旧 霊皇戦隊セイレンジャー 1

□第1話・3
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仁たちは大きく息を吸い、一気に吐いた。

満優「みなさんっ」

仁「やっぱ、やるしかねえか‥。いくぞぉぉぉ!」

駆け出す5人。左腕に輝く転精輪から各々の武器を取り出した。

仁は刀タイプの『烈火』。

愛理は銃タイプの『水流』。

孝太は斧タイプの『金剛』。

信代は2本1対の小太刀タイプ『疾風・撃(げき)』を右手に、左手に『疾風・閃(せん)』。

満優は弓タイプの『白夜』。

闘志をみなぎらせ、クグツの群れにぶつかる霊皇達。

激しい戦闘。

愛理が襲いくるクグツを次々と撃ち抜いていく。

孝太は何体もまとめて吹き飛ばし

信代は目にも留まらぬスピードで切り裂いていった。

愛理「にしても、なんで私達こんなに強いわけ?」

伝助「精霊の力・魂力(エナジー)に満ちとるさかいにな。霊皇やねんで、そんじょそこらの人間とちゃいまんがな」

クグツを蹴散らしながら愛理たちに言う。

愛理「そーと聞けば‥ガンガン行くわよっ!!」

満優「伝助っ、頼みましたよ」

逃げ遅れた人々の誘導を伝助に任せ、さらに迫りくるクグツへと挑んでゆく。

勇護がゆっくりと己の剣『暗夜』を抜き、戦いの場へと進んできた。

行く手を阻む仁。

烈火を構え、睨み付ける。

仁「お前の相手は俺だ!」

勇護「おのれぇ‥なめるなあ!」

斬りかかる!

速い剣さばき!

