07/04の日記
00:53
闇は全てを奪い去る 後編
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復活 ツナ嫌われ 人外オリキャラ×ツナ BL注意
綱吉は不愉快な声を聞いたとばかりに眉を顰め、首をかしげた。
彼にとって、元家庭教師の声など耳障りな雑音でしかないのだ。
「何って・・・何が?」
リボーンは綱吉の以前と似つかぬ冷たく乾いた視線に一瞬怯むも、すぐに綱吉を殺気混じりの視線で睨んだ。
「っ!どういうつもりで、佳奈の継承式の邪魔をしやがった!!」
「え?・・・・・・っぷ!アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッハハハハ!!!!」」
余りに見当違いなことを言う馬鹿が可笑しくて綱吉は思わず爆笑した。
リボーンはもちろんのこと、生き残ったボンゴレ側も突然の弾ける様な笑い声に唖然としている。
唯一、綱吉を抱いているルシアだけが笑い続ける綱吉の頭を愛しげに撫でながら平然としていた。
「アハハハハハハハハハハハ、ヒーッヒ!!ゲホッ!」
「っ!何が可笑しい!!」
馬鹿にされたと思った元守護者(=愚か者)の一人は怒鳴った。
しかし、綱吉は全く怯えていなかった。
むしろ、その中性的で愛らしいといえる顔に不釣合いな冷めた表情で嘲笑った。
「フフフ。だって、皆すっごく馬鹿なこと言うんだもん。俺、思わず笑っちゃた。」
「ああ、確かにそうだな。」
顔を見合わせて笑いあう二人の空気は何処までも甘く、それでいて歪だった。
それでも綱吉は幸せの絶頂期だと言わんばかりの顔で笑いながら言った。
「ルシアはね、俺を迎えに来ただけだよ。それ以外のなんでもない。ボンゴレ十代目?どうぞ、さっさと継承すればいいじゃん。俺にはもう関係ないよ。俺はルシアさえいれば何もいらない!俺が愛してるのはルシアだけ!ルシアが愛してるのも俺だけ!それが真実であり事実であり真理であり必然なんだから!!」
そう笑う綱吉の顔は艶やかな色気と狂気に濡れていた。
その目はルシアに対する愛情と独占欲と狂気で輝き、声は澄んだ響きの中に猛毒のような甘さを含んでいる。
ルシアはそんな綱吉に対して、大輪の花も世界一の美女も色褪せる様な、凄絶で淫靡で美麗な笑みを浮かべた。
「本当に綱吉は可愛いな。」
「本当?」
「ああ、お前以上の存在なんているわけないだろ?お前だけが俺の唯一無二の伴侶だ。」
「ルシア・・・・・・」
「綱吉、愛してる。」
「ルシア!俺も!俺もルシアだけが好き!ルシアだけを愛してる!!」
そう言って再び二人の世界に入り込む2人を、
「いい加減にしろよ!テメェら!」
「こんなことしといてただで済むと思ってねぇよな!」
「借りは返させてもらうぜ!」
ボンゴレ側が取り囲んだ。
ルシアはそれに動揺する事無く、ただ一つため息を吐くと、綱吉を抱いたまま軽く指を鳴らした。
たったそれだけだった。
それだけの動作で一瞬にしてボンゴレ側は再び地面に叩きつけられた。
そのままルシアは綱吉を横抱きにすると、ふわりと空に浮かんだ。
そして先程とは打って変わって冷酷な目で倒れ臥す愚か者達と未だ錯乱している元凶を睥睨する。
彼からしてみれば、既に目的は達成したのでこのまま自分の世界に還ってしまえばいい。
だが、問題は綱吉だ。
一応大丈夫だとは思うが、もし万が一未練でも残されるのは本意ではない。
「綱吉、もういいのか?」
「う〜ん・・・・・・じゃあ、ちょっとだけ。」
そう言うと綱吉はルシアに向けていた顔を倒れ臥すボンゴレ側に向けた。
その表情は今まで見た事がないほど冷淡で酷薄なものだった。
「
俺、ルシアと一緒にルシアの世界で永遠に幸せになります!
いいよね!
だって最初に切り捨てたのそっちだし、それに俺じゃなくてもよかったんでしょ?
俺のこと好きだ何だって言ってた癖にそいつがちょっと泣いただけで揺らぐ程度の気持ちなんだからさ!
あっ!別に怨んでないよ?
むしろ感謝してる。だって皆の軽薄でちゃちな好意がなかったらルシアに会えなかったもん!
その点に関してはすっごく感謝してるんだ!
だから皆も俺のことなんか忘れてそのメス豚と一緒にいなよ!
まぁ、間違っても幸せなんて望んであげないけどね。
俺が想うのはルシアだけだからさ!
じゃあね、皆!永遠にさよなら!
もう二度と会いたくないし、思い出す予定もないから!
」
晴れやかな綱吉の表情とは裏腹に、完膚なきまでに切り捨てられたボンゴレ側の表情は絶望に彩られた。
内心大笑いしているルシアは、未だ怯えたままの少女にある言葉をテレパシーで伝える。
すると少女は唯でさえ蒼白だった顔を土気色に変え、ついに発狂したかのように喚きだした
愚者達の醜態を嘲笑った綱吉とルシアは一度口付けを交わすと、そのまま闇に消えていった。
後に大空の少年の冤罪と少女の嘘が明らかになり、少年の関係者は挙って少年を捜した。
しかし世界規模で捜そうとも少年は見つからなかった。
そして少年の関係者は例外なく次々と非業の死を遂げ、ついに誰一人としてこの事件を知るものはいなくなった。
今でも大空の少年は幸せに笑っている
己が愛し、己を愛する闇の王の腕の中で
end
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