旧 霊皇戦隊セイレンジャー 2

□12話・後編・2
1ページ/13ページ

伝助「なんや!?」

総右衛門「皆々方、ご注意なされませいっ」

源左衛門「避けれるものは避けよ、でないものは耐えろ!」

孝太「うわっ、うわぁぁぁ」

広がり続ける力に追いかけられ、城内を駆け回る孝太だが
結局飲まれて、壁や大地に何度も叩きつけられる。

その間に、魔恐はフラフラとジャシンを追い求めて歩く。


ジャシンと戦う愛理、信代は、突然に広がった憎悪に驚きを隠せない。

ジャシン「ククク、やっと力を出したか‥老いぼれ」

愛理「よそ見してんじゃないわよっ」

水氷皇セイブルーは身体を宙で捻って回転キック。

ジャシンは蹴りを避けるが

信代「過ぎた余裕は隙を生む!」

風嵐皇セイグリーンは、風となってジャシンを絡めとる。

そして突きの連打を繰り出すと、胸を蹴って宙へ駆け上がると
さらにジャシンの首筋を蹴ってクルリと一回転!

着地する信代に

ジャシン「イラつかせる風が!」

賢愚を払う‥信代は風になって刃をかわした。

カルマ「うおぉぉぉぉ!」

残哀を振り上げ、渾身の袈裟斬りを見せるカルマ。

剣はジャシンの背中を鎧ごと裂き、

ジャシン「ガッ!」

激しい斬撃により、その場に膝をつき‥吐血してしまうジャシン。

カルマ「ジャシン‥もう眠れ」

ジャシン「クク‥誰が終わりと言った? 終わりたければ、お前だけが終わればいいだろう‥

きさまの命ごと、終わりにすればいい!」

立ち上がり、賢愚を振るジャシン。

柄の先から隠し刃を飛び出させ、双頭の大鎌を振るう。

愛理「このっ」

水流を撃ってジャシンを攻撃。

信代もツムジでカルマを援護射撃。

ジャシン「チッ、忌々しいヤツラがぁぁ」

一瞬、愛理たちに気を取られた隙をカルマは見逃さず

カルマ「腕の1本、足の1本、獲られるは覚悟いたせっ」

残哀を構え、カルマは振り下ろした‥剣と刀の激しくぶつかる音。

残哀を防いだのは、インガの怒淋だった。

カルマ「インガ‥」

愛理、信代とジャシンは もつれたまま移動して、戦い続けた。

インガ「獲るか獲られるか‥だよ」

怒淋をカルマへ突き立てんと振るうインガ。

刃をかわして

カルマ「どうしても退けぬか、インガ」

インガ「終わりにしたいんでね‥なにもかも」

カルマ「その心が絶望という‥ジャシンに絡めとられた哀しい女だな、インガ」

インガ「それでいいさ‥それでも今まで生きてきたのだから」

蹴りを放ち、すぐさま尾を振ってカルマを襲う。

左手でインガの尾を掴み、

カルマ「おおぉぉぉ」

引きずり、投げ飛ばす。

インガ「くっ」

宙で態勢を立て直して着地、爪をカルマへと走らせる。

拳で弾き、残哀をインガの首筋にカルマは置いた。

遠くで、霊皇と憎魔たちの戦う爆音が聞こえてくる‥しかし、2人を囲むは静寂‥

インガ「斬れ‥」

カルマは無言のまま。

悔しさを滲ませた顔を見せるとインガは

悲しみと怒りが混じる表情で、怒淋をカルマの胴へと‥


仁は崩れた城壁を断ち割り、隠れる心腐を斬ろうとする。

瓦礫の雨の中、槍を突き出す鬼。

その槍をとめ、抑えつける侠真の金華。

ツクモ神の背後から、銅雅を撃つ凛雫。

心腐「バルル!」

槍を回転させ、侠真の金華を撥ねたところを

仁「でえぇぇぇいっ」

仁の胴払いが鬼を斬る。

しかし、心腐は突きを繰り出して仁を倒そうとした。

侠真「いい加減にしろ!」

激しく打ちつける金華‥

『このバカすったん、力押しばっかりしないで、ちっとは技ぁ使いな』

侠真「またババァの説教かっ」

凛雫はツクモ神の槍をとめようと、隙を作らせるために刀で打ち込み誘ってみる。

『凛雫、技ばっかりに頼るんじゃあない‥自分自身で積んできた修練の賜物を信じてみな。

