novel2(BL book)

□flower
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flower




目隠しをされ裸のまま冷たいホテルのガラスに押し付けられる。
そのまま尻を突き出すような形を取らされ素直に足を開いた。
突き出した尻をぴちゃぴちゃと音を立て後から舐め回す男。

「(コイツ、どんな顔してたっけ・・・?)」

思い出せない。
違う。
初めから見てなかった。

「(顔なんかどうでもいい・・・)」

舌先を尖らせアナルに突刺してくるその感触に思わず息声が漏れる。

「・・・ふ・・ッ」

男はその声を聞くと舌を抜き、目隠しを取って背後から顎を掴み乱暴にキスをしてきた。
強く絡めた舌を吸って今度は自分の猛ったペニスを、舌を抜いたソコへ2、3度擦り付けて一気に突き立てようとする。

「(ま・・だ早えー・・・よ・・)」

そう思うも唾液で濡れたオレのアナルはギチギチと男のモノを飲込み始める。

「ちょ・・待って・・・」

あわててローションを手に取りまだ入りきってない男のペニスと強引に拡げられヒクつく自分のアナルに塗りつけた。

「アンタの・・デカくてこえーからァ・・・」

後で尻を抱えてる男へちょっと切ないような流し目を向けて萎えねーようにしてやる。

「なァ、優しくして・・・」

甘ったるい声を出してやれば男は萎えるどころか硬度を増し、力任せに打ち付けてきた。

「(痛ェっつーの・・)」

男の律動に身を任せ、ふらふらと身体から離れた意識で押し付けられたガラス越しの夜景を見る。






このままガラスが割れてしまえば。

光る闇の中へ堕ちて逝ければいい。

羽虫のように死んで消えてしまえたら。






「(そんなん、無理だっつの・・・)」

徐に男の手がオレのペニスを掴んで扱きだし、離れていた意識が身体へ戻っていく。

「・・ん・・・くッ・・・」

息苦しいような鈍い痛みと快楽の狭間で身体の中心に甘い様な痺れを感じる。
男の動きに合わせて腰を振り自分を高めていく。
ペニスを扱く手に力が篭り、律動が早くなる。

「オレ・・・もう、イク・・ッ」

言葉に出した途端、背筋を突き抜けるような快感が走り握られた掌に白濁色の体液を放つ。
と、同時に体内に男の熱を感じ、ぎゅ、と目を瞑った。









「まいどー」

シャワーを浴びて服を身に着け男から金を貰う。
2時間、2万5千円。
これがオレの値段だ。
つっても1万円は事務所に取られっから実際は1万5千円。
安くて陳腐なオレのカラダ。
名前を書き込むだけの事務所から支給された名刺を一枚男に渡す。

「オレ、飛段。もし気に入ってくれたならその名刺に忘れない様に名前書いといて。オレ、アンタみたいな人すげー好き」

営業トークで男の頬にちゅ、とキスしてやり、

「次は指名してよ・・んじゃな」

笑ってホテルの部屋を出る。
ドアを閉めてハァ、と一つ溜息を吐いて足早にエレベーターに乗り、人気の無いロビーを歩いていく。
外へ出る為の自動ドアが開くと、春一番と言われる暖かい突風がオレの身体を突き抜けた。

パパァ、とクラクションを鳴らされその方を見れば、お迎えの白タクで運転席にはにこやかに手を振る鬼鮫の姿。
早くこの場を離れたくて急いで車に乗り込む。
助手席に座り力を入れてドアを閉めると鬼鮫が穏やかに

「お疲れ様」

と言ってくれた。

「マージ、疲れたァ!超下手くそなんだもんよォ」

冗談めかして鬼鮫に愚痴る。

他愛の無い話をしながら夜の街並を鬼鮫の運転する車が走っていく。

10分もしないうちに事務所の在るマンションの前に着いた。

「サンキュ」

鬼鮫に言いながらマンションの入口でチャイムを鳴らす。






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