その暗夜を弾き、仁はいきなりの体当たり。

予想外の動きにあとずさりながらも態勢を整えるが、戸惑う勇護。

仁「へっ、喧嘩じゃ負けねえんだ!」

勇護「ええいっ!」

勇護は暗夜を横へ払う。

危うく避ける仁。

さらに勇護の突きが襲う。

身をかわし、その勢いを利用して烈火で勇護の脇腹を狙う。

素早く右に回転し、かわす勇護。

仁「お?やるじゃねえか」

勇護「ふざけるな!」

逆上し、上段より一気に剣を振り下ろす。

仁はかわすものの、その剣気で裂ける道路。

横に慌てて飛び避け、何を逃れる仁だった。

しかし、まだ態勢が整っていない。

そこを逃さず斬り込む勇護。

勇護「もらった!」

だが、その攻撃は愛理が水流より放った光弾により阻まれる。

孝太も信代も仁のもとへと駆け寄った。

クグツの群れは僅かとなり、満優と伝助が対している。

愛理「しっかりしなさいよ!」

仁「へんっ、うるせえぞ!」

勇護「ぐっ。きさまらぁ‥転精!」

勇護の左手に輝く転精輪から魂力がほとばしる。

闇の霊皇は戦いの衣をまとい、セイレンジャー・セイブラックへと姿を変えた。

仁「おわっ!あいつ‥」

信代「あれが転精…」

孝太「あぁ、あの人も霊皇でしたっけね」

愛理「そんなもの関係ないわよっ!」

意気込む愛理をよそに、セイブラック・勇護は腰のホルスターに収められている武器

『精刃(セイバー)』を抜いた。

精刃とはセイレンジャーの共通武器で、剣タイプと銃タイプに変形する可変武器だ。

精刃から放たれる光線を乱射する勇護。

巻き起こる爆発。

伝助「何しとんねんっ、お前らも転精せな!」

満優「みなさん、転精を」

爆発を避けて皆に叫ぶ。

愛理「そんな事言ったって‥で、でもほんっとに、体がどーこーなったりするんじゃないでしょうねっ!」

満優「心配いりません、あなた達の身を守るのと、皆さんの魂と与えられた精霊の力が
共鳴し、増幅されたエネルギーが最大限に発揮されるための衣をまとうのが転精です」

信代「だから、さっきも言った通り、大丈夫ですよぉ」

愛理はここに来る途中も散々聞いたようだ。

孝太「と、とにかく場所が場所ですし、今のままでは危ないんじゃないかなぁって」

仁「だぁいじょうぶだよぉ!それ以上おかしくなんねえって!」

愛理「ぬぅわぁんですってぇぇぇ!あんたねえっ、わたし結構スタイルには自信あるんだからあっ!」

勇護「きさまらぁ!なめるな!!」

暗夜より発せられる破壊光線。激しい爆発を起こし、吹き飛ぶ仁たち霊皇。

仁「あいたぁ!くっ‥あいててててっ。くそっ、やりゃあがったな!いくぞっ!みんな!!」

伝助「いきなはれぇぇぇ♡」

一同「転!精!」

転精輪をかざすと、宝玉から精霊のパワー・魂力が放出される。

眩い光に包まれて、5人は身を強化する衣を装着した。

名は『転精衣(てんせいクロス)』‥霊皇を無敵の戦士・セイレンジャーに変える神秘の衣。

装着を同時に終え、ここに霊皇戦隊が姿を見せた。

孝太「土の霊皇・セイイエロー!孝太!!」

信代「風の霊皇・セイグリーン!信代!!」

愛理「水の霊皇・セイブルー!愛理!!」

仁「火の霊皇・セイレッド!仁!!」

そして‥

満優「光の霊皇・セイホワイト!満優!!」

仁「命の尊さを知れっ!霊皇戦隊!セイレンジャー!!」

さらに輝く光‥走る閃光。

勇護「ぐぐっ!」

この状態に躊躇する。5人の霊皇が揃う事は脅威だった。

しかし、本来は勇護自身もこの中に入っていなくてはならない存在。

いつ、霊皇全員揃い力を合わせる時が訪れるのか‥それとも、永遠にこないのか…
それはまだ誰にもわからない。


そこに、新たなクグツの集団が現れ、同時に空を裂いて姿を見せる
妖霊族・魔フォウズの面々。

カルマ「だらしがないぞ勇護。助成いたそう」

インガ「情けない男だねっ」

ジャシン「まあまあ‥恋しいお方が敵とならばさすが流石の剣も鈍ると言うもの…責めるべきは
何の躊躇も無く愛する者に刃を向けるあのお姫様‥クククククク」

仁「うっせえぞ、お前ら!」

信代「満優さんがどんな思いで戦っているかなんて、あなた達にわかりっこない!」

怒る仁・愛理・孝太・信代。

伝助「あいつらぁ」

怒りで体が震える。散っていった総右衛門や源左衛門の顔が脳裏をよぎる。

満優「あなた達の言葉に惑わされはしないっ。みなさん」

4人に声をかけ、精刃を抜き光弾を撃つ。続く4人。

一点に集中する光の弾。

勇護たちに向かって光弾が走る。

謎の声「ええいっ!」

気合もろとも、その光弾を切り裂く謎の影。

満優「お前は‥」

様々な暗器(暗殺武器)を隠した反りの無い仕込み刀『くるい久涙』を構え、深い闇色の装束に身を包んだ女‥名は、悼痛の影・凛雫(りんだ)。

凛雫「ぬるい‥こんなもので我らを討とうとは…」

満優「お前は…凛雫‥。どうして‥どうしてお前まで…あのこが亡くなってから、
姿を消したお前がどうして妖霊族に」

凛雫「すべてはあの御方のために‥お守り出来なかったあの方のため…」

満優「どうゆう事ですか?凛雫、答えなさいっ」

凛雫「いずれわかる‥いずれな…」


異質な空間 荒れ果てた大地‥黒雲が空を埋め尽くし、荒涼たる風景が広がっている。

その大地の中央にそびえる不気味な城‥妖霊族・魔フォウズの居城。


妖霊城 城内・王の間 玉座に座る憎魔。

その傍らに‥透き通った、まるで氷か薔薇水晶のような棺に眠る美しい娘…

淡い桜色のドレスに身を包み静かに眠る、長くてまるで絹のような黒髪の娘。

愛しそうにその棺の中の娘を見詰める憎魔。

憎魔「今からだ‥今からすべてが始まる…フフフ‥フハハハハハ!」

稲妻が走り、雷鳴が轟いた。
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