さぁ、思いだしな‥何を積み重ねてきたんだい』

凛雫「私の特性‥私は‥速さにございます!」

思音の声を飲み込んだ凛雫は、一気に加速した。

心腐が槍の柄で払ってくるのを跳び避けて、宙高く舞い

さらに身体を捻って刀で突きを撃ち、槍を握る手を狙う。

すぐさま避ける鬼に対して、着地した地を蹴って‥流星のような動きを凛雫は見せる。

心腐「バルルっ」

叫んだ刹那、凛雫が手にする刀が鬼の角を切り落とし
続けて放つ回転飛び後ろ蹴りが、槍を握る手を捉えた。

たまらず、槍を落としてしまうツクモ神‥

仁「いまだ!」

炎をまとう烈火を振り抜く!

地走りの炎は、鬼を焼き尽くさんばかりに燃え上がり

侠真「ババァ、しっかり受け継いでやるぜ‥真忍の事も俺に任せときやがれっ」

紫のドリルを撃ちだす侠真。

炎の中で、鬼もドリルを撃ちだして相殺させる‥

が、その間に詰め寄る侠真は

侠真「真貫豪力・真打!」

至近距離からのドリルを叩き込む!

それでも、心腐はドリルで貫かれぬように身を固める‥

侠真「うおぉぉぉぉ」

ドリルを金華ごと、ツクモ神のボディーへ押し
ついに鬼の身体へと打ち込んだ。

侠真「まだまだぁ!」

刺さる金華に足をかけて跳ぶ‥

侠真「凛雫、槍だっ」

声に反応して、大地に刺した無頼を抜くと

宙の侠真へと投げる凛雫。

侠真は無頼を手にする‥身体中を電流が駆ける。

侠真「あばよ、おふくろ! 技‥俺様の技、豪雷轟(ゴーライゴー)!!」

侠真は電撃に包まれながら無頼を握り締め、猛スピードで落下!

落雷の如く、天より鬼を貫いた‥

心腐「バルル‥キョウ‥マ‥オ‥リン‥ダ」

倒れるツクモ神・心腐は光の粒となり‥消えた。

後に残る古びた槍‥侠真は槍を手にする。


憎魔「心咲が‥思音よ!」

思音の想いであるツクモ神が倒れたことに、狼狽する憎魔の背中へ

勇護と満優は同時に蹴りを撃つ。

憎魔「グァっ」

倒れそうになるのを錫杖で踏みとどまり、振り向きざまに振って勇護の胸を打った。

強烈な一撃は勇護をよろめかすが、満優のアケボノが憎魔の肩へと振り下ろされる。

憎魔「グゥゥ」

右肩に斬り傷を負う憎魔‥そこを勇護のアカツキが撃っていく。

憎魔「グアァァァ」

もんどりうって転がってしまう。

侠真「勇護っ、満優っ」

侠真と凛雫と、憎魔に対するために駆け寄ってきた‥

侠真「憎魔ぁぁぁ」

怒りの形相で跳ね、無頼を突き出す。

憎魔「小僧が!」

呪恨で槍を抑える憎魔。

すると、左手に持つ心咲でさらに突きを撃つ。

凛雫「ツクモ神とも違う‥親子での戦いなど‥くっ」

銅雅を撃ち、憎魔の動きを鈍らせる凛雫‥

ツクモ神ではなく、侠真が対峙するのは実の親‥

骨肉の争いをなんとか終わりにしたいと、凛雫の心は焦る。

満優「凛雫、焦ってはいけません‥侠真様の手で憎魔を討たせるようなことは
なにがあっても私たちがさせません‥それが、王の想いにも通じるのですから。

受け継いだ私が、絶対にさせはしない!」

満優は、侠真と憎魔の間に割ってはいる。

勇護「凛雫、お前は侠真を‥俺は満優を‥ともに支え、こんな戦いもう終わらせるぞっ」

凛雫「はいっ」

勇護と凛雫も暗夜と刀を手にして斬り込む。

憎魔は怒号とともに怨・魂力を発して防御を固めた。


仁は戦場を駆けていた。

愛理や信代が戦う場所へと向かって‥行く手を、魔恐が阻む。

仁「魔恐!」

魔恐「ここから先は通さんぞ‥セイレッド!」

仁「今‥今、お前を助けてやるぜ!!」

魔恐「黙れ、誰も救って欲しいと頼んではおらぬ!」

炎と狂気は激しくぶつかりあった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