋色「あそこだ」

クリムゾン「承知しました、マスター」

緋色はアガマルを手にした。

翼を広げて、スピードを上げたとき

SSDジャイロ隊が到着、クリムゾンと鉢合わせ。

すぐさま戦闘状態に突入。
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