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Horizon blue
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夏休みも終わり、いよいよ秋大会が迫る中。

泥門高校グラウンドでは今日もアメフト部の馬鹿共―――もとい、アメフト馬鹿共が厳しい練習に汗を流していた。

「糞ガキ共!今日はここまでだ、アップ入りやがれ!!」

グラウンドに響いた悪魔の声に選手たちは動きをとめて顔を見合わせる。
「え、もう終わり?」
「まだ6時だぜ?」
携帯を取り出して時間を確認したセナとモン太の疑問に、いつの間にか背後に近づいて来ていたヒル魔が目を細める。

「ホ―…この大事な時期に早く終わる理由がそんなに気になるか?」

正直に答えれば『気になります』だが、ヒル魔の表情からしてロクな理由でないのは明白だ。4ヶ月以上付き合っていればそれくらいはわかる。
知らぬが仏、触らぬ神に祟りなしとばかりに二人は恐ろしい勢いで首を横に振った。

「ならとっとと着替えて帰りやがれ。大会前に張りきりすぎて体壊したら元も子もねぇだろうが」

本当にヒル魔か、と訝りたくなるようなこの台詞。
こんなものを聞く日が来ようとは夢にも思っていなかった二人は今までで一番の恐怖に襲われる。
そして今度は凄い勢いで頷き、各々の最高速度でロッカールームへと向かって駆け出して行った。



「あー、それでそんなに顔色悪いんだ」
鈴音が納得したように頷くと、セナはひきつった表情でそれを肯定した。

「あはは…もう皆パニック状態でさ。十文字くん達なんかいよいよこの世の終わりじゃないかみたいなこと言ってたし。」

確かにあの悪魔の口からそんな言葉が出てきた日には、世界の破滅を疑いたくもなるだろう。
仮にもチームのキャプテンに抱く感想ではないかもしれないが。

「まあ、妖兄がそんなこと言い出したら確かに怖いわよね―」

比較的付き合いの短い鈴音にすらこう言われることからして、ヒル魔の恐ろしさがわかろうというものである。


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