彩心闘記セクトウジャ・2

□レベル6・4
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付喪堂、セクトウジャ、モンスタリア、SSD、ヴァーミリオン、緋色‥

混迷する状況を見つめる、濁った瞳。

フードとキャップで顔を隠す、ヒョロッとした男‥


ロンドン橋落ちた

落ちた、落ちた

ロンドン橋落ちた

さぁどうしましょう


男「はは、もっと落ちればいい‥崩れればいい‥みんな、死ねばいい」

親指の爪を噛みながら、男は呟く。

屋鋪「おい!」

血相を変えて、屋鋪は男に近づいた。

痛む身体を起こしてみると、墨彦たちは闘いの渦の中。

とうてい、自分にどうこう出来るものではないと

屋鋪は慌てて逃げ出したのだが‥

そこでバッタリと会ったこの男に、ひどく屋鋪は驚いていた。

屋鋪「西田、お前なんでこんなところをウロウロと‥」

西田‥『西田 遥希 (はるき)』という。

遥希「屋鋪さん‥なんか楽しそうですよね、アッチ」

付喪堂、セクトウジャは命を懸けて人々を守り

SSD、ヴァーミリオン‥モンスタリアも命がけで戦っている。

遥希「だから、来ちゃいましたよ」

笑う男の目は死んでいる。

屋鋪「お、お前は俺の言うとおりに‥」

遥希「あれ? なんか勘違いしてません?

あなたが僕に頼んできたことじゃないですか‥僕に遊べって言ったんじゃないですか」

屋鋪「それは!」

遥希「僕がちっぽけな花火なんかで、遊ぶって思ってたんですか?

はははは、だったらアンタ‥刑事やめた方がいいよ。」

屋鋪「なっ!?」

遥希「花火は花火でも、線香花火なんかでチマチマ遊んでたってツマラナイ。

どうせやるなら打ち上げ花火‥それも、大きいので遊ばなくちゃ」

遥希は笑いながら、手に持っていた何かのスイッチを押す。


緋色「うわあぁぁぁぁ!」

伝助と戦っている緋色。

その伝助を襲うバイオン。

伝助はサッと避けて、ササニシキ!

すぐに緋色へ柄で1撃!!

緋色は咄嗟に笹継の柄を自身の刃で防ぎ

後ろへ押されつつ力入れて、斬りにかかる。

襲う刃を、笹継を軽快に操って いなし

伝助「伝ちゃんパァァァンチ!!!」

愛理仕込みのコークスクリュー!

緋色「ぐわぁ!」

伝助「ええ加減、はよ目ぇ覚ませ、どアホ!」

ズドーン!

けたたましい物音に振り返る伝助。

すると、トルーパーズの車両が数台、爆発していた。

伝助「なんや?」

隙をついて、緋色は逃げる。

伝助「しもたっ」

追おうとするが、トルーパーズとゾンビーたちの戦いに巻き込まれて
姿を見失ってしまう。

伝助「ええい、邪魔や!」

トルーパーズを蹴倒し、ゾンビーを叩っ斬る!

バイオンが2体、伝助を踏みつぶそうと襲い掛かるが

総右衛門「若っ」

源左衛門「伝助!」

右と左‥心強い友が助け入った。

伝助「避難はでけたんやなっ」

総右衛門「御意っ」

源左衛門「コイツらをサッサと片づけて、緋色のことも‥

さっきのあの爆発のことも調べなくては」

伝助「ほいな! ほな いっちょ、パッパと片づけまひょか!!!」

パンダ、犬、ウサギは走る。


じっと眺めていた男‥青白い顔をした遥希は

遥希「あーあ、ひとり退場しちゃたなぁ」

緋色がいなくなったことに、残念そう。

屋鋪「お、お前また爆弾を!

俺の指示した時にだけ、爆発させろって言ったじゃないか!!

