旧 霊皇戦隊セイレンジャー 1

□第2話・3
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インガ「廃棄処分だよ!」

振り上げる怒淋。

その時‥伝助と理奈たちの危機を救うべく、遠くから聞こえる鋼速ローダーの爆音。

前部のカウルから一斉に発射するビーム。

インガ・カルマ・凶厄丸を吹き飛ばしてゆく。

伝助たち3者を守るように停車する5台の鋼速ローダー。

満優がすぐさま飛び降りてボロボロになってしまった伝助に抱きついた。

伝助「むぎゅう…あ‥ええ匂い…」

満優「伝助っ‥バカッ…おまえはバカです‥」

あとは言葉にならない‥。

孝太「ダメじゃないですかっ、僕たちは仲間でしょう?黙って行くなんて」

信代「今度こんな真似したら‥」

なにやらおぞましいオーラを発揮する信代に伝助は怯えた。

仁「理奈ちゃんだね!?もう大丈夫だよ」

伝助も気になるが、理奈とたま太郎を気遣う仁。

愛理「こんのっ、ぼけパンダぁ!なに勝手な真似してんのっ。あんたの体でこぼれた牛乳
拭いて、トイレ掃除して、そのままロッカーに放り込んでやるからね!」

伝助「い、いやぁぁぁ!」

愛理「あと、ぶさいくと鬼ばばぁの罪は重いわよっ、覚悟してなさい!」

伝助「ひ、ひぇぇぇ!」

仁「オイ、伝助‥心も、みんなも、お前の事を心配してたんだぞ。おまえの友達は死んじまったその2人だけか?俺たちは友達じゃねえってのか?さいならなんて、たったそれだけで
終わっちまうもんなのかよ‥そんな事言うなよ‥さいならなんて寂しいこと言うな…
絶対言うな!伝、絶対言わせねえからな!」

涙を滲ませて伝助を叱る。

伝助「仁‥満優様、信代ちゃん、孝太、愛理のでべそ…おおきに‥」

嬉しくて頬を光るものが伝っていく。

愛理「でべその罪、追加」

伝助「ひぇぇぇ!」

インガとカルマ、凶厄丸が立ち上がる。

仁「おめぇらっ!人のダチぃ、よくもこんな目に遭わせてくれたな!
許さねぇぞ、みんな!行くぜぇ!!」

腕にはめている転精輪から、各々の武器を取り出し構える5人。

ぶつかり合う両者。

仁の刀・烈火と切り結ぶカルマの残哀。

光の弓・白夜でインガの動きを牽制し、

信代が2本1対の小太刀・『疾風・撃』を右手に『疾風・閃』を左手に持ち、

切り込んでいく。

凶厄丸を迎え撃つ孝太の斧・金剛と愛理の銃・水流。

インガ「ちぃ‥クグツ!」

ゾロゾロと現れるクグツ兵。

乱闘が始まる‥満優と愛理が傀儡兵を迎え撃つ。

カルマの激しい攻撃、烈火でその残哀を受け止める仁。

そのまま押し返し、流れて右方向へなぎ払う仁。

その太刀筋を避け、上段から一気に振り下ろすカルマ、裂ける大地。

横へ避け飛ぶ仁、

すぐさま立ち上がり、回し蹴り、空を切る蹴りだが、その勢いを利用しての胴払いの太刀が命中!

火花が走り、倒れるカルマ。

好機と突っ込む仁だが、不意の2段突きを繰り出すカルマに危うく避ける仁。

烈火を構えなおす仁とおなじく、態勢を整えなおすカルマ。

両者、睨み合う!

素早く動くインガ。

が、信代はインガの動きを予測し、待ち構えている。

一閃!

信代の2本の疾風がインガを捉えた。

『ぐぁ!』火花と共に倒れこみ、苦しむインガ。

怪力の凶厄丸、孝太を掴まえて投げ飛ばす。

置かれてある廃車にぶつけられ、骨がきしむ孝太。

しかし、激痛を堪え反撃!

金剛でバッティングセンターよろしく、廃車を打ちつけて
凶厄丸へと弾いた。

激突!

