Novel(short)

□優しい夜明けへ
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あなただけが、私を呼んでくれた。



優しい夜明けへ



初めて会ったのはホテルのロビー。
思わずラクス様のフリをしながら抱きついた私に、あなたはとても困っていたわね。
だってね、テレビでしか見れない憧れの人だったからすっごく興奮しちゃったのよ。
綺麗なラクス様とあなたが並ぶ姿はとてもお似合いで、とても憧れていたの。
会ってみて分かったのはあなたがとても優しいと言うことと、思った以上にとても素敵な人だということ。

とても困ったわ。
だって、その時本気で好きになってしまったんですもの。
いつか私は消えてしまうのに。

あなたの困ったように笑う優しい笑顔が好き。
あなたの不器用で、それでいて一生懸命な気遣いが好き。
あなたの誰かを思いやる優しい気持ちが好き。
そして、何よりも私の本当の名前を呼ぶあなたの声が好き。

すれ違ってばかりだったけど、本当に、本当にあなたの事が好きだったのよ。

姿も名前も嘘だったけど、あなたの声が紡ぐ私の名前と私の声が紡ぐあなたへの思いに嘘はなかったの。

後悔なんていっぱいしたわ。

でもね、でも、あなたに会えたことはこれっぽちも後悔してないの。

あなたは優しい人だから、私のことを覚えてくれているんでしょう。
私のために泣いてくれるでしょう。

嬉しいわ。とても嬉しい。
誰にも必要とされない、ちっぽけな私のために泣いてくれるなんて本当に嬉しい。

でもね、辛かったら忘れてくれてもいいのよ。
ちょっと寂しいけど、アスランが幸せならそれでいいの。

確かに世界は優しいばかりじゃないわ。
辛い事がたくさんあるもの。
でもね、アスランのこと本当に好きな人はたくさんいるのよ。
だから信じて頂戴。
あなたはとても愛されているんだから。

すぐにこっちに来ちゃダメよ。
すごく長生きしておじいさんになって、こっちに来たらたくさんお話聞かせてね。

待ってるわ。

ずーーっとアスランのこと待ってる。




永久に愛してるわ、アスラン。
 

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