そ、それに、保育園だとかデパートだとか‥あんなに被害が大きく出るところで」

遥希「出ないとマズイんじゃない? なんて言ったっけ? ホラホラ、あそこで暴れてるヤツ」

指さす方向で、墨彦はズオンソーと戦っていた。

遥希「アイツをテロリストにしたい。

未確認破壊脅威‥なんとかして、一生ムショから出られないようにしてやりたいって

アンタいったよね。

日頃世話になってるから、少しお礼をしてあげたつもりだけど」

屋鋪は、犯罪の影が付きまとう遥希を追っているうちに
いつしか、自分のいいように利用しよう考え始めた。

そしてある日、遥希がこれまで犯してきたはずの罪を見逃す代わりに

自分の気に入らないヤツの始末や、

金銭を要求する‥ミイラ取りがミイラにといったところか‥

どうやって調べたものか、逆に屋鋪がこれまで犯してきた不正の数々をネタに脅し返し

いつしか、屋敷が遥希の犯罪の証拠や痕跡をもみ消す側に利用されている。

そして今回‥墨彦を何が何でも逮捕するために

犯罪をねつ造‥爆破事件を起こして、その罪を墨彦に擦り付け

より『凶悪なテロリスト』として、一生を監獄の中で過ごさせるか

もしくは極刑に‥と、企む。

遥希「アンタの不正を暴こうとして、それまでエリートコースだったアンタを
降格、転属処分にまで追い込んだ刑事の息子‥だったけ、アイツ。

でもまさかその刑事も、アンタの不正が懲戒免職クラスどころか

犯罪に加担していて、逮捕クラスの不正だったとは見破られなかったってところかな」

屋鋪「い、いいや‥あの男は‥伽黒影太は、俺の真後ろまで迫ってきていた‥

その頃、ちょうどあの墨彦が事件を起こして

影太は責任を取って、刑事を辞めた」

遥希「暴力団との癒着、証拠押収品のドラッグや拳銃の横流し‥

そうそう、捜査情報漏えいなんて小遣い稼ぎもやってるんだったよね。

生け贄に用意されたヤツ逮捕して、ソイツから押収したちっぽけなクスリで
大きな取引を見逃す‥で、取り上げたクスリも売って、お小遣い。

証拠捏造、書類改ざん・偽造‥罪をでっち上げては

邪魔になるヤツラを逮捕するのもアンタの役目‥だよね、正義の味方の刑事さん」

屋鋪「それは!」

遥希「まあいいさ。

アンタのやってることはチッポケだ。

世の中にはもっともっと悪いヤツラは多くて

死刑になった方が世の中のためだって言えるヤツらばっかしさ。

ははは、僕もそのうちの1人かも」

屋鋪「それは‥」

遥希「自白とかじゃないからヨロシク。

爆破事件の材料は、ちゃんと足がつかないようなところで調達したし

安心していいよ。

それにしてもさぁ‥世の中ってホント悪党だらけだよね。

お偉―い学者さんを痴漢に仕立て上げて、社会から抹殺したのは企業のためだったけか?

んで、政治家が関係のあるイカレた団体を
宗教法人にするために強引に動いた‥

チンピラ国家とつるんでる、国の主導者だっているし。

カルトの信者を選挙に利用したヤツもいたね‥結局、そのカルト教団は何をした?」

屋鋪「それは」

遥希「人を救うどころか、神様ぁって叫びながら殺人だったよね。

女も子供も犯して殺して、最後にビルは火事‥火をつけて終わりにしようとしたはず。

まぁモチロン、教祖様は逃げた後で、ビルにはいなかったけど」

屋鋪の足が震える。

遥希「何が悪いって、法と正義を守る職に就いた奴が
その正義とやらの力を使って、欲望のままに動くってところだよ。

で、僕のキライなのは大きい悪さは出来ないくせに

チマチマしたことで稼いで、ちっぽけな悪事ばかり働くヤツ。

強い者が勝ち、弱い者は負ける‥自然の摂理っちゃあ、摂理だけどさ

ハイエナのように生きてるやつを見ると、吐き気がする」

屋鋪を舐めるように見る遥希の目。

屋鋪「俺は‥俺は自分の命を危険にさらす仕事をしてるんだ、

これくらい、少しくらい いい目を見たってかまわないだろう!」

遥希はクスクスと笑い

遥希「小悪党は嫌いだけど、アンタのそういうところ、僕は好きだよ。

そうだよねぇ、人間なんて 運良く生きれて100年程度。

どうせ短い一生だったら、ガマンなんかしなくて

好き放題に生きていたい‥食べたい時に食べたいだけ食べて

飲みたい時に飲みたいだけ‥犯したい時に犯したいだけ、

殺したい時に殺したいだけ」

ニヤニヤしつつ

遥希「生まれてくる時も死ぬ時も、人は独り‥で、死んだらすべては無。

なら、楽しまなくちゃ損だよね‥ね、刑事さん」

屋鋪は完全に遥希に取り込まれていて

遥希「お互い、好きな時間が過ごせるように‥

これからも協力していこーね」

屋鋪の肩をポンと叩いて、遥希は去っていく。

残された屋鋪‥爆音と剣戟は今も響き、屋敷の心を急き立てる。

自分の手に負えなくなってしまった現状を

ただただ、彼は見ているしかなかった。


墨彦とズオンソーの戦い。

人狼は砕かれた瓦礫を蹴り上げて、墨彦へと突撃させる。

墨彦「へん!」

瓦礫を拳で粉砕。

さらに跳んで回転‥蹴り降ろす!

その蹴りを片手でガード。

ズオンソー「レベル差があるのは承知か? 黒色の武闘家!!」

右手は墨彦の足を掴んで、振り回して放り投げた。

源左衛門は墨彦の腕を掴んで救出。

ズオンソー「餌食になりたいか、ウサギ!」

源左衛門「ウサギに倒されてみるか? 人狼!」

膨らむ闘気は最大限!

ズオンソーもまた、怒りにあふれている。
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