旧 霊皇戦隊セイレンジャー 1

□第3話・2
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福福 信代からの知らせを受け、仁たちも動きだしていた。

街へ捜索に出ていた仁・愛理・孝太が福福へいったん帰ってくる。

仁「姫さん、信代ちゃんから連絡あった!?」

満優「いいえ、妖霊族‥ジャシンが現れたと聞いてからはまだ‥」

愛理「ったく、影でコソコソ動いていたなんてね」

孝太「信代ちゃんの話では、その羽田さんって言う人がジャシンのなんらかに、
巻き込まれたようだと。でも、なんでその人を?」

愛理「理由ねえ…」

仁「何かを見たとか聞いたとか?」

愛理「何を?」

仁「そいつがわかれば苦労しねえよ」

孝太「子供さんも‥ですからね」

満優「孝太さん、信代さんから聞いたのでしたわね。1度、羽田さんを占ったことがあると」

孝太「ええ。その時は名前は伏して、大まかにでしたけど。守秘義務ってことで‥って
言ってました、信代ちゃん」

愛理「そりゃね。どこか知らない人に、名前や相談した内容を事細かくペラペラ
しゃべっちゃったら占い師失格だもんね。個人情報ってやつよ」

孝太「その人、ひどく疲れていて、消え入りそうな‥念?‥でしたっけ。

その念を信代ちゃんが感じていたそうで、手助けしたいと羽田さんに出会える場所へ
行っていたらしいんです。

プライベートだからって‥守秘義務があるからって
そのへんまでしか話さなかったけど‥その人が羽田 知美さんだったんだと」

愛理「信代ちゃんに視てもらったねぇ」

ハッとなる満優。

満優「まさか‥」

一斉に満優の方を向く一同。

愛理「何?」

満優「羽田さんがどうと言う訳ではなく、信代さんが視たと言うのが理由ではないで
しょうか‥

信代さんを狙うために仕組んだことなのでは?

何をしたいのか、何をするのかはわかりませんが、

とにかく、羽田さんと言う人の先に、信代さんがいるのを知っての
行動ではないでしょうか」

仁「でもよ、信代ちゃんが狙いなら‥」

愛理「正々堂々と?バカじゃないんだから。

相手があんたみたいに単純バカ正直野郎だなんて思ってたら

命がいくつあってもたりないんじゃない?

これはテレビのヒーロー物じゃないんだからね。

実際、目障りなヤツ、倒すにも骨折りそうなのを相手にするとしたら、
策ってものとか使うんじゃない?

ひとりひとり潰してくなんてね。

ほら、株だってそうじゃない。

会社乗っ取りのために、多く買い取る必要があるからいろんなヤツを
落としたり、委任状の奪い合いってのもあるわね‥ほら、社長?

代表取締役ってやつ、それを解任するのによく使われるものよ。

ドラマとかでもよくあるでしょ。

大勢を直接狙うより、ひとりひとり‥個人を周りから攻めたほうが確実だし、

精神的にも追い詰められる。

そうしたら隙も出やすくなるものね‥遠回りに見えて、ずいぶんと
効果的だわ」

孝太「愛理さん、やったことがあるような…」

愛理「ま‥ね。女1人でここまでのし上がろうって思ったらこれぐらいわね」

仁「なんかそれじゃ、ずるがしこいヤツしか生き残れないって、言ってるようなもんじゃ
ねぇかっ。敵を褒めてるようで気に食わねえぜ!」

愛理「熱くなんないでっ。別に褒めてるわけじゃないし、ずるがしこいヤツがいいなんて
思ってもいないから‥ずるがしこく生きていったらね、わたしみたいに誰も寄り付かない人間になっちゃうのよ‥母親にさえ嫌われちゃうようなね。

忘れちゃいけないのは私たちが戦っているってことよ‥

今までが力押しの相手だったから忘れてたけど…

邪魔な私たちを狙ってくる、始末しようとするのは当然よね。

妖霊族…魔フォウズと戦う以上、想定して‥覚悟してなきゃいけないわ」

孝太「戦う以上は気を抜けないってことか。僕たちは、この世界を守るだけじゃない、
僕ら自身も狙われているってことですね」

仁「ただ人たちを守ればすむってわけじゃねえのかよ‥」

満優「すみません‥今さらながらわびても遅いのでしょうけど‥あなた方を戦いに巻き込んでしまった‥霊皇に選ばれた使命と思っていましたが、あなたたちの危険を考えれば
すぐに決断など出来ようはずもなかったのに」

仁「いやっ!別に姫さんのせいじゃねえよ」

孝太「そうですよ、満優さんが選んだわけじゃない、僕たちは精霊に選ばれたんですから。

満優さんには何の責任も無いですし、精霊に命を助けられましたもんね、僕たち」

仁「だから感謝こそすれ、恨んだりなんかぜってえしない。この力が無かったら、

守りたい人も守れなかった‥ヤな奴らの言いなりになってたかもしれねえんだから。
だから、気にすんなっ」

笑顔で満優を見る。

愛理「正義の味方バンザイね。ただ選ばれたから‥それだけで誰に頼まれた訳でなく、

感謝されることもなく、報酬なんてなーんにもない。逆に命を狙われて‥大損だわ」

仁「いまさらっ。じゃあ、あいつらのやることを黙って見てろってのか。

ちっちゃな幸せだとか、喜びを踏みにじって‥いくらてめえらが辛い目に遭って
きたからって、

何の罪もない人たちまで巻き添えにしていいわけないだろ!

命を傷付けて‥奪って‥そんなの、てめえらが憎む、ひでえ人間がしてることと
おんなじじゃねえか、

どこに正しさがある?

ひでえ奴がいるからみんな死んでしまえなんてバカな話があるもんかよっ。

黙って見てろっていうのか!?

俺はヤだね!

そんな理不尽なこと、黙っていられるかっ!」

愛理「だぁかぁらっ、熱くなるんじゃないのっ。いい、わたしの嫌いなこと‥損する事とやられっぱなしでいること。

売られたケンカは買って即、倍返しよっ」

満優「みなさん‥ありがとう。平和‥慈愛を説いておきながら剣を手にする…

愚かだと思われるかもしれません、矛盾していると言われるかもしれません、

なれど、命の輝きが失われてゆくのを見過ごすなど、けっしてあってはなら無い事
なのです。

だからこそ、私たちは剣を取る…精霊とともに…」

そこへ、シュタッと信代捜索に出ていた、雨ガッパにちっちゃい長靴姿の伝助が
帰ってくる。

伝助「満優様っ、あきまへん、どこ捜しても信代ちゃんがおりしまへんっ」

満優「そうですか‥」

不安は募る。

伝助「仁、転精輪はつながらへんのか?」

仁「ああ、ぜんぜん」

孝太「信代ちゃんからジャシンが何か企んでるって事と、羽田さんの名前と巻き込まれたって報告のあと‥」

愛理「音信不通よ。まったくつながらない‥壊れた携帯じゃあるまいし」

伝助「それもあいつ‥ジャシンのせいかもしれへんな」

そこへシュタタッと、蓑に菅笠姿の総右衛門が帰ってきた。

総右衛門「満優様、信代殿のお姿見つからずにございまする。したが、気になる事が」

満優「何です」

総右衛門「先ほど、街中で騒ぎがございまして‥

男達数名の集団が物の怪に襲われ、数名、命を落としたとのことでございます」
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