怯む凶厄丸。

群がる傀儡兵ども、満優と愛理は次々と射抜いていく。

愛理「理奈ちゃん‥て言ったね。早くその化け猫連れて逃げなさい!」

愛理に言われ、理奈はたま太郎を連れて逃げた。

しかし、行く手を遮る様に次々と現れる傀儡兵の集団。

満優「理奈ちゃん」

焦る満優、理奈に迫い来る傀儡兵を伝助が投げ飛ばす。

伝助「理奈ちゃん、だいじょうぶぅぅぅ‥くてぇぇぇ…あ、あかん」

体に力が入らない。

容赦なく迫り来る傀儡兵たち、愛理の射撃も間に合わない。

悲鳴をあげる理奈。

たま太郎がふたたび戦おうとした時、雅恵が割って入ってきた。

雅恵「理奈ちゃん!」

理奈を庇う雅恵、傀儡の武器によって腕を切りつけられる雅恵。

飛び散る鮮血。

たま太郎は傀儡兵を倒していく。

理奈「おばちゃん!血‥血が出てる…だいじょうぶ?‥」

雅恵「理奈ちゃん‥だ、だいじょうぶよ…それより、離れちゃダメよ!」

理奈を強く抱きしめた。

なおもにじり寄る傀儡兵、満優も愛理も必死に攻撃するが、その数に苦しめられる。

雅恵「神様‥お願いします、この子を‥理奈ちゃんを助けてください‥
この子だけはぁぁぁ!」

悲痛な叫び、雅恵に抱かれている理奈は、雅恵の胸の温かさに亡き母を思い出す。

力強く抱いてくれた母‥どんな時も優しく‥そして‥守ってくれた。

激しい不安が理奈を飲み込む。

このまま『おばちゃんが死んでしまったら…』

亡き母の面影と雅恵の姿が重なる。

理奈「やだ‥やだぁ!おばちゃん…お母さん!死んじゃやだ、やだやだっお母さん!」

必死の叫び、雅恵のことをはじめてお母さんと呼んだ。

雅恵「理奈!」

抱きしめなおす。

『お母さん』と呼んでくれた‥理奈ちゃんが、理奈が母と呼んでくれた。

雅恵は生きたいと強く願った。

生き延びて、理奈と楽しい思い出を‥同じ時を刻んでゆきたいと強く願った。

無情に振り下ろされんとする傀儡兵の武器・小斧。

愛理「だめぇぇぇ!」

遠くに見える愛理の悲痛な叫び、満優もたま太郎も傀儡兵の集団に苦しんでいる。

伝助「動け、僕の体、動かんかいっ。動けやぁぁぁ!」

雅恵「この子だけは死なせない!」

身を挺して理奈を守る雅恵、一気に振り下ろされる小斧。

キーン!…

甲高い金属音を立てて雅恵の命を奪わんとした凶器が弾け飛ぶ。

地に突き刺さるニンジン型の手裏剣。

飛んできたその方向に目を凝らす伝助。

陽炎立つ地の向こうより、駆けて来る影2つ‥。

伝助「…?‥あ…ぐっ‥ふぇ…ふぇ~ん!」

言葉にならず泣き叫ぶ、子供のように。

『若ぁ』『伝』その声が近づいてくる。伝助は力の限り呼んだ。

伝助「総右衛門!源左衛門!」

『とぉりゃぁぁぁ!』気合が入った声。

ボロボロの伝助と雅恵親子、たま太郎を守るように仁王立つ犬と兎(ぬいぐるみ)

総右衛門「若、遅くなりました」

源左衛門「すまん」

夢ではないか?

そう伝助は思った。

総右衛門「若っ、その姿は何でございますっ。だらしがないですぞ!」

久しぶりの小言。

源左衛門「伝、立てるか?しっかりしろ」

気遣ってくれる言葉。

伝助の勇気が奮い立ち、消えかけていた闘志に再び火がついた。

伝助「総右衛門‥じゃかぁしぃ♪源左衛門‥おおきに♪」

伝助は鼻水をたらして泣いており、総右衛門は泣き笑い、源左衛門は優しく微笑んでいた。

その輪に駆け寄る満優、嬉しく、涙する。

満優「お前達‥よかった…」

心から安堵する。

それぞれ集う霊皇たち。インガたちと対峙した。
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