novel2(BL book)

□いらない
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オレの知らない洋酒の味とオレの知らない少し刺激のある香の匂い。

「(女・・・?)」

ふっ、と角都の唇が離れたのでオレはハアハアと空気を貪った。

その間も漂い続ける香の匂い。

「・・・角都・・女買ってきたの・・?」

オレはおずおずと角都に尋ねる。
角都はオレの隣にごろりと横たわり、先程と変わらない機嫌の良さで答えた。

「いや・・・男だ。男を買った。歳はお前と変わらない位だったが、お前と違って華奢で賢くて何より可愛げがあった。場末の男娼にしとくのは勿体無いな」

くくくっと楽しそうに角都が笑う。


ざわわ、と外で風が鳴り安宿の窓を叩いた。


身体中の血液の温度が一気に下がった様な気がして、

「男・・・?」

オレは呟いた。
その声は角都には聞こえていないらしく「もう少し飲むか」等と言って起き上がろうと身体を持ち上げる。

「角都!」

オレはその角都の腕を掴み布団の上に引き戻す。
どさっ、と布団の上に落ちた角都に圧し掛かり黒い瞳を覗き見た。

「なァ・・角都ゥ・・・男でいいならオレだって・・ッ」

「お前には色気が無いし、第一オレの好みでは無い。そんな事を要求されるのは腹立たしいだけだ」

オレが全部言い終わる前に言葉が被せられた。
いつもの、あの低い声で淡々と。
そんな事分かってたけど面と向かって言われるとやっぱキツイなァ。
オレは俯いてゆっくりと口角を上げた。

「じゃあさァ・・・」

眉間に皺を寄せ不機嫌そうにオレを見る角都に向かって言う。

「一遍だけ試してよ・・・」

「・・ッ!飛段やめッ・・・!」

オレは角都の手を振り払い、服も下着も剥ぎ取って角都のモノを咥えた。
角都は初めのうち少し抵抗したけど、本気でオレのこの行為を止めさせる気も無かったように思う。
オレの気持ちも角都にとってはただの面白半分な余興だからさ。
オレは歯を立てない様に注意しながら唇と舌を使って何度も擦りあげた。
角都の乱れた吐息が聞こえ出すのと比例して口の中のモノはどんどん硬く大きくなってゆく。
もう少し・・・
そう、もう少し・・・

「・・ッ飛段・・・!」

角都がオレの髪に触れて切ない声を出す。
もっと早くその声を聞かせてくれれば良かったのに。
遅いよ、角都。
オレ、頭悪くて可愛げも無いんだけどさ。
大好きだよ、角都。
こんなに大好きになっちゃってごめんな。
オレは角都を喉の奥まで思い切り咥え込み、その根元に歯を立てた。







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