06/26の日記

00:28
闇は全てを奪い去る 前編
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復活 ツナ嫌われ 人外オリキャラ×ツナ BL注意







綱吉はゆっくりと周囲を見渡した。
彼の周囲にはかつての仲間であり、家族であり、家庭教師であり、ファミリーだった者達がズタボロの状態で倒れている。
しかし、彼はただ見ているだけだった。

以前のような輝きのない、ぼんやりとした虚ろな目で



「綱吉。」



艶やかで美しい低音の美声が彼の名を紡ぐ。
すると、空虚だった彼の目に光が宿る。



「ルシア!」



声の主は言葉では言い表せないほど美しい男だった。


艶やかで美しい黒髪
深い叡智と残酷な光を宿す蟲惑的な黒い目
完璧な美貌を持つ白い顔
彫刻のように完璧な長身痩躯の肢体
溢れんばかりの威厳と色気


絶世と言う言葉を体現するような妖艶な美男子がそこにいた。
彼は綱吉に近づくと、綱吉を拘束していた手枷と足枷に手を翳した。
すると、無骨なそれは一瞬にして無に帰した。



「ルシア!会いたかった!」



それに驚くこともなく、すぐさまルシアに抱きつく綱吉。
そんな綱吉を、ルシアも優しく抱きしめた。



「ああ、俺もだよ。」

「ルシア・・・・・・。」

「綱吉。俺の愛しい妻よ。」

「ああ!ルシア!」



2人はきつく抱きしめ合うと、情熱的なキスを交わし始めた。


血に塗れた人間の真ん中で生々しい口付けを交わす絶世の美男子と無垢な少年


その光景は凄まじい官能と背徳感を見る者に与えた。

それは



「ぅっ!な、んで、だ?」

「どう、して・・・こんな?」

「・・・・・・くっ!」



ギリギリで生かされていた綱吉が親しかった人物達

そして



「ひっ!嫌よ、嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌!!死にたくない!!」



かつて綱吉から全てを奪い去り、綱吉を悪夢の海に落とした少女

彼女はとても強欲で、綱吉の持つ全てが欲しかった。
だから根も葉もない嘘と巧みで狡猾な策で綱吉を陥れ、見方も何もかもを奪い去ったのだ。

しかし、これが彼女にとって本当の悪夢の始まりであり、今のこの光景はその終わりの合図だった。



「さ、てと・・・・・・」



未だ口付けの余韻で顔を蕩かせ、うっとりと自分を見つめる綱吉の頬を撫でつつ、ルシアは未だ愚かしくもがき続ける少女に目をやった。

彼にとって、少女は許せない存在ではあるものの、爪の先ほどの感謝もしていた。


なぜなら、彼が今腕の中にいる最愛の存在が簡単に手に入ったのは間違いなく彼女のお蔭なのだ。

その点についてのみなら評価している。


しかし


それで全てが許される訳ではない。



「残念だったな?ゴミ。」

「ヒッ!」



彼に声をかけられた少女は竦みあがった。
ガタガタと震える少女の顔は青褪め、見開かれた目には嘘ではない本当の涙が流れ続けている。
そんな自分の敵だった少女には目もくれず、綱吉は頬を膨らませルシアにギュッと抱きついた。



「ルシア!そんな雌豚なんかどうでもいいでしょ!俺だけを見てよ!」



そう言った綱吉を周囲にいた人間は呆然と見ている。
ルシアはそんな周囲を内心嘲笑いながら、綱吉を愛しげに見やり、その柔らかな髪を優しく撫ぜた。



「当たり前だろう?俺がお前以外の誰を見るというんだ?」

「ルシア!」

「俺が愛しいと思うのはお前だけだよ、綱吉。」



ルシアの言葉に感激した綱吉は益々力を強めて彼に抱きついた。
ルシアも綱吉をギュッと抱きしめ、完全に2人の世界に入ってしまった。


甘く閉鎖的な雰囲気を醸し出す2人の邪魔をしたのは



「お、い!・・・お前、ら!何の、つもりだ!!」



真実を見抜けぬ愚者の一人―生徒を裏切った愚かな家庭教師だった。




後編に続く
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☆コメント☆
[刹那] 06-29 22:46 削除
面白い!!
前篇ってことは続きがあるんですよね?

早くみたいですっ!
ってか連載してほしい!!!!!

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